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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十三章 奪われた者達の決戦
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その二十六 ぺプロの研究所探索その2

「とりあえず戻って来たけど何から始めようか」


研究所の地下通路でメイとカビットを見つけて何とか救出で来たものの、そこで黒の魔法使いのクラガと出会ってしまった。

奴隷の印を治す薬を交渉材料にして何とか対等になろうと思った時、メイがあっさり薬をクラガに渡して自由になったクラガに殺されると思ったら、まさかの協力的な姿勢を見せて来る。

結局一緒に行動する事にはなったけどまだ油断は出来ない。


「もちろん捕まってる人達を助けに行こう!!」

「なあ、もう帰ろうよ。俺達みたいな一般魔法使いには危なすぎるって。ていうかこの男から早く離れたいんだけど」

「貴様、何か言ったか」

「何も言ってません!」


そう言うとカビットは逃げるように私の背中に隠れる。

このビビりな性格は本当に治らないね。


「ちょっとうざいから離れて。もちろん、捕まってる人達は助けるけどこいつの仲間を見つけたいの。勝手に暴走して一緒に突入した仲間たちにちょっかいかけているかもしれないしね」

「安心しろ。俺の時と同様に別の檻に閉じ込められているだろう。脱走などはしないはずだ」

「脱走はしなくても研究員の人に連れていかれる可能性はあるでしょ。他の研究室は何処?」

「俺が知るわけがないだろう。研究所に潜入する前にカノエに足止めを喰らったのだから」

「足止めという名の惨敗でしょ」

「何だと」

「駄目駄目、喧嘩は許さないよ。みんな仲良く手を繋いでいこうよ!」


そう言うとメイは私とクラガの手を満面の笑みで取る。


「ほら、ガビッちもクラッちの手を繋いで」


カビットは空いているクラガの手を見るがその威圧感に委縮され手を引っ込める。


「え、遠慮しておきます‥‥‥」

「ちょっとうちの仲間睨まないでよ」

「ならこんなおかしなことはやめさせろ。遊んでる暇はないぞ」


するとクラガはメイの手を乱暴に振り払う。


「あれー?もしかして恥ずかしかったのかな?」

「メイ、少しは緊張感持って。ここはガイスの息がかかった研究所だよ。奴隷が襲ってくるかもしれないんだから」

「大丈夫だよ。だってみんなが居るもん、だから絶対負けないよ!」


その自信は何処から来るんだろう。

だけどその前向きさは見習わないといけないかもね。


「それで何処に行く。すぐに行動を起こさなければ逃げ切られるぞ」

「分かってるって、それじゃあこっちに行こう。まだこっちは進んでないから」


私は先程通った道とは逆の方を指差す。

それに対して反対の意見は出なかったので、私達はすぐに行動を開始した。

研究所は広い為何度か道に迷うことは合ったが、クラガが道を記憶していた為同じ道を通る事はなかった。


「また奴隷が居たよ!」

「合点承知の助!アイスロック!」


目の前に現れた奴隷となった半獣を一瞬で凍結させて、身動きが取れなくなった所で薬を打ちこむ。


「これで三人目ね。研究所の広さの割には出会う確率はそこまで多くないみたいだけど、人数はそこまで居ないっぽい?」

「‥‥‥それよりも研究室にどうやら着いたみたいだぞ」


クラガが言った先には第三研究室と書かれたプレートが壁にかかっていた。

研究室ってことはここに捕まった人が居る可能性が高い。


「行こう、クラガは仲間が居たらちゃんと説得してね」

「言われなくても分かってる」


そう言うとクラガは一足先に研究室の方へと進んで行く。

協調性というか一緒に行動するってことが出来ないのかな。


「カビットいつまでビビってんの。そろそろ覚悟決めてよ」

「分かってる。俺はカノエと戦ったんだぞ。トラウマが蘇りそうで怖いんだよ」

「大丈夫だよ。そう言う時は牛乳の事を考えれば万事解決!何なら一本行っとく?」

「貰っておこうかな」


カビットはメイから牛乳を受け取るとそれを一気飲みする。

だから緊張感を持てって言いたいけど、言った所で無駄か。


「それじゃ行くよ。あの男を一人に差せたら何か企みそうだし」


私達はクラガの後追う様にして第三研究室に向かう。

研究室の中は特に代わり映えはなく、所々実験に使用する器具が置いてあるだけだった。


「誰も居ないねー」

「もう逃げた可能性は高いな。既に研究所から出ている可能性もあるぞ」

「とにかく追おう。まだ間に合うかもしれないし、ていうかあの地下の通路って本当に外に繋がってるの?」

「繋がってないよ?」

「へ?」


あっさりと否定されて私は思わず声を漏らしてしまう。


「じゃあ、あそこは何処に繋がってるの?」

「たしか、地下の研究室があるって言ってた。さっき私達を連れて行ったおじさんがお前たちの体を存分に堪能してやるぞ、グへへへって言ってたもん」

「分かった、ありがとう。てことは外には逃げられないんだね。でも人間が危険な事には変りないみたいだし、すぐに地下に行こう」

「ならすぐに向かうか」


するとクラガがある場所を数回コンコンと叩く。

そこは檻の中であり、すでに人の姿はなかった。


「檻の中に何かあるの?」

「どうやらここに通路があるみたいだな。わざわざ捕らえる場所に通路を作る何て、余程バレない自信があるのかもしくは緊急用の奴なのか。どちらにしろすぐに見つけるのは容易だな」

「それでどうやって行くの?」

「少し頭を使えば分かることだ」

「っいちいち人を馬鹿にしないとまともに話せないの」


クラガの言い草に思わず頭に来てしまう。

するとその空気感を察してかメイが割って入って来る。


「ちょちょちょい!そんな怖い顔しないで、ほらほら苛立ちはカルシウム不足の証拠だよ。牛乳飲んで落ち着こう」

「分かったから、牛乳を顔に押し当てないで」


押し付けて来る牛乳を受け取り渋々それを飲み干す。

私が牛乳を飲んでいる間にクラガは床下の穴を見つけてそこに指を押し込む。

すると機械音が鳴り響き、ゆっくりと床下が動き階段が現れる。


「それじゃあ行こっか」


私が先頭を歩きその後ろをメイたちがついて来る。

研究所を探し回っている時、ほとんど研究者の人を見かけなかった。

もしかしたら全員地下に隠れているのかもしれない。

警戒しながら奥へと進んで行くと、扉が見えて来た。

道中に姿が見えなかったってことはやっぱり地下の研究室に居るみたい。


「皆、行くわよ」


その言葉に皆が頷いた時、私は扉を開いた。

そこはここに来る前の研究室よりも広い空間だった。

恐らくこっちの方が設備としてもよさそうな感じがする。


「わあ、何か色々あるね。触ってもいいかな?」

「やめな、何が起きるか分からないし」

「なあ、誰も居ないけど本当にここに居るのかよ」


カビットの言う通り近くには人の気配がしない。

でもまだ油断は出来ない、隠れてる可能性は十分にある。


「まだ部屋は続いてるし、探そう」


私は近くの扉を開けようとドアノブに手を伸ばした時、ある違和感を感じ取った。

そして咄嗟に後ろに飛んだ瞬間、豪華がドアを打ち破った。


「くっ!」

「うわああ!?」

「何々、爆発!」

「いや、新手だ」


今の威力はただの奴隷じゃない。

おそらくかなりの使い手ね。

そして炎の中から二人の影が見えた。

それに反応を示したのがメイだ。


「あっ!あの二人ってもしかしてザッちとニュッちじゃん!よかった、元気そうだねー!」

「ちょっ!馬鹿!」


メイは喜びながら一切の迷い無く二人の元へと駆け出していく。

だがその時二つの魔法陣がメイに向かって展開される。


「え——————」


そしてその魔法はメイに向かって放たれた。


「メイ!!!」

「ふう、危なかった。ひどいよ二人とも、いきなり撃つなんて」


どうやら無事のようだ。

ギリギリの所で魔法か何かで退けたのだろう。


「侵入者を排除する」

「ねえ、メイ。あいつ等なんか様子が変じゃない?」

「確かに村で会った時とは少し違う印象だけど、私からしたら別に変り映えしないんだけど」

「ううん、違うよ。だってあの二人には意思がないもん」


そう言うメイの表情は少し悲しげだった。


「お前らはここで殺す」

「やってやるっす」



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