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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第四章 地獄の一週間
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その十九 食料難

「それで宿屋はどこだ?」

「あそこよ。あの小さい建物」


それは他の建物と比べてひときわ小さい。


「まあ泊めてもらうんだし文句は言えないよな」

「いらっしゃいませ」

「泊まる予約をしてたミノルです」

「そうですか。それじゃあこちらが鍵です。ごゆっくり」


そう言うと受付の人は椅子に腰掛けて本を読み始めた。


「はあ……」


本を読みながらため息を何度もつく。

この人も暗いな。


「と、とりあえず行くか」

「そ、そうね。行きましょうか」

「それでどうしますか?」

「え?何が」

「鍵、2つしか持ってませんけどどうしますか」


そう言うと、先程貰った鍵を片方ずつ持つ。


「マジかよ……やっぱこの宿屋駄目だな。どうする?」

「宿屋はここしかないししょうがないわよ。鍵は男女で分かれましょ」


そう言ってリドルから1つ鍵を受け取った。


「まあそういう分け方になるよな」

「何?その残念そうな顔。まさか女の人と一緒の部屋になると思ってたの」

「な!?そ、そんな事……ない」

「何その曖昧な返事」


ミノルが、疑いの目でこちらを見てきている。


「そ、そんな事よりご飯食べようぜ!」

「何かはぐらかされた気がするけど、まあいいわ。そうねご飯食べましょうか」

「それならさっきいい店見つけましたよ」

「いいわね!食べまくりましょ!」



よし!何とか話題を反らせた。

正直に言うと少しだけ期待してたし。


「かつ何やってるの。早く行くわよ」

「今行く!」


とりあえず腹ごしらえするか。


―――――――――――――

「いらっしゃいませーお好きな席にどうぞ」


予想通りの暗い雰囲気だな。

俺達はそのままテーブル席の椅子に座った。


「まあ飯さえ食えればそれでいいか」


早速メニュー表を手に取る。


「これがメニューね。どれどれ……あ!私このウシのビッグ骨付き肉にするわ!」

「ミノル結構いくな!じゃあ俺は……ファイヤーバードの唐揚げ食おうかな」

「それじゃあ僕はラフレシアのサラダ大森で」

「すいませーん!あのこれとこれとこれ下さい!」

「分かりました……」


ううん……ほんとにこの村の人たちは暗い顔ばかりしてるな。


「ねぇかつ。やっぱりこの村助けてあげましょう。このままだとこの村から生きる気力がなくなって、大量の死人が出るかも」

「おいおいドラゴンの肉が取れなくなっただけでここまで元気なくなるか?しばらくすれば村の人たちも活気を取り戻すだろう」


そうだ、この位でここまで落ち込むこと自体おかしい。

しばらくすれば切り替えられるはずだしな。


「そうかしら」

「そんなもんだよ」


その時店の扉が開く音がした。


「いらっしゃいませー」

「腹減った……」


それは顔が病人みたいに白くなりヨロヨロとふらついているデビの姿があった。


「デビ!おま―――顔色悪いぞ。大丈夫なのか?」

「大丈夫。それより妾は腹が減った!なにか食わせるのじゃ」

「ほらデビちゃん、メニュー」


するとデビが先程のよろよろしてたやつとは見間違うほどのスピードでメニューを取る。


「ここからここまで全部じゃ!」

「どんだけ食うんだよお前!?」

「妾は今心も体もボロボロなのじゃ。だから何か腹に入れないとこのままでは死んでしまう。だからしょうがないのじゃ!」


すると再びフラフラと足を動かしながら椅子に座った。

こいつほんとにコウバに何されたんだ?


「お待たせしましたー。こちらが注文した料理です」


元気の無い店員が順番に料理を机に置いていく。


「待ってましたー!これで腹が満たされ………何だこれ?」


そこには皿の上に唐揚げの衣の小さい欠片がポツンと置いてあった。


「ちょっとこれ何。これ骨しかないんですけど」

「これは……草ですかね?」


みんなの料理も俺と同じレベルの料理ばかりだった。


「こ、これは……どういうことなのじゃ……」

「あ、デビ……」


デビの机にも粗悪な料理しか置かれていない。

こいつかなり腹減ってたな。


「お、おかしいじゃろ!なんで妾がこんな目に合わなければいけないのじゃー!」

「お、落ち着けデビ!」


まあ暴れるのも無理はないこれはさすがに酷すぎるしな。


「あのうすいません。もっと量を多くしては貰えませんか」

「それしかありません」

「え?」

「もうそれしか無いです」

「「「え、えええええええ!?」」」


それしかない!?


「ちょ、ちょっと待て!それしかないっとほんとか!?」

「はい」

「作るのが面倒くさいとかじゃなく」

「これしかないんです」

「まじ……かよ」


まずい、この村が食料を確保できないほど落ち込んでるなんて思はなかった。


「もしかして妾たち今日はご飯なしということか?」

「……………」


その瞬間全身に寒気が走った。


「やばいわ!このままじゃ餓死する!」

「どうする!?ほんとにこの状況は不味いぞ!」

「妾もう……むり」

「デビさん!大変です!デビさんが」


みんな事の重大さに気付いてパニクってる。

でもほんとに不味いよな。


「1つだけ方法があるでしょ?」


その方法は皆頭に既に思い浮かんでいるはずだ。

でもこれはかなり危険な行為をしようとしているとしか思えない。

でももう……


「倒すぞ」


その言葉にみんなが頷く。


「ただし制限時間を決めよう」

「そうね。それじゃあ明日の早朝まで」

「それじゃあ宿屋で作戦会議しましょうか」


俺達は生き残る為にも宿屋で作戦会議をする事にした。



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