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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十三章 奪われた者達の決戦
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その六 盗賊&怪盗

シアラルス


「さてとどうやらガイスはもうあの城の中には居ないみたいだね」


ガイスが町を離れたのをマイトが確認し、それをあたいらも確認している。

今頃デビがあの男の相手をしてくれているだろう。


「ちょっと待て!いくら居なくなったからってそんな堂々と歩くな」


今回の作戦チームに入っている怪盗のハイがビビりながら街の中を歩く。


「たく、潜入する時は気合入れたかけごえしてたのに入った途端これかい。喝入れなきゃ進めないか、ん?」

「分かってるって!覚悟はとっくのとうに出来てる。だけどガイスの魔力の残滓か知らないが、あの城からは妙な気配がするんだ」

「妙な気配ね……」


たしかにあの城からは不気味な気配を感じ取る。

盗賊やってた頃の勘だけど、近付くなって警告をびんびん感じるね。


「ならやめるかい?あんたらが逃げてもあたい一人で行くけど」

「何言ってるっしょ。怪盗ハイ&ローが城に入る位でビビるわけないっしょ」


おっどうやらもう一人の相棒の方はやる気重文みたいだね。


「て言ってるけど、どうすんだい?あんたはこのまま震えて帰るのかい?」

「な!?そんなわけないだろ!やってやるぜ。こっちには秘密道具があるんだ。ガイスの城の盗み位、パパっとやってやるよ」

「期待してるよ。それじゃあ、潜入開始だ。街には人っ子一人居なかったけど、城までそうとは限らないからね。警戒していくよ」


そのまま城付近へと慎重に進んで行く。

見張りはいないか、潜入するのは容易いね。

それが逆に誘っているようにしか見えないけど、ここはあえて行ってみるかい。


「いくよ、ハイ、ロー」


二人は頷くとそのままあたいの後ろに着いて行く。

正面の扉にたどり着きそのまま背中を扉に付ける。

罠が仕掛けられている様子はない。

そのまま切り替えて扉に手を付ける。

毒が手から放出され小さな穴をあける。

そのまま覗けるくらいの大きさの穴を作るとそこから城の中を確認する。


「うーん、明かりはないけど外が明るいおかげで進む分には問題なさそうだね。人の気配もないし、よし早速潜入するよ」

「「おー!しょ」」


扉をゆっくりと開けると長い廊下が見え、窓から光が差す。


「よし、それじゃあまずは案内人と合流するよ」

「たしかガルア様の協力者だったよな。本当にそいつ生きてるのか?正直あんなやばそうな奴を騙せるとは思えないんだけど」


ミレイ、ガルアの元側近、現在はガイスの従者としてサポートしてるみたいだけど。

本当にガイスを騙しているとなると確かにこれ以上ない協力者だね。

でも真意は分からない、奴隷の印という物が存在している以上完全に信用するのはまだ早い。


「どちらにしろ、源魔石の場所や例の機械の場所も知らなきゃいけない。会うしかないさ。安心しろ、敵ならあたいが対処する」

「さすが姉御!頼りにしてます本当!」

「姉御が居れば百人力っしょ!」

「ホント、機嫌が良いんだから。それじゃあ行くよ」


そのまま長い廊下を進んで行く。

確か待ち合わせは王の間だったね。

曲がり角を曲がろうとした時、突如人影が目の前に現れる。


「っ!?」

「ふぐっ!」


反射的にハイ&ローを抱えて隠れる。


「な、何する――――――」

「しっ静かにしな」


そのままじっと物陰に隠れる。

一瞬、人の気配がした。

ミレイか、いやここはまだ王の間じゃないよ。

王の間に通ずる廊下付近で誰かが居た。

一体誰だ。

来る気配がない事を確認してからこっそりと確認をする。


「っただの半獣?」


いや、あの虚ろの目は奴隷にされた半獣だね。

居なくなったわけじゃなかった。

城の中に隠れてたのか、それでも数は少ないね。


「何だ何だ、まさか見つかったのか?」

「いや、こっちに来る気配はないみたいだね」

「奴隷っしょ。なら早速あの薬を使ってみるっしょ」


ローは例の薬が入った瓶を手に取る。

それを専用の注射器の中へといれる。

たしか体に当てるだけで自動で体に注入するんだったね。


「薬の効果を試すには絶好の機会だね。よし、二人はここで待機。あたいがやって来るよ」



そのまま注射器を手に持ちながら気配を消して背後に忍び寄る。

視界に入らない死角から一瞬でやる!


「君とあなたの距離」

「っ!?」


首元めがけて腕を振り下ろした瞬間、そのたった一瞬で目の前に居た半獣が消えた。

そして代わりに現れたのはただの板だった。


「な、何だいこりゃ」

「あぶないところでしたよ。元十二魔導士」


その声は王の間から聞こえて来た。

そしてゆっくりと扉が開かれるとそこには一人の女が居た。


「あんたは……」

「初めまして私はガルア様の従者、ミレイです」


ミレイ、こいつが。


「何なんだ一体!さっきまで居た人が消えたぞ!」

「どういう事っしょ!説明するっしょ!」


物陰に隠れていた二人もミレイに敵意が無いと分かると堂々と出て来る。


「あれはあんたのオリジナル魔法かい」

「はい、私のオリジナル魔法は記された場所と入れ替わらせる魔法です。それよりも気を付けてください、サラさん。あともう少しでガイスを呼び寄せていましたよ」

「ほお、それは一体どういうことだい」

「ガイスは奴隷たちに自身の魔力を混ぜています。奴隷に何かが起きた時、それを機敏に感じるでしょう。奴隷から解放されたとなれば城に侵入者が居ることを自ら暴露しているような物です」

「なるほどね、そう言う事なら助かったよ。ありがとう」


ミレイは特に表情を変化させる事なく頷いた。


「作戦を成功させる為です。それがガルア様の意思なので」

「なあ、一個質問があるんだけどいいか」

「あなたはたしか、以前この城にやって来ていた怪盗の。いいだろう、質問を許可する」

「てっ何で俺にはため口なんだよ」

「あなたには城を奇襲された恨みがあるからな。それに私はお前を尊敬しているわけじゃない。だからこそこうして普通に喋っているのだ」

「何かよく分からないが、お前がすっごいムカつく奴だってことは分かった」


ハイは不機嫌そうな顔をするが気を取り直して質問を再開させる。


「とにかく俺が聞きたいのは、お前が本当にガルア様を尊敬しているかだ」

「ふっそんな質問か。答えは当たり前だだ」

「口だけは何とでも言えるっしょ。本当にガルア様を尊敬している証明して見せるっしょ」

「いいだろう。ガルア様のすばらしさをお前等にも伝授しよう。まずはガルア様との出会いから、あれはまるで雷に打たれたような衝撃だった。ガルア様のあの凛然とした——————」

「あーもういい。もう分かった。お前ってそっち系何だな」


ハイはすでに理解したのかミレイの話を中断させる。


「そっち系とはどういう意味だ」

「はいはい、無駄話はここまでだよ。ミレイ、知ってるんだろ。源魔石居場所」

「はい、知っています」

「なら、案内してくれないかい。すぐにでも回収したい」

「分かりました。それでは行きましょう源魔石のある場所へ」


―――――――――――――――

「キンメキラタウンに何をしたのじゃ!」

「奴隷たちを送った。今最も警戒すべきなのはブライドとクリシナそしてコソコソと隠れている残り二名のみだ。それ以外は眼中にない」


四方向からの別属性魔法!


「デビルオンインパクト!」


周りを吹き飛ばす威力の魔法を放ちその場から離れる。

やはり魔力が無限に沸くと言うのは厄介じゃのう。

妾の魔力も無尽蔵じゃが有限じゃ。

このままじゃと分が悪いが、引くわけには行かないのじゃ。


「伝わって来る。魔力の消費がどうやらかなりの激戦を繰り広げているようだ。この島中すべてが戦場のようだな」

「魔力がいくらあっても、魔法の切れが悪くなっておるぞ!!」


どうやら他の者が魔法を使いまくってるせいで魔力の消費が激しくなっておるようじゃのう。

先程の魔法程の威力はない。

これならまだ長く戦えるのじゃ。

とはいっても島中の者に魔力を当てる何てどんな化け物じゃ。

とにかく皆が一斉に戦いを始めている今がピークじゃ、そのピークが過ぎた時が本当の正念場じゃ。


「まだまだ楽しませてくれよ!小童!!」

「その狂暴っぷり、まさしく地獄の王だな」

(予想以上に魔力消費が激しい。奴隷共にも魔力を分け与えるのはさすがに無理し過ぎたか。肉体は全盛期に戻り、魔力もそれなりに蓄えたつもりだったがまだ目覚めて間もないうちは上手くは行かないな)


「どうしたのじゃ!妾はまだまだやれるぞ!」


(どうやらただのやせ我慢じゃないみたいだ。本来なら回避不可能の角度から魔法を放っているはずだが、そのさらに上を行く威力の魔法ですべてを弾き飛ばしている。俺の魔法ではほとんど奴にダメージを負えせられない。さすがに魔力レベルの差はあるな)


「だが、水滴ですら石を穿てる。少しずつでいい、その小さなダメージが地獄の王を殺す事に繋がるのだから」



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