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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十三章 奪われた者達の決戦
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その三十二 シンラvsピンカ&イナミその3

ウォームウッズ


「突如声を荒げたと思ったら、お友達に泣きついていたのですか」

「あんな奴、友達なわけないでしょう」

「もうピンカ、どうしてそんなこと言うんだよ。せっかくマイトが励ましてくれたのに」

「あんなの励ましじゃないわよ!私の事をからかってるのよ。絶対に負けられない、死んでも勝ってやる。そしてあいつの前で源魔石の欠片を見せつけてやるのよ!」


そう、負けるわけには行かない。

あいつの前で弱い所なんて見せられない。

あいつの助けなんて要らない。


「私の目の前でよくそんな事を言えましたね。その自信は結構ですが、この状況を覆す程の一手を持っていないのではないですか?」

「確かにあのオリジナル魔法は厄介だよ。ピンカ、どうするの?」

「あんたのオリジナル魔法はよく分かったわ。確かに強い、強いけどあたしほどじゃない」


私は思わず笑みを浮かべる。

それをシンラは訝しげに見える。


「まだ、何か隠してるのですね」

「あれが全力じゃなかったの!?」

「決まってんでしょ。私があの程度なわけないじゃない。本命は最後まで取っておく物でしょ」


この魔法を使えば今の私の魔力量だと再び使うことは出来ない。

失敗すればもう同じものは使えない、そして満足に戦うことも出来ない。

でもそれでいい、ここを使わなきゃいつ使うの!


「私の本気を受け止めて見なさい!双岩巨兵の守護神!」


巨大な魔法陣を展開させてそこから次々と岩が集まって行く。

その一つ一つに凝縮した魔力が込められており、それが段々と形を成していく。

そして最後に巨大な二体のゴーレムとなった。


「ほう‥‥‥」

「す、すごい。これがピンカの新しいオリジナル魔法」

「はあ、はあ、はあ‥‥‥」

「大丈夫ピンカ!」


心配そうにこちらに寄り添おうとするイナミの手を私は振り払う。


「大丈夫に決まってるでしょ。私の心配よりも今は自分の事を考えなさい」


やっぱりこの魔法は魔力を根こそぎ取られるから疲労もかなりある。

もう一発は無理ね。


「凄いですね。素直に賞賛します。これほどの魔法を繰り出すとは流石に予想外でした」

「驚くのはまだ早いわよ。このゴーレムをただの頑丈なゴーレムだと思わない事ね!」


生み出したゴーレムはゆっくりと動き出す。

そしてその一歩を踏み出した瞬間、地面が凍り付く。

そしてもう片方は炎を纏っている。


「っ!魔法を生み出している‥‥‥」

「そう、私のゴーレムはそれぞれ炎と氷を操るの。つまりあんたの天敵ってわけ!」

「凄いよピンカ!まさかピンカにこんなオリジナル魔法を作る才能があった何て」

「私じゃないわよ‥‥‥」

「え?」

「そんなことより、こっから反撃開始よ!いけ、ゴーレムたち!」


ゴーレムはそのまま巨大な拳を振り上げると、その巨体に似合わないスピードでその拳を振り下ろす。


「っ!?ラフレシル!」


するとシンラの目の前に巨大な花が出現しその拳を受け止めようとしたが、花は一気に凍り付きそのまま砕かれる。

そしてシンラに強烈な一撃が入る。


「ぐっ!」

「よし!」

「当たった、今まで当てられなかったのに当たったよ!」

「当然でしょ!私が本気を出せばこんな物よ!」


ゴーレムの魔法が効いてよかった。

これで戦いがずっと楽になる。

すると吹き飛ばされたシンラが手で口元を隠しながら戻って来る。


「少々侮っていました。どうやら本気でかからないと駄目なようですね」

(種十個分ではまるで話にならなかった。私の花を凍らせるほどの威力と魔力、これは相当綿密に作られたオリジナル魔法ですね)


「あんたの雑草魔法じゃ私のオリジナル魔法は越えられない様ね」

「雑草魔法ですが、随分な言い草ですね。ならこれはどうでしょうか!」


するとシンラの魔法陣から太いツタのような物が無数に出て来る。

そしてそれは一気にゴーレムたちに巻き付いて来る。


「剛力草!力でねじ伏せましょうか!」

「そんな物燃やして氷漬けにすればしまいよ!」


ゴーレムたちは炎や氷でツタの破壊を試みるが、先程とは違くツタは凍らずに燃え尽きることはなかった。

さっきとはレベルが違う、やっぱりそう言う所は王なのね。


「どうやらこれは破壊出来ないようですね。残念ですがこれで終わりです」

「まずいよ、ピンカ!このままだとゴーレムが破壊される!」

「見てなさいよ。私のゴーレムはそう簡単には壊れない」


ツタは更に太さを増してゴーレムの腕を破壊した。

そして次にもう一体のゴーレムの足を切り離す。


「ちょっと!普通に壊されちゃってるじゃん!」

「いちいちうるさいわね。黙って見てなさいよ」

「え?どういう事‥‥‥」


足を失ったゴーレムはそのまま倒れ、腕が切り離されたゴーレムは横に傾く。


「案外呆気ない物ですね。それなりに強いゴーレムでしたが、所詮はただの岩の塊。種十五個分でどうにかなるレベルでした」

「腕や足をもぎ取ったくらいで随分勝ち誇ってるようね。残念だけど、その喜びはすぐに絶望に代わるわよ」

「どういう意味ですか?‥‥‥っ!」


その時切り取られたはずのゴーレムの腕や足が突如動き出し、岩が一個一個新たにくっ付いて行き復元していく。

そして最終的に切り取られたはずの腕や足が完全にくっ付いた。


「な!?自己修復機能!」

「ゴーレムにそんな機能が付いてるなんて。ピンカ凄いよ!」

「だから言ったでしょう。私のゴーレムはそんじょそこらのゴーレムとは違うって」


(ゴーレムの自動復元。あれだけでもかなり強力な機能の一つですね。ですが強力ゆえに何のリスクも無しに使えるわけがありません。魔法が使えるのと同様に恐らく、事前に魔力を体の中に蓄えていてそれを使って魔法や修復を行なっているのでしょうね)


「よく分かったわ。確かにそう簡単には壊せないようですね。ならこれはどうでしょうか!」


その時シンラの魔法陣が一際輝きだす。

これはさっきよりも強力な花を生み出そうとしている。

恐らく種数十個分の物を。

すると魔法陣から無数のツタが絡まり合い花が咲き誇る。


「種三十個分の花草人鬼!さてあなたのお気に入りのゴーレムとどちらが強いか勝負と行きましょうか」

「ピンカ、あの人型の植物かなりやばいよ。今までとは比べ物にならないくらいの魔力を感じ取る」

「分かってるわよ。でも私のゴーレムは二体よ、どんだけ強くても数はこっちの方が上。行きなさい、ゴーレムたち!」


ゴーレムたちは目の前の敵に向かって直進する。


「行きなさい、私の可愛い花草人鬼。その実力を示しなさい」


その時花草人鬼から無数のツタが繰り出される。

だがゴーレムはそれらを炎や氷で防いでいく。

そして拳を振り下ろした瞬間、その一撃を巨大な花を使って受け止める。


「ちっ雑草の癖に力があるわね」


もう一体のゴーレムが真横から拳を繰り出す。

すると花草人鬼の体から種ような物が発射される。

それがゴーレムの体の隙間に入り込むと、そのまま爆発した。

もしかして色々な花を生み出せるの。


「さあさあ、力は互角だけで多彩性ではこちらの方が上ですよ」

「イナミ!ボーっとしてないでやるわよ!」

「え?やるって何を!」

「あっちはゴーレムが食い止めてくれる。だから今の内にシンラを狙うの!」



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