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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十三章 奪われた者達の決戦
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その二十二 ガイの研究所探索その2

「そう言うの大好きだ」


突如目の前に現れた男、何者か知らねえが戦うのなら何でもいい。

とにかくあの佇まいと雰囲気で察するぜ。

こいつはただ者じゃないってな。


「ちょいちょい、待て待て。いや~まさか全肯定とは思わなかったよ。おじさん流石にびっくりだわ」


そう言って先程まで戦う意思を示していたのにいきなり身を引く。


「おい、戦うんじゃないのかよ。こっちはもうその気なんだぞ」

「普通格上相手に喧嘩売られたら身を引くと思うけどね。若いっていうか怖いもの知らずっていうか」

「格上と思ってないからじゃねえか」


その言葉に男は眉を吊り上げる。


「それはさすがに選択肢には無かったな。俺の名前はフーリャ、ただのしがないおじさんさ」

「俺はガイだ。最強になる男だ」

「自信家なのはいいことだよ~でも戦う相手を見極められない様じゃただの口だけになるかもね」

「そりゃあ、俺が負けたらの話だろ」


ようやく戦闘だ。

ここ最近は凄い奴らばかりを相手にしてまともに戦えなかった。

自分の弱さしか見えなかった、だからこそ今の俺がどれだけ通用するのかそれを確かめる絶好の機会だ。


「ポイズンアロー」

「毒矢っ何処に打ってんだ」


あの角度じゃ俺には当たらないぞ。

いや、これは俺に向かって打ってるんじゃないのか。


「あいつかよ!エイムサンダー!」


俺は後ろで寝ている女に向かって行く毒の矢を魔法で防ぐ。


「おい、何で後ろの奴を狙うんだよ」

「明らかな弱点は狙うものだよ。長い間生きてきたおじさんのアドバイスだ。本気で勝ちたいのなら、時には非情にもなるべきだ!」


今度は複数の魔法陣を展開して来る。

しかもこの魔法、全部範囲が広い。


「グランドファイヤー、ラノストーム、ロックニードル」

「やべえなこれ!」


いきなりの強力な魔法、炎に巻かれた竜巻が尖った岩をまき散らして辺りに襲い掛かって来る。

一番厄介なのがあの岩だな、風で吹き飛ばしてる分規則性がないから読めない。


「だけど、読めなきゃ吹き飛ばすまでだ!サンダーボルテージ!ハイソウルサンダーボール!」


迫ってくる魔法をさらに強力な一撃で強引に吹き飛ばす。

視界が晴れた時フーリャの姿が見えなかった。


「あいつどこに行きやがった!」

「この子は返してもらうよ」

「っ!?テメエ!」


気付けば先程まで寝ていた女の姿がなく二階から女を捕まえているフーリャの姿が見えた。

あいついつの間にあんな所に。


「この子は大事な実験材料だからね。残念だけど君に渡すことは出来ないよ。おじさんも怒られたくないからさ」

「うるせえ!その子はもう関係ないはずだ。死にかけてんだぞ」

「確かに、この子は実験の後遺症で体は変貌し今にも死にそうだ。だけどね、それでも生きている内は研究対象なんだよね。おじさんの言っている意味分かるかな」

「分からねえよ。分かりたくもねえ」

「この子はもう助からないってことだよ」

「だから分からねえって言ってんだろ!」


人実が居る以上、迂闊には手を出せねえ。

だけどそれは昔までの俺だ。

今の俺は魔力コントロールもちゃんと出来る。

あいつの為にも強くならなくちゃいけないんだよ!


「エイムサンダー!」

「おっと」


フーリャは狙いを定めた雷の一撃にギリギリの所で体を逸らして避ける。

それを待ってた。


「それは囮だ。本命はこっちだ」

「なに――――――っ!」

「サンダーネット!」


奴の後ろにこっそりと魔法陣を展開してそちらの方に体を傾けるように誘導させた。

それにより雷の網に捕まりフーリャの体が硬直する。

そして女がフーリャの手から解放される。


「今だ!」


俺は二階に上る階段をすっ飛ばして直接二階へとフーリャに向かって飛び膝蹴りをくらわす。


「くっ!」

「ハイボルテージサンダー!」

「ポイズンベール!」


薄い膜のような毒が雷の一撃を防ぐ。

だがこれで女と奴を離れさせることは成功した。

だけどこいつを何処に置いて行くのかが問題だ。


「ふう、容赦のない膝蹴りを喰らわしてくるとわ。魔法と違って物理は結構痛いんだよ」

「痛く無きゃ殴った意味がないだろ」

「駄目だな、最近の若者は年上を敬おうとは思わないのか。まっおじさんはそう言う若者の特権は嫌いじゃないけどさ。お荷物抱えて俺に勝てると思ってる?」


そう言うとフーリャは地面に魔法陣を展開させる。


「ポイズンインセクト」


その瞬間、魔法陣からうじゃうじゃと気持ちの悪い生物が這い出て来る。


「毒の虫たちだ。噛まれても、触れてもアウトの猛毒の虫たち。せいぜい逃げ回ってくれよ」

「逃げ回る?俺がそんな事するわけないだろ、最強を目指す奴が逃げてたまるか。辿り着く前に破壊すればいいだろ!サンダークラッシュ!」


こちらにわらわらと向かってくる毒虫たちに向かって俺は魔法を放つ。

だがその時フーリャは特に止める様子もなくその光景を見守っていた。

それを見て何かがあると思った時にはすでに毒虫たちに魔法が直撃していた。


「っ!?」


その瞬間、突如破裂して毒が撒き散らされる。

やられた、わざと破壊させたのか。

雷は地面を伝って広がって行く。

それにより連鎖的に毒が撒き散らされていく。


「どうやら勝負ありのようだ。やっぱり若気の至りという事か。俺の毒を喰らえばすぐに動けなくなり、死ぬぞ」

「へっこんなもん全然効かないぞ」


まじいな、毒がちょっと当たっちまった。

女には当たんなかったからまだよかったけど、この状態だとそう長くはもたないな。

俺は女を近くの檻の中に入れて扉を閉める。


「まさかまだやるつもり?やめておいた方が良いよ、毒を喰らった状態じゃ俺に勝つのは不可能。おじさんの言う事を聞かないからそうなるんだよ」

「俺は死なない。俺は死ぬわけには行かない。死ぬ時は最強になった時、まだそこまで俺は行ってない。お前如きに負けている場合じゃないんだよ!」


さっさと戦いを終わらせて毒を治す。


「レベル魔法ギガボルテクスサンダー!」

「おっと、頑張るね~若者の底力は侮れないな。念のためにダメ押しをするか。レベル魔法ポイゾネスデーモン」


二つの魔法がぶつかり合い、その衝撃で相手の毒が飛び散る。

くそ、じゃまくさい。

あの毒のせいで集中できない。


「っ!」


足元がふらつく、視界も霞んで来た。

まずい、空間を捉えないと魔法陣が展開できない。

まだ終わるわけには行かない。


「ハイボルテージサンダー、サンダーボルテージ、サンダーエッジ、ライジングサンダー!」

「見当違いの方向ばかりだな。どうやらここまでのようだ」

「ボルトリレース、サンダークラウィング、ハイソウルサンダーボール、ストライクサンダー‥‥‥」


視界がもう見えない、切り替えることでしか魔法を放てない。

それでも魔法を放ち続けろ。

後もう少しだ、後もう少しで。


「サンダー‥‥‥」


視界は真っ暗になり、体が重力によりそのまま抗う事なく倒れる。


「これでゲームオーバーだね~」



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