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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十三章 奪われた者達の決戦
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その十 カノエvsサザミ&エングその2

ネッパニンス


「バーニングブラスト!」

「グランドファイヤー!」

「ライトスラッシュ!」


三人の魔法が衝突すると共に大きくはぜる。

ちっやはり俺は威力に欠ける。

魔力レベルの差もあるだろうが、やはり炎の魔法に対して光の魔法は威力負けするな。

光の魔法は速さと貫通力がウリだ、対して炎の魔法は破壊力と燃やすのを得意とする。

貫通力も火力で魔法自体が消されれば意味がない。


「エング!俺は作戦通り支援にまわる!お前は攻撃を続けろ!」

「おう、任せろ!」

「ガハハハハ!そうするしかねえよな!サザミは俺とは真正面から戦える実力はねえ。だがな、エング!お前も俺と戦って勝てるわけがねえ!戦って一度も勝てた事が合ったか」

「どうやら記憶障害のようだな!俺達は一度もカノエ様と戦った事はない!フラッシュ!」


眩い光が一周カノエの視界を遮る。

その隙を突いてエングは二つの魔法陣を展開させる。


「バーニングクロスファイヤー!」


強力な炎の攻撃がカノエに襲い掛かる。

だがカノエは高笑いを上げながらその炎を掻い潜って出て来た。


「ガハハハハ!そうだったか、すまねえな!ならこれが初めての敗北だ。ピラーオブファイヤ!」


巨大な火柱が足元から突然出て来る。

俺は何とかその攻撃を避けて次の攻撃に移る。

そうだ、カノエ様とは一度も戦っていない。

あの人は俺達が攻撃を仕掛けても魔法を使わずに呆気なくやられた。

あの人にとって俺達との勝負は戦いではない!


「シャイニングビーム!」

「ロックガン!」


俺の一撃をカノエは岩をぶつけて防ぐ。

炎じゃなくても俺の魔法じゃ一撃を入れられないか。


「ファイヤーバインツ!」

「ぐっ中々の威力だ。だが火力は俺の方が上だぞ、ファイヤーバインツ!」


エングが出現させた魔法よりもさらに火力の高い一撃を繰り出す。

あれを喰らわせるわけには行かない。


「ウォーターガッチメント!」


一時的に炎を見ずに閉じ込める。

それはほんの一瞬しか満たないが、その隙にエングが離れるには十分の時間だ。


「グランドファイヤー!」

「ファイヤーウォール!」


エングの炎が炎の壁に吸収される。

吸収されると言う事は炎の壁がより強い魔力で覆われているからだ。

やはりエングでも通常の魔法ではカノエにダメージを負わせるのは難しいか。

オリジナル魔法を使うしかない、その為にはまず俺が奴の動きを封じなければ。


「エング」

「行くか」

「ああ、頼んだ」

「何だ何だ、何か始めるつもりか?」

「ああ、お前を倒すための算段はすでに付いた」


試すしかない、本来真価を発揮するのは魔力レベル十三からだ。

だが俺は限界を超えることに時間を費やしたせいでそれ以降の魔力レベル上げに十分な時間を取れなかった。

たとえ万全な状態じゃなくてもやらない理由にはならない!


「フラッシュ!」

「また目くらましか!こんな物魔力を感じ取れば意味ないぞ!」


だろうな、だから惑わさせてもらうぞ。

あいつがやっていたようにな。


「魔法陣展開!」

「っ!数十個の魔法陣!?」


(いや、待て。どれも威力ちいせえ。目くらまし要因の捨て魔法だ。なら警戒するまでもない、目が慣れるのももう少しだ)


カノエはゆっくりと目を開ける。

だがそれよりも前に俺はカノエの懐に入っていた。


「なっ切り替えか!」

「いや、オリジナルだ。静観する者!」


触れられる!

そう確信して手を伸ばした瞬間、それは一瞬にして後悔となった。

カノエが薄い笑みを浮かべていた。

その時一瞬にしてカノエの右手に魔力が込められる。

切り替え、殺される。

今の俺の魔力抵抗で防げるレベルじゃない。

すまないエング、失敗だ。


「ライトニングアロー!」


光速の光の矢が魔力が込められたカノエの右手を弾く。

エング、まさかお前が得意魔法以外を使うなんて、だがおかげで助かった!

俺はそのままの勢いでカノエの腕に触れる。


「っ‥‥‥?何もない?」

「いや、もう発動してる」


更に進化した俺のオリジナル魔法は触れた相手の魔法を三分間封じる。

そしてそいつは一分間、その場から動けなくなる。


「エング!」

「おう、ぶちかましてやるぜ!俺のオリジナル魔法を!」


あいつのオリジナル魔法は何回か見た事がある。

強烈な爆炎とその一撃に始めて見た瞬間、俺は戦慄した。

それ以上にエングの放つ炎は。


「歯あ食いしばれよ!」

「素直に受けると——————動けない!?」


身を焦がす程のその一撃は。


「フレイムキャノン!!」


(魔法が放てない!?)


幻想的な程に輝いている!


「っ!相変わらずすさまじい一撃だな」


体が吹き飛ばれそうな程の一撃。

それを間近で受ければいくらカノエ様の体を持っていたとしても耐えられるはずがない。


「うぐっ!」


その時、エングが右腕を抑えながら跪く。


「エング!どうした大丈夫か」

「大丈夫だ、少し出力を見余った。ちょっと力み過ぎたな」

「いーい、一撃だぜ」

「っ!」


たしかに声が聞こえた。

それは煙の中からでその位置はカノエが立っている場所だ。

まさか、生きているのか!

煙が晴れた後、そこには体中焼けて痛々しい傷を残しているカノエの姿があった。


「ガハハハハ!さすがの俺も死を悟ったな‥‥‥がはっ」

「あの一撃でまだ耐えられるのかよ!」

「魔力抵抗によるものか。どちらにしろ、もう瀕死のはずだ」


まずい、動けなくなる時間は一分だ。

もう少しで体が動けるのようになる。

その前にやらなければ。


「魔法も出せねえし、体も動けねえ。どうやらサザミのオリジナル魔法のようだな」


ダメージが入っているけど、まだ倒しきるほどじゃない。


「くそ、止めをうぐっ!」


エングは再び痛みを訴えるようにしてしゃがみ込む。


「エング、無理をするな。俺がやる!」


残り十秒、その隙に五発は入れられる!


「シャイニングビーム!フラッシュボール!ライトスラッシュ!フラッシュカット!」


次々と魔法を浴びせて行く。

休む暇なんてあたえねえ。


「レベル魔法リュートライトコンデンス!」


凝縮された光がエングに向かって放たれる。

眩い光と焼き焦げるような熱が辺りに伝わって行く。


「はあ、はあ、これで何とか——————っ!?」


頬に衝撃が走る。

体が宙に浮かんだ感覚と共に地面にぶつかった衝撃が後から伝わって来る。

痛み、血、浮遊感、俺殴られたか?


「ガハハハハ!どうやら効果切れのようだな。体が動けるぞ」

「くそ、ぐふ」

「サザミ!!」

「お前の魔法は痛くもかゆくもないな。何十発撃たれようが、効かねえ」


やはり、俺じゃ力不足か。

情けねえ、エングはこんなにもダメージを与えられてるっていうのに肝心な時に俺は足手まといか。


「ん?動けるがまだ魔法は使えないみたいだな」


効果時間は残り二分弱、その間に俺が何とかカノエの動きを封じてもう一度エングにフレイムキャノンを撃てば今度こそ勝てる。


「エング、お前は無理をするな。反動で痛みが来てるだろ、俺が必ず隙を作る」

「おう、お前本当に大丈夫だろうな」

「安心しろ、殴られただけだ」


とにかく俺には俺のすべきことをやろう。


「なるほど、本命は魔法を使えなくさせるか。効果時間が分からない以上むやみには動けないな。そうなれば‥‥‥逃げる!」


その瞬間、カノエは背を向けてその場から逃走を始めた。


「‥‥‥は?」


逃げた、逃げたのか。

敵を目の前にして逃げたのか。

そんなの、そんなのカノエ様じゃない!


「カノエーーーーー!!!」


俺は無我夢中で走って行った。

今までの言動はまだ許せた。

倒せば元に戻るクソみたいな魂が消えてなくなる。

だが、今の行動は。


『敵を目の前にして俺達がすべきことは何か。立ち向かう事だ、後ろは見るなそこには守るべき奴らが居る。不安なら横を見ろ、そこには共に戦う仲間がいる。そうだろ?』


あの人はそう言ってた。

だからこそ、敵を目の前にして逃げるようなことを。


「あの人の体でやるなあ!!」


カノエが逃げた方の部屋に入った瞬間、突如目の前が爆ぜた。


「っ!爆発!」


洞窟内でも仕掛けていた物と同じ奴。

とことん卑怯な野郎だ。


「カノエ様をこれ以上侮辱するな!」

「カノエは俺だぞ」


後ろ!

目の前にはすでに切り替えた状態のカノエが迫って来ていた。

もう時間が来てたのか!


「サザミ!」


体を思いっきり突き飛ばされる。

それにより炎が頬を掠る。


「冷静になれ!周りが見えてなさすぎるぞ、昔のお前の悪い所だ!」

「ああ、悪いな」

「どうやら追い詰められている事に気付いていないようだな」


そう言うとカノエは笑みを浮かべる。

何かをするつもりだ、嫌な予感がする。


「お前らが見せてくれたのなら、俺も見せなきゃいけないよな」


そう言うとカノエは手を振り上げる。


「俺のオリジナル魔法、炎王(ファイヤーキング)領域(フィールド)を!」



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