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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十三章 奪われた者達の決戦
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その九 ミュウラvsミズト&ナズミその3

ミュウラ様のオリジナル魔法、名前は聞いた事はあるけど実際には見た事はない。

ミュウラ様が戦う時は街の危機だから戦わない方が良いって言ってた。

見た事はないけど、あの魔法陣は絶対に触れちゃ駄目だ。


「お姉さま」

「分かってる。慎重に行くわよ」


流石のお姉さまも未知のオリジナル魔法に警戒してる。


「来ないの?私を倒すのなら来てみなさい」

「いいわ、そこまで言うのならやってあげる」


そう言うとお姉さまは魔剣を光に変化させる。

最速の剣技、何かが起きる前に切るつもりなんだ。

でも、ミュウラ様のあの余裕っぷりは何なんでしょう。

しかもあの魔法陣、その場に止まって動く気配を見せません。


「魔剣光式、光輝斬!」


眩う光と共に高速の斬撃が無数の降り注ぐ。

普通なら光の速さで放たれる斬撃は回避不可能のはずです。


「っ!?」

「今、何かしたかしら?」


ミュウラ様は一撃も喰らうことなく平然とその場に立っている。

でも私は見た、お姉さまが放った斬撃があの魔法陣の中に入った瞬間一瞬にして水に変化したのを。


「あなたの一撃お返しするわね。ウォーターガン改」

「っが!」


それは光と見間違うほどの速度でお姉さまの体を貫通してもなお勢いは止まる事はなく、岩や木を貫通していく。

そのまま膝から崩れ落ちるお姉さまを見て私はようやく体が動き出した。


「お姉さま!!」


腕から血を流している、急所は何とか外してはいますがそれでもかなり痛いはずです。

すぐにハンカチを取り出して血が出ている箇所を強く抑える。


「少々威力に掛けるわね。後もう少しでもう片方の腕も落としてあげたのに」

「お姉さまになんてことを!!」

「やめなさい、ナズミ!」


お姉さまを腕を抑えながらゆっくりと立ち上がる。

表情が引きつっています、お姉さま無理をしているのが一目で分かる。


「怒りに身を任せて突撃しても相手の思う壺よ。冷静になりなさい」

「‥‥‥はい、すみませんでした」

「大丈夫よ、私の為に怒ってくれたんでしょ。ありがとう」


そういってお姉さまはこちらに微かに笑みを浮かべる。

するとハンカチを傷口に当てながら強く縛る。


「つまりその魔法陣の中に魔法が入った瞬間、水魔法に変換されると言う事ね」

「そう言う事、さらに補足をすると水の変化はあなたがさっきやったようにより強い魔力を注ぐことで操っている。つまり私よりも濃い魔力を放てば変化は起きずに私に到達する」

「簡単に言ってくれるわね。それが出来たら苦労しないけど」

「ふふっでしょうね。更にもう一つ教えてあげる」


そういうとミュウラ様は勝ち誇ったような笑みを浮かべる。


「私の魔力はガイス様の常時供給されています。つまりなくなる事はないのです」

「そんな!それじゃあどれだけ魔力を込めたとしても覆せないと言う事ですか!」

「どうやら絶望的な状況に陥ったことを理解した様ね。あなた達に初めから勝つ可能性などないの。さらに腕を負傷したあなたはもう満足に戦うことも出来ないでしょう」

「どうやらまだ理解してない様ね」


お姉さまの冷たい声にミュウラ様は眉間にしわを寄せる。


「どういうこと」

「私達はまだ一度も二人で戦っていない。勝負はここから」

「ふふふ、そのさっきから怯えている彼女のことを言っているの?戦力としては見込めなさそうだけど」

「どうやら喋り方だけじゃなく記憶も失ったようね。ナズミは弱い子じゃない、もうワタシが居なくても大丈夫なくらい強い子よ」

「お姉さま‥‥‥」

「ならやって見なさい。この領域を突破できるかしら」


魔法陣の中に入ったら絶対にダメ。

魔法がすべて水の魔法に変えられてより強い一撃になって返って来てしまいます。


「ナズミ、あなたの本気を見せて」

「分かりました、やって見せます」


見せよう私のオリジナル魔法を、成長した私の力を。


「行きます」


意識を集中させて、全体を覆うように放つ。


「夢幻の中の人形」

「っ!?これは、一体どういう事!?」


(突然何の前触れもなく、視界が歪んだ。何も見えない、真っ暗ではないけど夢の中に居るようにはっきりと認識が出来ない)


「どうやらかなり困惑している様ね」

「自分がどういう状況に陥っているのか分かっていないでしょ」

「視覚聴覚を奪われた感覚はどう?」

「何、声が複数聞こえて来る」


(位置が掴めない、遠くにいるようで間近にいそうな不安定な声色)


「なるほど、これがオリジナル魔法か。だけどこんな物、魔法ですべて消し去れば意味ないでしょう!」


そう言ってミュウラ様は全方位に魔法陣を張った。

その瞬間を待ってました!


「お姉さま!」

「っ!?」


その時、ミュウラ様の懐にお姉さまが現れる。

ミュウラ様からしてみれば突然お姉さまが現れたように見えたはずです。


「魔法陣の中に入った瞬間、水に変化するのなら最初から入ってればどうなるのか。試してみる?」

「ミズト!!」


お姉さまは降りぬく時、瞬間的に魔力を凝縮して剣を振りぬいた。

雷の剣はミュウラ様の体に強烈な一撃を浴びせた。

はずだった。


「答えは水になる」


お姉さまが放った一撃はすべて水の魔法に変えられてしまった。

あの距離はまずいです!


「さようならミズト、最初の脱落者ね。ウォーターランス改!」


水の槍がお姉さまの体を貫通した時、それは蒸発するかのように霧散していった。


「何?」

「ま、間に合いました‥‥‥」


これ以上はもう空間を維持できません。


「元に戻った‥‥‥なるほど、どうやら維持できる時間には限りがある様ね」

「はあ、はあ、はあ‥‥‥お姉さま大丈夫ですか」

「大丈夫よ。それにしても瞬間的に魔力を上げたのに水に変えかえられた。どうやら私達の魔力じゃ回避する方法はないようね」

「そんな、それじゃあ攻撃が通りませんよ」

「ようやく理解しました?私に勝てる可能性はゼロだと言う事を」


攻撃が当てられないのなら倒すことはほぼ不可能です。

どうやって魔法を当てれば。


「ナズミ、あなたの幻覚魔法は——————」

「はい、可能です」

「分かったわ、それで行きましょう」

「なにやら考えがまとまったようね。また先程の魔法を使うのかしら」

「その笑みが消えることを覚悟して」


さっきと同じように空間を一気に広げるようにして。


「夢幻の中の人形!」

「っまたか」


(気配が複数ある様で消えたり現れたりしている。この世界に入ると何もかもが信じられなくなる)


「魔剣炎式」

「懲りずにまた攻撃するつもり?結果は変わらな——————」

「「「「「炎火!!!!」」」」」

「なっ!?四人!!」


オリジナル魔法がパワーアップしたことで複数の人物を増やすことも出来るようになった。

当然それらは実体はありませんが不意を突くのは効果的です。


「どれだけ増やしたところで、水になるから意味はない!」

「知ってるわよ、そんな事」


お姉さまはその瞬間、ミュウラ様の背後に現れる。

その手には鋭く尖った石が握りしめられていた。

そしてそれを地面に展開された魔法陣に突き立てる。

それにより魔法陣は壊れて、消えて行く。


「壊れた、馬鹿な!?」

「これで炎の一撃は当たるわよね」


その時四人に増えたお姉さまの一撃がミュウラ様の元へと迫って来る。


「ちっウォーターベール!」


自身を守るように展開された水の膜によって、ミュウラ様は一瞬攻撃を防いでその場から離れる。


「もう一度展開すればいいだけの事!」

「それはどうかしら」


お姉さまは追いかけるようにして、すぐ近くに剣を構えた状態で立ち塞がる。


「知ってるわよ、アビサルガッチメント!」

「それ、偽物よ」

「な——————」

「魔剣雷式、雷光迅速!」

「がっ!」


直撃を受けたミュウラ様は雷により体が痺れて膝を付く。

そして私はそのまま魔法を解いた。


「なるほど、私はずっと騙されていたのね」


そこにはオリジナル魔法が展開された魔法陣が存在しており、ミュウラ様はそこから離れた所に居た。


「破壊されたように見えただけで実際は破壊なんてしてない。お前を魔法陣から離れさせるためにやった事よ」

「なるほど、確かに私は少々彼女を甘く見過ぎていたかもしれないわね」


ミュウラ様は体が痺れているのかその場から動かない。

もしかして決着がついた。


「さあ、これでトドメよ」

「でもね、甘く見過ぎているのはあなた達の方でもあるのよ」

「どういうことですか」

「王はこんな事で倒れないって事よ」


それは一瞬の出来事だった。

先程ミュウラ様から引き離したはずのオリジナル魔法が突如光り輝く。


「私が解除、もしくは魔法陣から離れた時溜めてた魔力を一気に解放して放つ一撃。それは近くの者に向かって攻撃をする」

「ナズミ!!」


まずい、逃げないと——————


「シーサーペント」


それは唸るような激流でこちらをかみ殺すような鋭い視線と目が合った。

その瞬間、私は死を悟った。


「っ‥‥‥?」


痛みが来ない?

私は何が起きたのかを確認する為にゆっくりと瞼を開ける。

ゆっくりと‥‥‥まぶた‥‥‥を‥‥‥


「あ、ああああ‥‥‥」


目の前にはお姉さまが居た。


「ナズミ、大丈夫?」

「あああああああああ!」


微笑んでいるその笑みから血がしたたり落ちる。

でもそれ以上に私の目に最初に飛び込んで来たのは。

血だらけのお姉さまには左腕が無くなっていた。



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