その二十一 リドルの研究所探索その3
どうしましょう、未知のオリジナル魔法迂闊には攻撃が出来ません。
かと言ってこの状態を放置するわけには行きません。
無視して行けば他の人がカローチェさんとかち合う可能性は高いです。
何とかここで対処しないと、そしてデビさんの方の状況も気になる所です。
僕はそのまま通信機の縁を押す。
「デビさん聞こえますか?状況を教えてください、ガイスはどうなったんですか?」
だがその通信機から音が聞こえて来ることはなかった。
聞こえてないんでしょうか、やはり便利とまではいきませんか。
「さてと、先ずはこちらの状況を何とかしないといけませんね」
突如現れた繭のような物、恐らくこの中にカローチェさんが居るんでしょう。
もしかしたらこれは罠で本人はすでにどこかに隠れている可能性もありますが、先程の様子からしてそんな冷静な判断は出来そうにないんですよ。
「攻撃するか待つか‥‥‥」
動く様子は全くないですね、そうなるとやはりこちらから仕掛けるべきでしょうか。
カウンタ―型だと厄介ですが放置してもしさらに脅威となって出てきた場合、僕だけじゃ止められないかもしれない。
「決めるのは早くしないといけません。待っていられる状況ではありませんし」
動く気配が全くないとなるとやはりカウンター型だと言う事でしょうか。
破壊されることで何かが起きるとなると、僕のオリジナル魔法を使うべきでしょうか。
ですが殻に閉じこもると言うこと自体がオリジナル魔法なのか、それてもそれはただのおまけで殻を破壊した時がオリジナル魔法なのかが問題ですね。
僕のオリジナル魔法は僕自身がそれを視認し、認識をすることが出来れば無効化が出来ます。
この状態で使ったとして、もし強力な攻撃が発動すればそれは防ぐことが出来ない。
それはこの繭を使った攻撃なのか、中に居るカローチェさんが出す一撃なのかによっても防ぐものが変わってきます。
「‥‥‥やりますか」
魔法は使わない、おそらく繭を破壊したことにより何かが起きると言うよりかは中に居るカローチェさんが何かをしてくると予想します。
それならまだ魔法を使うのは得策ではありません。
そして魔法の威力も範囲も最小に押しとどめます。
カウンター型だとすれば威力に応じて一撃が重くなった場合、こちらが不利になりますから。
僕は出来るだけ魔力消費を抑えて繭に向かって一撃を放つ。
「アグレッシブフルート」
そして繭に一撃が入るとそこからひびが入る。
「割りましたね‥‥‥」
「っ!」
来る!
すぐに魔法を放てるように構えていると、その日々が徐々に広がって行く。
「価値を見出しました。あなたが破壊するまでにかかった時間はおよそ三分四十五秒」
「それがどうかしましたか?」
さっきまでと様子が違いますね。
冷静を取り戻し、体中から自信が満ち溢れている。
「あなたは理性的で物事に対して先ずは考えてから行動を起こすタイプだと思ってました。だからこそその価値のある時間が生まれた」
「言っている意味がよく分かりませんね。。その時間が一体何だと言うのですか」
何か来る、そう僕は直感しスコープを発動させる。
次の一撃は必ず防がなければいけない。
「ゴミでも価値を見出すことが出来る。この時間が私の黄金期です」
「っスコープ!」
それは一瞬の出来事でした。
咄嗟の判断、何かが飛んでくると認識した瞬間僕は魔法を発動させていた。
そしてその刹那体を突き破るほどの衝撃と共に体中が水浸しになっていた。
これは水の魔法?
「やっぱり魔法を無力化出来るオリジナル魔法があるんだ。ああー殺せなかった理由がようやく分かった」
何かが違う、明らかにさっきよりも魔法の威力が向上している。
「今度こそ、死んでくれますよね」
「くっ!」
僕は全速力で駆け抜ける。
明らかに次元の違う強さになっている。
今の僕では太刀打ちできません。
失敗だった、あの口ぶりからするに眉を直ぐに破壊すべきだった。
僕の考えは間違っていました。
おそらく繭を破壊するまでかかった時間分、カローチェさんは誰にも負けない。
「——————っ!?うぐ!」
突如足に痛みが走り思わず転倒してしまう。
「何ですか‥‥‥っ足が」
血がにじんでいる、いつの間にか足をやられたんですか。
魔力が全く感じられない、さらに先程よりも強い力これは勝てないですね。
「二分十五秒、余命はもうすぐ。残念だけどここで息絶えてもらうわ」
「前まであんなに悲観的でしたのに、随分と自信満々になりましたね」
「あなたが私の価値を作ってくれた。だから感謝しなければならない。この時間はあなたに捧げよう」
「それは遠慮させていただきますよ!」
僕は体を反転させて魔法陣を二つ展開させる。
だがその魔法は発動される前に破壊され、両腕に痛みが走る。
「がっああああ!」
背後に魔法陣が二つ、いつの間に展開されていたんですか。
僕の魔法が発動するよりも早く魔法を放たれれば打つ手はないですね。
「残り一分、最後に言い残すことはありますか?」
「そうですね、最後に言い残す事ですか」
両手足をやられて逃げることも出来ない。
魔法を放つ隙もくれませんね。
どうやら僕はここまでの様ですね。
「最後は楽に逝きたいですね。心臓を撃ち抜いてください」
「要望は応えてあげる。それがあなたが私にくれた価値の恩返し、ああーようやくあの人の隣に居られる」
僕は運命を受け入れるように目を閉じた。
「ウォーターコンプレッションガン」




