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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十三章 奪われた者達の決戦
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その三十九 ガイの研究所探索その4

俺はずっと強さを求めて来た。

それがハルとの約束だったからだ。

あいつの人生を奪っちまったからには、俺の人生はあいつの為に捧げると誓った。

あいつが手に入れるはずだった力を最強の称号を俺が代わりに取るんだ。

それが俺が出来る唯一の償いだった。

だからこそあの日から俺は強い奴と戦い続けた、どれだけ負けても何度でも戦いを挑んで勝って来た。

そうやって最強を目指してきた。

だけど最近の相手はどれも規格外の敵ばかり、命をかけて戦うなんてことをした所で意味ない程実力の差は明らかだった。

がむしゃらに進み続けた俺は立ち止まる事を余儀なくされた。

それでも俺は最強になる事を諦めなかった、新しく魔法を覚えてようやく再び走り出したって言う時にまた立ち止まるのか。


「‥‥‥か‥‥‥た」


何だ、声が聞こえて来る。

この声は誰だ。


「か‥‥‥い‥‥‥」


この声は‥‥‥


「最後まで戦い抜け!」

「っ!」


マイトの声、これってあの通信機から聞こえて来てるのか。

まさか励ましてるのか、負けそうになっているから。

そうだ、諦めねえ、言われなくても分かってるよ。

この命尽きるまで最後まで戦い抜く!


「さてと、ようやく終わったよ。思った以上に粘られちゃって、ちょっと時間を喰っちゃったかな。さっきから研究所が揺れてるし、かなり頑丈に作られてるって聞いてるけどまさかやばい化け物でも現れたとか?とりあえず早くカローチェちゃんと合流を」

「まだ終わってねえよ」


体に引っ付いてる謎の物体を雷の魔法で弾け飛ばす。

そして俺はゆっくりと立ち上がり目の前の敵を見る。

そいつは俺を見て顔を引きつらせていた。


「おいおいおいおい、泥臭く足掻くのは若者の特権でもあるけどさ。さすがにしつこすぎないか」

「まだ戦いは終わってねえよ」

「立ち上がった事には素直に賞賛を送るよ。さすがのおじさんも驚いたよ。でもこれ以上はもう無駄だ。魔力はすべて食い尽くされた。残りかすも無いだろ?」

(そのはずなんだけど、さっきからガイ君の周りをほとばしっている雷は何だ?魔法で作られた物なんだろうけど、今までのとは違うな)


「確かにもう魔力は残ってないな。この気持ちの悪い奴に全部持ってかれたよ。でもそれは俺の持ってる魔力だけみたいだな」

「どうやらまだ悪あがきをするみたいだね。いいねえ、なら見せて見なよ。若者の底力って奴を!」


その時フーリャはこちらに向かっては魔法を放って来る。

俺はそれを身を翻して避ける。

もう攻撃を防ぐ分の魔法は残ってねえ。


「どうした!何か策があるんだろ!早くおじさんに見せてくれよ!このままじゃやられちゃうよ!」


魔法が激しすぎて避けるのに精いっぱいだ。

何とか魔法を放つ隙を見つけないと、このままじゃ本当にやられちまう。

動き回りながらフーリャの放つ魔法を避けて行く。

だが次第に避けるスピードよりも魔法を放つスピードの方が速くなり、段々と追い詰められてくる。

そしてついに壁際まで追い詰められてしまった。


「これで終わりみたいだ!残念だよ、ガイ君との戦いもこれで終わり何てね!ポイズンブロー!」


毒の塊がこちらに降り注ごうとした瞬間、雷がそれらを弾き飛ばす。


「っ!?」

「ようやく溜まったぜ。やっぱ俺のオリジナル魔法は燃費が悪いな」

「オリジナル魔法?まさか持っていたとは思わなかったな」

(得意の魔法でごり押しに来ていたからてっきりそう言った物は無いと踏んでいたけど、ここまで温存してた何てね)


「当たり前だろ。強くなるためにはオリジナル魔法は持っておくべきだ」

「ガイ君の言う通りだ。オリジナル魔法を持つことで不利な状況を変えることが出来る。だけど使いタイミングを間違えたんじゃない?もう使う分の魔力が残ってないだろ」

「安心しろ。もうエネルギーは溜まってるからな。いつでも放てるぞ」

「なるほどね‥‥‥」


フーリャは先程まで余裕たっぷりの態度を取っていたが、直ぐに俺が行ってる事が嘘ではないと分かると警戒するように俺の動向を伺う。

俺はゆっくりと手の形を人差し指と親指だけ出した状態で相手に突き付ける。


「レールガンって知ってるか?」

「レールガン?おじさん新しい事には疎くってね。最新の流行語か何かかな?」

「教えてやるよ。最強のオリジナル魔法さ」


俺はエネルギー溜まったオリジナル魔法を解放させる。

すると人差し指先にオリジナル魔法が展開され、その周りにも同様に大小様々な魔法陣が展開される。

これだこれだ、フルパワーで放つのは初めてだけど本番で成功させるのが最強の魔法使いってもんだろ。


「確かにすごそうなオリジナル魔法だけど、忘れたわけじゃないだろう?俺のオリジナル魔法は魔法の威力を削ぐことが出来る。どれだけ渾身の一撃を放とうが、届かなければ意味がないんだよ」


そういうと大量の謎の物体がフーリャのオリジナル魔法から現れる。


「お前こそ忘れてるんじゃねえか。どれだけ居ようが威力負けしたら防げないだろうが」

「まさかこの数で防げないと思ってるのかな?若さゆえの万能感に酔いすぎるのいけないな。世の中そんな上手く行かないってことを負けて学ぶといいよ!」


その時謎の物体がこちらに一斉に向かってくる。

思い出せ、この魔法の性質をこれがどういった魔法なのかを。

――――――――――――――――――――

「レールガン?」


デュラの元にオリジナル魔法の製作に来た俺は開始早々にデュラの口からそんな言葉を教えられる。


「ああ、実際には科学的な方法を用いる機械だが、それを魔法的解釈で再構築させる。魔法に適したやり方で魔法として使えるようにする」

「そのレールガンって奴は強いのかよ」

「強い。上位の魔法使いでも一撃で倒せるだろう」

「すげえな!そんな魔法使えるようになるのかよ」


俺は興奮気味に話しているとサラが冷静な口調でデュラに質問をする。


「それ程の強さの物なら何らかの制約があるんじゃないかい?そんなポンポン打てるようなもんじゃないだろう」

「その通りだ。これはエネルギーを必要とする」

「エネルギーって魔力じゃないのかよ」

「このオリジナル魔法で使用するエネルギーは雷の魔法だ。それらを使う事によりオリジナル魔法にエネルギーを溜めこんでいく。高レベルの雷の魔法なら大体五十発、低レベルの物なら百発以上、複合的に使えば大体その中間位の魔法回数が必要だ」


それを聞いて俺が先程持っていた熱がだんだんと覚めて行った。


「それって打てねえって言ってるもんじゃねえか。そんな打ってたらレールガンに使う魔力がないだろう」

「言っただろ。エネルギーは魔力じゃなくて雷の魔法だと。エネルギーが溜まれば放つのに魔力は必要ない」

「あっそっか。じゃあ打てるじゃん!よっしゃあ!早速教えてくれよ」

「分かった。すでに魔法陣は書き終わってる。後はこれを覚えるだけだ」


俺はデュラから紙を受け取るとその魔法陣を見てみる。

かなり複雑な魔法陣だな、こんなの覚えられるのかよ。

すると横から見ていたサラが唸り声を上げる。


「あーこりゃガイには難しいかもしれないね。かなり複雑な魔力回路だよ。頭に叩き込めんのかい?」

「出来る!俺はもっと強くならきゃいけねえんだ。このままじゃあいつに追いつけねえ」

「そうかい。ならあたいも協力するよ」

「本当か!ありがとな、サラ」

「師匠と呼びな。それじゃあ早速行くかい?」

「ちょっと待ってくれ」


俺とサラが修行に出ようとした時デュラが呼び止める。


「せっかくだからレールガンの別名を教えておこう。名前を決めるときに参考にすると言い」

「おお、教えてくれ」

「レールガンまたの名を」


――――――――――――――――――――

電磁波砲(レールガン)!!」

「っ!」


超高速の雷の弾丸が真っすぐ謎の物体に向かって突っ込んでいく。

それらはくっ付こうと集まって来るが、その瞬間一瞬にして消滅した。

そしてただ真っ直ぐフーリャの元へと突っ込んでいく。


「っ!!!?」


威力が削がれずにフーリャの体にレールガンの一撃が直撃する。

するとフーリャはふらつきながらこちらを見て笑みを浮かべる。


「おじさんには‥‥‥この一撃はさすがに辛いね‥‥‥」


そういうとそのまま倒れた。

倒した、倒した!倒したんだ!


「よっしゃあああ!大勝利と初成功だ!ああああ‥‥‥」


そのまま力が抜けて背中から倒れた。


「魔力も使い切ってもう動けねえ‥‥‥しばらく休まないと駄目だな」


とりあえず動けるようになるまで魔力の回復を待つか。

そう思い、呆然と天井を見上げていると突然誰かが俺の顔を覗き込んで来た。


「見つけた」

「うわああ!お前誰だよ!」

「私はサキ、黒の魔法使いの一人。あなたに私の護衛を頼みたい」

「そうか、サキよろしくな‥‥‥て黒の魔法使い!何でお前がここに居るんだよ!」

「説明してる暇はない。とにかくこれ上げる」


そう言って俺に差し出してきたのは魔石だった。

それを中が無理矢理握りしめられると、体中に魔力が駆け巡って来る。


「おお、これなら動けるようになるな」

「よかった。それじゃあその恩返しとして私を守って」

「恩返しって自分から言わねえだろ」

「とにかく準備が整ったから皆と合流したいの。あなたの仲間の元にも送ってあげる」

「あいつらの居場所が分かるのか!?」

「そう、だから私を守って」


何かよく分かんねえな。

何で黒の魔法使いが居るんだとか何の目的とかいろいろ気になるけど戦い終わった後だから、頭が回んねえな。


「まあいいや。あいつらの元に送ってくれるなら好都合だし」

「これで取引成立だね。それじゃあ早速行こう」

「あっちょっと待ってくれ。あいつのこと忘れる所だったぜ」


俺はすぐに女を避難させていた檻の中に入る。

女は寝息を立てながらその場でうずくまって居た。

問題はなさそうだな。

俺はそっとその女を背負おうとそのままサキの元に戻る。


「じゃあ行こうぜ!」


こうして黒の魔法使いのサキと行動を共にすることとなった。



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