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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十三章 奪われた者達の決戦
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その十七 ガイの研究所探索

「おらおらどけどけ!」


俺は研究所内の居る奴隷共を次々となぎ倒していく。

どうやら強さはそこまでねえようだ。

倒すよりも薬を打ち込む方が手間かかるな。


「ていうかもっと強い奴いないのかよ。何か広いだけであんまり面白くないな」


そう言えばここには人間とかが捕まってるんだったっけか。

だとしたらそう言う所に強い奴が居るかもしれないな。


「へへっそうだとしたらとにかく人がいっぱいいる所に行かないとな」


俺は早速人が居そうな場所へと向かおうとした時奥から複数人の気配を感じ取る。

すると奥から五人の奴隷が姿を現した。


「一気に来たな。それはそれで面白いけどな」

「お前が侵入者か。これ以上の横暴は見逃せないな。大人しくやられてもらおうか」

「何言ってんだ?ここまで来て大人しく捕まるわけがないだろ。止めたきゃ力付く一択だろ」


この人数、オリジナル魔法を使うか?

いや、この程度の奴らに使っている様じゃ俺はまだまだ強くなれない。

それにまだ溜まってないだろうしな、撃つとしたら最大火力だ。


「まさかこの人数相手に勝てると思ってるのか」

「勝てる!」

「っなめられたものだ。後悔するなよ!」


その瞬間、五人が一斉にこちらに魔法を放とうとする。

だが俺はそれよりも早く魔法を相手に向かって話す。


「ウォーターベール!」

「っ!ただの水如き」


五人は一斉に水を被りびしょぬれになる。

それを狙ったんだよ。


「そいつはただの下準備だ。エイムサンダー!」


的確に一人に向かって魔法を放つ。

そしてその電撃は水を伝って全体に広がって行く。


「がああああああああ!」


伝播するように流れた電流によって全員がその場に倒れる。

よし、成功した。

少ない魔力で敵を制圧するやり方を。

火力だけじゃない戦い方を。


「うっうぐ‥‥‥」

「よお、痺れるだろ?俺の電撃を喰らったんだ、しばらく動けねえよ」

「な、何者だお前等」

「おいおい、質問するのはこっちだぜ。わざわざお前だけは動けるようにしたんだから」


男は体が動けないのか頭だけを上げてこちらを睨みつけて来る。

こいつの首元にも印があるな。

やっぱり奴隷か。


「ここに閉じ込められてる奴が居るだろ?その場所を教えろ」

「人間達の居場所を教えろと言う事か。教えるわけがないだろう」


すると男は右手に魔力を込め始めるが俺はすかさず男の頭をはたく。


「がっ!——————っ」


気絶したのかそのまま男は動かなくなった。

しまった、話を聞く予定だったのにこれじゃあ分からないじゃん。


「喧嘩っ早すぎるだろ。はあ、結局自力で探すしかないのか」


俺は倒れている奴らに薬を打ち込んでから、次の場所を目指すために再び研究所を走り始める。

だがそのすぐ後に研究所内に響き渡るほどのアラームが聞こえて来た。


「何だ何だ!」

『侵入者、侵入者!直ちに研究対象を保護した上迎撃してください。繰り返します――――――』

「どうやらバレちまったみたいだな。まっそっちの方があっちから来てくれるから嬉しいけどな」


俺は思わず零れる笑みを抑えながら捕まっているであろう人達の元へと急ぐ。

走っている途中に何度か奴隷の奴らが来ていたがそいつらを迎撃して進んで行く。

するといつもの部屋とは雰囲気の違う部屋を見つける。


「何だここ?」


興味本位で中を覗き込んでみるとそこには強烈な悪臭が立ち込めていた。


「うっ!な、何だここ‥‥‥」


思わず鼻をつまみ目を狭めてしまう。

一体ここは何の部屋何だよ。

暗い部屋の奥を見ようとした時、誰かが金属を叩いたような音が聞こえて来る。


「誰かいんのか?」


もしかして捕まっている奴らが居るのかもしれない。

俺は一体目の前の部屋を後にしてその音がする方に向かって行く。

するとほんのちょっと開かれている扉から何度も何度も金属音が聞こえて来る。


「この奥に居んのか?」


入ろうとした時、またもや鼻が曲がるほどの刺激臭がしてくる。


「うっ!さっきから何なんだよ、ここは‥‥‥」


何かやばそうな感じがするが、何かが居るのなら見に行かないわけには行かないよな。

俺は一度新鮮な空気を一気に吸い込んでから、鼻をしっかりと押さえて中へと進む。

中は薄暗く何か液体のような物が壁や床に付着していた。

そしてその中心には台が置いてあり、その台には手足を拘束るような器具も付いていた。

何かこんなもの見たことあるな、確かこれは拘束器具だったか。

やばそうな感じがして来た。

音はさらに奥から聞こえて来るな。

俺は暗がりを目を凝らして壁伝いで進んで行く。

段々と音が大きくなる。

だが叩くリズムは変わらない。

奥に行くと今度は檻が大量に合った。

どうやらこの檻を叩いてるみたいだな。

その中の一番奥から音は聞こえて来る。

ゆっくりと警戒しながらその中を覗き見る。


「っ!」


その中には人間か半獣か分からない様な、片耳は折れて尻尾は半分に割れて片目が無くなっており爪は剥がれ落ちて、足が異常に肥大化したそんな姿をしていた。

そいつは何度も何度も頭を檻に叩き付けていた。

その目にはもう生気は宿っていない。


「っ!?」


さらに奥を覗き見るとさらにひどい人とは思えない様な変わり果てた姿をした死体が転がっていた。

この悪臭はこの死体の匂い、そしてあの拘束器具が付いた台は人間を半獣にする為の実験が行われてたのか?

こんな事をあいつらはやってんのかよ。

思わず拳を握りしめる。

自然と鼻をつまむ手を離していた。


「うぐっごほっごほっおい、お前大丈夫か。助けに来たぞ」


だが頭を打ち付けるのをやめようとしない。

聞こえてないのか?

もしかしたら目も見えてねえのかもしれない。


「ちょっと危ないけど仕方ねえ。ロックガン!」


俺は檻事岩で破壊をする。

すると頭を打ち付けようとして頭を下げた時、檻が無かった為そのまま地面に倒れる。


「おい、大丈夫か」


俺は倒れている奴の手を握った時、明らかな違和感を感じ取った。


「冷てえ。氷みたいだ」


生きてるのが不思議だな。

感覚ももしかしてないんじゃないのか。


「おい、分かるか?喋れるか?おい、おい!」


手を握りしめたりほっぺを叩いたりして反応がないかを探る。

やっぱり感覚がないのか?

そう思った時、そいつはゆっくりと顔を上げる。

真っ黒の瞳がこちらを覗き込む。

すると微かに唇が動いた。


「ん?何だ?」


微かに動く唇に耳を傾ける。

するとほとんど呼吸音と混じって微かに声が聞こえて来た。

その言葉を耳で聞いて頭の中で変換する。


殺して


「っ!お前‥‥‥」


こいつは死にたがっている。

そりゃそうだ、こんな姿になっちまって絶望してるに決まってる。

苦しいはずだ、死にたかったからこいつは何度も頭を檻にぶつけ続けたんだ。


「ちょっと待ってろ」


俺は懐から別の薬を取り出す。

これは半獣を人間に戻す薬だ、こいつを使えば元に戻るかもしれない。


「俺がお前を助けてやる。じっとしてろよ」


そしてその薬をゆっくりとそいつに注入する。

あいつらの言う事が正しければこれで元に戻るはずだ。

その時そいつが突如苦しみだし、うめき声を上げる。


「うっうう!うぁぁぁぁ!」


か細い声でかすれながらも声を荒げる。

苦しいのか、もしかして薬が効いてないのか。


「悪い!苦しいのか!大丈夫か」

「あがっああああああああああ!」


握る手が強くなる。

のたうち回り体中をかきむしる。

やばいやばいやばい、余計なことをしたのか。

素直に殺しておけばよかったのか。

その方がこいつの為になったのか。

俺は‥‥‥俺はどうすれば。


「あ、ああああ‥‥‥」


そしてそのままピクリとも動かなくなった。


「おい!大丈夫か!おい!」


まさか死んじまったのか!?

薬は効かなかったのか!

そう思った時、微かに温もりが戻って来たのを感じた。

そして呼吸音も聞こえて来る。

生きてる?

すると段々と生えていた耳が小さくなっていく。


「はああ、よかった」

「何が良かったんだ?」

「っ!?」


突如聞こえてきた声に視線を向ける。

すると暗がりから一人の男が出て来た。


「困るねえ~そう言う事されちゃあ~」

「誰だお前?」

「その薬渡してもらえない?」

「嫌だね。誰が渡すかばーか」


すると男はニヤリと笑みを浮かべる。


「なら力づくでいくしかないか」



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