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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十三章 奪われた者達の決戦
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その二十 リドルの研究所探索その2

異様な雰囲気を纏った女性、おそらくかなりの強敵でしょうね。

さっきの魔法の威力を見ただけでその実力は容易に分かります。


「あなたは何者ですか。この研究所を守る奴隷ですか?」

「質問をされた、どうせゴミのような私の言葉はすぐに忘れ去られるだろうけど、私はカローチェ何の面白みのないつまらない女です」


そう言うとカローチェさんという女性は体をゆらゆらと揺らす。

何だか今にも倒れそうな程肌も白くやせ細った体をしていますね。


「十分個性的な方だと思いますけど」

「気を遣わせた。私のようなカス人間に気を遣わせてしまった。私は存在しているだけで人々に迷惑をかける」

「さっきから自己肯定感の低い発言ばかりですね。そんなこと言うのなら素直に道を開けてもらえませんか?」


なるべく戦闘は避けて行きたい所ですが、そんな簡単に行けたら苦労はしないと言うのも事実です。

するとカローチェさんは体を揺らしながらクマが出来た瞳で僕を見る。


「残念だけどそれは出来ない。あなたには息絶えてもらえなければ困るから、ごめんなさい」

「謝るのならやめてもらいたいですね。ですがやる気と言うのなら遠慮はしませんよ」


すぐに倒してアイラを助けに行く。

先手を取ろうと動き出した瞬間、突如研究所に響き渡るアラームが聞こえて来た。


「な、何ですか!?」

『侵入者、侵入者!直ちに研究対象を保護した上迎撃してください。繰り返します――――――』

「これはもしや誰かが警報を鳴らしたんですか」


まずいですね、今の内容を聞くに捕まった人々がこことは違う場所に連れていかれると言う事。

急ぐ理由がまた一つできましたね。


「っ!?」


気が付くと目の前に魔法陣が展開されており僕は咄嗟に切り替えを行った。


「アグレッシブフルート!」


強力な水の弾丸が数発迫っていたがそれらすべてを跳ね返す。


「ああーまた殺せなかった。やはり私はただのゴミ、いやゴミ以下だ」

「その言い方ですと僕を殺せるのが当たり前のように聞こえるのですが」

「殺さなければいけない、それは私の使命。それが出来なきゃ私に存在価値はない。どうか大人しく死んでください」

「それで死ぬと本当に思ってるんですか?」


女性はふらつきながらも何も答えずに一瞬にして三つの魔法陣を展開する。

やはりそれ位の事は容易にやりますか。

僕は魔法を避けながらカローチェさんに向かって魔法を放つ。

だがカローチェさんは避ける様子を見せず余裕で魔法を展開してそれを防ぐ。

魔法陣を展開するスピードが異様に早いですね。


「っ!後ろ!」


いつの間に背後に魔法陣が展開されており、僕は咄嗟に風の魔法で自身の体を移動させて魔法を避ける。

さっきから魔力を感じられない魔法陣が多い。

普通なら魔法陣に込められた魔力を感じ取って何処に現れたか気付くはずなんですが、まるで彼女のように存在感が薄いですね。


「ああー当たらない、どうして避けるの」

「死にたくないからですよ。キルトルネード!」

「アイスクラッシュ」


風の魔法を氷の魔法でぶつけることで威力が相殺される。

簡単に打ち消してくれますね、やはり魔力レベルもかなり高いのでしょう。

恐らく十二か十三でしょうか。


「ウォーターガッチメント」

「っファイヤーバインツ!」


水に閉じ込められる前に炎の魔法で水を蒸発させる。

だがすでに魔法陣が展開されていた。


「アイスアロー」

「ウィンドウォール!」


ギリギリの所で魔法陣を展開したことで何とか氷の矢がこちらの方に飛んでくることはなかった。

ですがあの人の事です、もうすでに魔法陣が展開されている可能性はある注意深く周りを観察して。


「ロックブロック」


足元!?

その瞬間、体の一部が岩に飲み込まれ身動きが取れなくなる。

足元にいつの間にか魔法陣が展開されていたんですか。

やはり場所が掴めないですね。


「ようやく捕まえた。これで使命を果たすことが出来る。ゴミのような女に殺される人生で可哀そうだけど、死んで」

「まだ終わってませんよ」

「残念だけど、これで終わり」


そう言うと僕に向かって魔法陣を展開される。

今度は確実に殺す為か魔法陣から魔力が感じられる。


「シャイニングビーム」


眩い光と高温が僕の体に襲い掛かる。

その威力は僕を封じ込めていた岩すらも破壊した。


「これで使命は完了しました。ゴミとしての役割を果たすことが出来た」

「残念ですけど、まだ終わりじゃないですよ」

「え——————」

「アグレッシブフルフルート!」


僕は解放された体でカローチェさんに向かって魔法を放つ。

流石に予想外だったのかカローチェさんは反応が出来ずに僕の魔法を喰らってしまう。

だが直前で魔法を発動されたことで完全に致命打にはなり切れませんでしたね。


「何で?何で生きている。おかしい、おかしい、私は殺さなければいけない。それが私の使命だから、それが出来なきゃ私に存在価値はない。無いのに」

「どうやら余程僕の事を殺せたと核心が出来たようですね。ですが僕はそう簡単にはやられませんよ。そしてこの戦いもそろそろ終わらせましょう」


これ以上の戦いは逃げられる可能性があります。

すぐにでも倒して、アイラを助けに行かないと。


「ああーそれは駄目、駄目。逃げちゃ駄目、私はあなたを殺さないといけない。ゴミとしての価値を示さなければいけない。だから死んでくれませんか!」


すると今度は四つの魔法陣が一斉に出現する。

やはり魔法陣の展開スピードと魔力操作に長けていますね。

真正面からの打ち合いは勝ち目は薄いでしょう。

やるなら先程と同様に死角からの攻撃です。

相手の精神状態はかなり不安定です、そこを突けば隙が出来ます。


「アイスドーム!」


僕は氷のドームを作り魔法を防ぐ。

だが相手の魔法の威力はかなり高いのですぐに破壊されてしまう。


「いない‥‥‥まさか逃げた。ああーよくない、逃げられた。私がゴミだから逃げられた。敵の一人もやれないなんて、私の存在価値はない」

「逃げてませんよ!」


僕は隙を見て切り替えをした状態でカローチェさんに近づく。

だがカローチェさんは先程の驚きを見失せずにゆらゆらと体を揺らしながら僕と目線が合う。


「待ってましたよ、あなたが来るのを。ウォーターコンプレッションガン」


先程よりも早く貫通力の高い水の弾丸が僕の元へと飛んでくる。

あんなものに反応することは出来ない。

ですが、僕のオリジナル魔法ならそれに意味はない。

僕の体に当たった魔法がそのまま弾かれる。


「どうして——————っ!」


カローチェさんは僕を殺せるのが当たり前になっている。

だからこそ僕に魔法が通じないと明らかにどうようする。

そこを突きます!


「双風アグレッシブフルート!」


今度は確実にカローチェさんに当たった。

流石のカローチェさんも立てないはずです。

カローチェさんはそのまま地面に倒れた状態でピクリとも動かない。


「気絶しました?それならこの隙に薬を打ちます――――――」

「だめだめだめだめだめ」

「っ!?」


まだ意識がある。

まずいですね、完全に決めたと思っていましたが魔力抵抗が邪魔をしましたね。

それならすぐにでも追撃を。


「私はゴミだ。あの人に私はゴミとして居続けなければいけない。ここで使命を果たせなかった私には存在価値もあの人の側に居る価値もない」

「アグレッシブフルート!」


僕は倒れているカローチェさんに向かって魔法を放つ。

だがその時突如耳元で雑音が入る。


『ザッザッザッ——————』

「っ何ですか」

「価値を証明しないと」

「しまった!」


音が気になってトドメを刺し忘れてしまった!

カローチェは起き上がると焦点のあっていない目をこちらに向けて来る。


『あっ——————ら――――――』

「さっきから何なんですか」


思わず耳を抑えるとそこには通信機があった。

通信機、そう言えば付けていたのをすっかり忘れていました。

てことはだれかが通信してる。

屋内に居るからか通信が悪いですね。


「デビ、ガ——————を止められ——————じゃ」

「今のデビさんの声?それに止められなかったと言ってました?」


まさかガイスを止められなかったという事でしょうか。

それはまずいです、ガイスが自由になれば作戦が。


殻ごもりの少女(コンファインガール)

「っ!?」


その瞬間、カローチェさんが何か大きな繭のような物に包まれる。

あれはオリジナル魔法、しかも攻撃系には見えない。

まずいですね、念のために残しておいたオリジナル魔法のストック、攻撃系では無ければ意味がないです。

どうする!



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