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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十三章 奪われた者達の決戦
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その三十 命懸けの王の戯れ

シアラルス近辺上空


「ようやく見えって来たか」


地獄の王との戦いで思った以上に元の場所から移動していたようだ。

戦いに夢中になっていたせいでその事に気付けなかったな。

もしや、それが奴の狙いか?

そうだとしたらまんまと成功させられたが、どちらにしろただの時間稼ぎにしかならん。


「さてと、侵入者をどう始末してやろうか」


城の中で起きた爆発、恐らく源魔石の欠片を盗もうとした鼠が引っ掛かったのだろう。

どうやらミレイを使った二重スパイの作戦は成功した様だな。

奴にはあとで褒美を送ってやろう。


「さてと、そろそろ行く――――――っ!?」


その時、体中から溢れるほどの魔力が全身を満たした。

どういうことだ、これほどの魔力たかだか奴隷が解放されただけでは得られない。

これは屍の王に与えた魔力!?


「まさか――――――」

「デビルオンインパクト!!」

「っ!?」


漆黒の稲妻が頬を掠める。

どういうことだ、今の一撃は俺が避けなければ確実に当たっていたぞ。


「どういうつもりだ?なぜわざわざ追って来た」

「まだ遊び足りないからのう。途中で降りる何て妾は許しておらんぞ」

「なぜ、お前の許可がいる?」

「妾が王だからじゃ」


そう言うと地獄の王は笑みを浮かべる。

先程は完全に戦意を喪失させたと思ったが、なぜまた向かって来た。

それに先程よりも雰囲気が変わったか?


「奇遇だな俺も王だ。それよりいいのか?これ以上の行為は違反に該当するんじゃないか?」

「何を言っており、そんな事を怖がっておったら王は務まらなんじゃろう」


そう言うと地獄の王は魔法陣を展開させる。

あそこに込められている魔力は今までは比較にならない、本気の一撃か?


「正気か?この地には思い出があるんじゃなかったのか?手放したくない場所ではないのか?」

「手放したくない場所じゃから、本気でやるのじゃ。もしまた逃げるような真似をしたらこの魔法をお主に放つぞ」


虚言ではない、本気で魔法を当てるつもりか。

俺が傷つけば奴は地獄に強制送還されるはずだ。

だがそれは同時に自由の身となったことを意味する。

そうすればこちらが不利になる事は変わらない、だからこそ奴は攻撃を当てずに俺は当たらない様に気を使っていたのだがその均衡が崩れた今何をしでかすか分からないな。

逃げる選択は選ばない方が無難か。


「本気という割には遊び方は先程と変わらないんだろ?なら飽きたと言わざる負えないぞ」

「安心せい、お主も楽しめる遊びを考えたのじゃ」


そう言うと地獄の王は腕を大きく広げる。


「妾の命をかける」

「何だと?」

「お主の一撃どんな攻撃でも受け入れよう」

「それは本当か?」

「妾は嘘はつかん。王に二言はないのじゃ」


流石の地獄の王も喰らい続ければ命を失う可能性はある。

正直な所屍の王が倒された事実をすぐにでも確かめに行きたいが、この状況は最大の障害を排除できる絶好の機会。

源魔石の欠片を奪われた可能性はあるが、まだ二つ所持しているはずだ。

ならばこちらを早々に片付けた方が得策か。

考えがまとまり、地獄の王へと向き直る。


「良いだろう。中々魅力的な遊びだな。付き合ってやろう」

「そうか、じゃがお主のようなか細い一撃が妾に効くかどうかは分からんぞ」

「安心しろ。一切手加減はしない。俺がお前を地獄に帰してやろう」

「それは楽しみじゃな」


余裕の笑みと共に地獄の王は瞬時に高レベルの魔法陣を五つ展開させる。

その一撃一撃が先程の戦いが本当にお遊びだと思う程の違いだった。

それじゃあさっそく試してみるか。


「カウントレスサンダー!カラミティ―ストーム!グロウブロウ!」


大量の魔力を込めた複数の魔法を地獄の王に向かって放つ。

すると言った通りその一撃を避ける様子もなく、全て真正面から受け止める。

だが依然として地獄の王の笑みは消えることはない。

やはり魔力レベルの差で一撃の威力が大幅に軽減されているか。


「デビルオンツインインパクト!」

「っアブソリュートコールド!」


あの一撃、本気で防がなければ当たっていた。

なるほど、この戦いを続けたければ本気で攻撃を防げと言うことか。

俺も一つでも選択肢を間違えればすぐに殺される。

だが奴も着実に体にダメージが入って行く。

互いにとってリスクのある戦い、だからこそ得られるリターンははるかに大きい。


「この時代で俺とまともにやり合えるのはお前が最後だろうな!」

「やり合えてるじゃと?ボコボコにされるの間違いじゃろ!」


空中で互いの魔法が交差する。

恐らく地面に放てば一撃で島が吹き飛ぶほどの威力の魔法を瞬きするまでに三発も繰り出す。

それを魔法で交わし正面から受け止めさらにこちらも魔法を放つ。

地獄の王は一切避けずにそれを正面から受けると、こちらに真っ直ぐ突っ込んで来た。


「どうしたのじゃ!その程度なのか!」

「そう焦るな。まだ始まったばかりだろうが!」


魔法が止まる事はない。

一つ放てばもう既に二つ魔法陣が展開され放たれる。

止まる事はしない、一秒でも魔法を撃つ手を止めるのが惜しい。

屍の王の魔力がこちらに戻ったことで先程よりも早くそして強く魔法を放てる。


「どうした地獄の王!このスピードに付いてこれないか!?」


さらに魔法陣十個を展開し地獄の王へとぶつける。


「っこんな物、何個当たろうが効かんのじゃ!」

「そうか、それはよかった!ならもっと喰らうがいい!」


手数はこちらの方が多い。

それでいい、威力を数でカバーするんだ。

そうすればいずれほころびが出る。

いくら堅い守りで身を包んでもそこに耐久力がある限り、絶対的な盾にはなりはしない。


「さあ、お前の苦痛の叫び声を聞くのは後どれくらいだろうな!」


こいつは、今日殺す!!


―――――――――――――――――――

ネッパニンス


「暑いね、まるで火山だよ」


メメ博士の知らせを聞いてすぐに跳んで来たけど、まさに死闘の後って感じだ。

城の崩壊具合がすさまじい、熱で溶けている部分もあるしこれは王がやったのかな?


「それよりも早く二人を見つけないと」


連絡が来ないってことは何処かで倒れているに違いない。

無傷何てことはあり得ない、戦場の後を見る限りかなり重症のはずだ。

早く見つけないと、命が危ないかもしれない。


「エング!サザミ!どこに居るんだ!」


流石に返事は返ってこないか。

城の中を注意深く見渡している時、目の端で何かが見えた。

咄嗟にそちらの方向に向くと、そこには倒れているエングの姿があった。


「エング!」


俺はすぐにエングの元へと駆け寄る。

怪我が酷い、全身血だらけだ。

心臓は‥‥‥何とか動いてるが弱々しい、すぐに治療をしなければ。


「サザミは‥‥‥いた!」


エングのすぐ近くでサザミが倒れている。

エングもかなりひどいがケガで言えばサザミの方が酷いな。

特に右半身の火傷が酷い、皮膚が真っ赤で体の中に熱を込めているようだ。

俺はサザミの脈を確認する。


「っ!まずいぞ、心臓が止まってる!」


このままでは死んでしまう。

俺はすぐに魔法陣を展開させる。

メメ博士なら何とかしてくれるはずだ。


「テレポート!!」



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