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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十三章 奪われた者達の決戦
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その二十四 ツキノ&ハイトの研究所探索その2

トガを檻から解放する、捕まった人が何処に連れていかれたのかを知る為にはそれしかないのか。

いや、こんな奴を信用するわけには行かない。


「聞きたい事がある。何の目的でお前はここに居るんだ。他の仲間はどうした」

「何だ何だ、それに答えれば出してくれるのかよ」

「そんなわけがないだろ」

「ちぇっなら答えるわけには行かねえな」


こいつ、やはり信用出来ねえ。

こいつの魂胆は分かってる。

解放した瞬間、魔法で襲い掛かるに決まってる。

ん?待てよ、そもそも何でこいつはここに居るんだ。


「おい、檻の中に居た奴らは連れていかれたんだろ。何でお前はここに残ってんだよ」

「あ?そんなこと聞いてどうする。今関係ねえだろ」


何かあるはずだ、ここに残らなければいけない何かが。


「檻から出たいのなら連れていかれた人達と一緒に出ればよかっただろ。何でわざわざここに残って、それで檻から出たいなんて言うんだ。手間がかかるだけだ、お前の力なら出た瞬間に檻を出した奴をやる位造作もないだろう。そうすれば簡単に自由になれるはずだ」

「‥‥‥」


トガは黙ったままこちらを睨みつける。

先程の余裕な笑みは消えている。

どうやら突いて欲しくない事だったのかもな。


「それをしなかったという事はもしかしてそうせざる負えなかったってことか」

「お前、あいつみたいでうぜえな。そんなことどうでもいいだろうが!ほら、早く出さねえと逃げられるぞ!」


後もう少しでこいつが来た理由と出られなかった理由が分かるのに。

もしかしたらそれを付けば安全にこいつを利用できるかもしれない。


「うで‥‥‥」

「え?」


先程までずっと静観していたツキノがぽつりとつぶやいた。

するとツキノがトガに向かって指を指す。


「うで‥‥‥隠してる‥‥‥」

「うで? まさか!おいトガ、服をめくって腕を見せて見ろ」

「何でそんなことしないといけねえんだよ。やる訳ねえだろうが」

「見せないってことは見せたくない物があるってことだよな」

「っ!ああっうざってえ!時間がねえんだよ、はやく俺を檻から出せ!」


トガは取り乱す様に檻をガタガタと揺らして焦りを募らせる。

どうやら込み入った事情がありそうだな。


「隠しってる事を話せ。そしたら解放してやる」

「くっ!ああ、分かったよ。見せりゃあいいんだろうが!」


トガはやけくそ気味に腕をまくるとそこには奴隷の印が刻まれていた。


「やっぱりそうか。これでお前が檻に居続けた理由が分かった。逆らえなかったんだろ?ここで何かをすれば奴隷の印のペナルティで殺されるからな。命を握られてるってことか」

「ああ、そうだよ。あいつ俺達にこんな物付けさせやがって、運が悪かった。いや誘い込まれたのか、せっかく慎重にやったのによ」

「もしかして王の誰かにやられたのか」

「カノエだよ。あいつが研究所を守ってやがったんだ。あの日は村へと向かってるって情報だったんだが、最初からバレてたってことだ」


カノエ、そう言えばリドルもカノエに返り討ちに合っていた。

もしかしたら侵入者や邪魔する奴を消すのがカノエの役目なのかもしれない。


「それでやられてここに捕まったのか。それでどうして脱出しなかったんだ?研究所に残り続けた理由は?」

「俺達はこの研究所をぶっ壊しに来たんだよ。そうすればガイスの計画も少しはずらせると思ってよ。あいつに一泡吹かせたかったんだよ」

「なるほどな、それで結果的に相手の方が一枚上手だったってことか」

「うるせえよ」


とにかくこれでトガが研究所に残り続けた理由と檻から出なかった理由が分かった。

そしてその結果、このチャンスを逃すわけには行かない。


「さあ話したぜ。さっさと俺を解放しろ。お前らもこの研究所をぶっ壊しに来たんだろ?何なら手伝ってやってもいいぜ」

「手伝いなら結構だ。協力ではなく従ってもらう」

「何だと」


俺は懐からある薬を取り出す。

それを見たトガが不思議のそうにそれを睨みつける。


「これはある天才発明家と助手が作った薬だ。今のお前からしたら喉から手が出るほど欲しい物だ」

「まさかそれは‥‥‥っ!」

「奴隷の印を消す薬だ。トガ、俺達の為に研究所を破壊してくれるよな」

「ははっ!思いもしなかったぜ。まさか奴隷の印を消す薬が存在するとわなあ」

「で、どうすんだ?これは取引だ、檻から出すのはいいが俺達の言う事を聞いてもらう。全てが終わったら薬を渡してやる」


もちろん、薬を渡さずに言う事だけを聞かせる。

こいつを野放しにしたらまた何かされると可能性もある。

ガイスとの戦いが終わるまではこれ以上面倒事はごめんだ。


「取引か。めんどくせえな。だが今の状況は俺も良くは思ってねえ。分かったよ、お前の言う事を聞いてやるよ」

「もし、檻を出した瞬間に俺を殺して薬を奪おうとしているのならツキノが薬を破壊する。そう言う事はやめた方が良い」

「そんなことしねえよ。お前もそれなりに鍛えてるようだしな。さすがに今のお前を瞬殺できるとは思ってねえ」


確かに今の魔力レベルならトガと差があるとは感じられない。

だが機会を伺っているのは確かだ。

油断は出来ない。


「じゃあ、取引成立だな。檻を開けるぞ」


俺は捕まっているトガの檻に触れる。

かなり頑丈だな、これほどの檻があるってことはそういう生物を閉じ込める前提ってことだよな。

やっぱりここの研究所は生物実験を行っていたのか。


「少し離れてろ。ぶつかると怪我するだろ」

「はっお前の魔法如きへでもねえよって言いたいところだが今回は素直に従ってやる」


そういうとトガは奥の方へと身を置く。


「ファイヤーバインツ!ロックガン!」


炎で檻を熱した後、その部分を岩で破壊する。

それにより人一人分出てこれるほどの穴が開いた。

そこからトガはゆっくりと出て来る。


「うーん!ようやく自由になれたぜ」


トガは体を伸ばすと声を漏らす。


「それじゃあ、早速言う事を聞いてもらうぞ」

「ちっ分かったよ。逃げてった奴らの場所を教えればいいんだろ?」

「ああ、隠し通路があるんだろ?それは何処だ」

「ええっと、確かここだったような‥‥‥」


するとトガは何もないはずの壁を触り始める。

そしてその一部分を押し込むと壁が動き出し隠された道が出来た。


「ほらな、すげえだろ」

「やってもらわなきゃ困る。行くぞツキノ、トガ下手な事したらすぐに薬を割るからな」

「ちっ分かってるよ」


俺達はすぐにその通路を通って連れていかれた人達の後を追う。

中は明かりがともっており暗くはなかった。

元からこういう事を想定して作られた物なのだろう。

意外と汚れは少なく道は一本道だった。

その分、前方に人が見えないのは不安になるな。


「捕まった人‥‥‥連れてかれた‥‥‥」

「まだ分からない。このまま進めば合う可能性はある。だけどこの道が何処に出るか次第だな」


流石に罠ってわけじゃないだろう。

ここの奴とトガがグルの可能性もあるが、素直に従うような奴とは思えない。

俺達は警戒しながらも慎重に奥へと進んで行く。

すると終着点に着いたのか、目の前には扉が現れた。


「この先に居るのか」

「あるいはもういないかだな」

「それってどういう意味だよ」

「さあな知らねえよ。ただそう思っただけだ」


行くしかないか。

俺はゆっくりと扉を開くと、するとそこは同じような研究室と繋がっており外と繋がっているというわけでは無かった。


「地下研究所か?」

「嫌な‥‥‥気配‥‥‥」

「何かいるのか?」

「きゃああああああ!」


その時突如叫び声が聞こえて来る。

今の声はあの部屋からか!

俺は声が聞こえた方の部屋の扉を開く。するとそこは開けた場所になっており、先程よりも機械は少なかった。

だがそれよりも先に目に留まったのが巨大な生物だ。


「モンスター!どうしてここに」

「た、助けてください!!」


女の人は腰を抜かしたのか床に這いつくばるようにしてこちらに向かおうとする。

そしてその近くには無残な肉片が散らばっていた。


「あぶない!」

「たす――――――」


その瞬間、女の人の胴体は泣き別れになった。


「おいおい、どうする?これはかなりやばい状況だぞ」


目の前に居るモンスターらしきものはいつも見かけるものとは明らかに違っていた。

複数のモンスターが組み合わさったようなそんな異形の姿となっていた。


「やるしかないだろ!」



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