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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十三章 奪われた者達の決戦
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その五 集結する奴隷たち

研究所付近の森

リドル(魔力レベル11)ハイト(魔力レベル12)ツキノ(魔力レベル13)ガイ(魔力レベル14)+ぺプロ(魔力レベル10)チーム


研究所へ向かうルートを歩いている時、デビさんとサラさんの通信が通信機から聞こえて来た。

どうやらあちらも本格的に動き始めているみたいですね。

そうなると他のメンバーも各々戦闘を開始しているかもしれません。

動き出しとしては僕達の方が一番遅いかもしれませんね。

まあ仕方ない所ではあるんですけど。

僕はちらりと後ろを確認する。


「おいガイ!勝手にどっか行こうとするな!研究所はそっちじゃない、迷ったら誰がお前の事を探すと思ってんだ」

「何だよ、ハイトうるさいなあ。大丈夫だよ、ツキノも一緒に連れて行くから。こいつと居りゃ迷わないだろ?」

「私……迷う……」


騒がしいですね。

メンバーがメンバーなだけにこうなるとは予想できましたが、さらに人数も他の所よりも多いですし仕方ないんだすけどね。


「ねえねえ、お三方ちょっと静かにしません?見張りが居るかもしれないですよ」


戦闘を歩いていたぺプロさんが後ろで騒いでいる三人を注意する。

ぺプロさんは研究所の案内人として途中で合流した。

本当はそれ以前にぺプロさんは宿で休んでいましたが、それは念のため伏せている。

だからメイさん達が捕まっているという事も他の人には言えていない。

だけどそれでいい、これ以上責任を他の人達に押し付けるわけには行かないんですから。


「とにかく研究所はもう少しなんですよね、ぺプロさん。それなら少し気を付けて進みましょう」

「ああ、分かってる。ガイ、研究所では自由行動が許されてるんだ。それまで我慢しろ」

「ちぇっ分かったよ。だったら早く研究所に行こうぜ」

「研究所はもうすぐ見えて来るよ。確かここら辺で……あっ」


その時ぺプロさんは歩みを止めた。

それは目の前の光景によるものだろう。

研究所は確かに見えましたが、それ以前にその周りは何かが暴れまわったような痕跡が残されていた。


「戦いの後だな……」


ハイトさんは周りの折れた木々や地面を見てそう判断した。

確かにここには微かに魔力が残されている、それはかなりの威力の魔法が使われていたことを意味する。


「うおーこんな強い奴が居るのかよ!わくわくするな」


ぺプロさんのあの時の言葉と今の表情を見る限り、ここでメイさん達とカノエが戦ったという事でしょう。

かなり激しい戦闘をした形跡はありますが、幸いメイさん達の姿はないですね。

僕はそのまま呆然と立ち尽くしているぺプロさんの横に立つ。


「メイさんとガビットさんはカノエに負けて研究所に連れていかれてしまったようですね」

「そ、そうですね……」


まだ不安は消えませんか。


「ぺプロさん、一緒に探しましょう。仲間を信じるのは当たり前の事ですよ。僕は信じています」

「う、うん、私もメイを信じる。信じるよ」


まだ完全には立ち直ってはいませんが先程よりも顔色はよくなりましたね。

僕は周りに人が居ないことを確認して一度集合させる。


「皆さん、ここからは別行動です。研究所に入ったらそれぞれ捕まっている人達の救助と治療をお願いします。ハイトさん、ツキノさん、ガイさんはそう言った人達を見つけて保護してください。僕とぺプロさんはアイラとミノルさん、そして研究所の中に潜入しているメイさんとガビットさんを探そうと思います。もちろん人命優先です」


本当はメイさん達も捕まっているでしょうけど、本当に潜入している可能性はありますからね。


「おいリドル」


するとガイさんが突然僕の名前を呼んだ。


「はい、何ですか」

「敵が居たら戦ってもいいんだよな」

「はい、その通りです……僕もそのつもりですから」


邪魔する者は全員倒す。

絶対に仲間は取り戻して見せます。


「へへっ俺よりやる気満々じゃん。まあいいよ、それじゃあ俺は先に行くぞ!」


そう言うとガイさんはいち早く研究所へと入って行った。

まあガイさんの実力は確かですし心配する必要はありませんね。


「それじゃあ僕達も行きましょうか。ぺプロさん、準備は大丈夫ですか?」

「うん、いつでも行けますよ」


どうやら覚悟を決めたようですよ。


「それじゃあ潜入開始です!!」


―――――――――――――――――――

シアラルス付近の山

マイト(魔力レベル12)


俺は通信から聞こえて来る声に耳を傾ける。

サポートとして選ばれた俺には特別な通信機が渡されている。

どうやらこれを開発した天才発明家のメメが周囲の状況を監視し、その状況を都度俺に送ってくれるそうだ。


「そんな事が可能だ何て、天才の考えることは凄いなあ」


素直に感心してしまう。

魔法ではないことに感心するのはこれが初めてだろう。

大した知識は持ってはいないが、それがすごい事だと言うのは十分に分かる。

先程の通信でどうやらそれぞれの戦いはすでに始まっているようだ。

デビとガイスとの戦いも始まってしまった。

あの周囲は絶対に入れないだろう。


「ここの山からもはっきりと魔法の威力が窺えるね。本当にすごい戦いだ、ぜひとも特等席で見たい所だけど、死んだら元も子もないからね」


俺が出来る事は状況を把握し、適切な対処をする事のみ。

簡単そうに見えるけど、判断を見余れば助けに行った人事死ぬ可能性もある。

スリルでありつつ俺の魔法でしか出来ない役割だ。


「また通信が入ったみたいだ……なっ何だって!?」


――――――――――――――――

「遊びにしては少々、つまらないぞ!」


こやつ、何という攻撃力じゃ!

前に戦った時よりも勢いが増して居る。

それに身体能力の向上も見られるのう、前はただのジジイじゃと思ったのに何か若返っていおらぬか!?


「中々の威力だが届かなければ意味がない。防戦一方だぞ、それとも機会をうかがっているのか?」


妾の魔法を当てるわけには行かないのじゃ。

一撃でも当たればそれは地獄への片道切符、もう戻ることは出来ないのじゃ。

互いの魔法がぶつかる事ですでに周りの木々などが吹き飛ばされきれいさっぱりなくなっている。


「妾は妾のやり方でやるだけじゃ!」


中々の威力じゃのう。

いや、躊躇いがないとも言える、これほどの魔力を消費し続けられるという事はやはりブライドが言っていたことは本当じゃったのか。

あやつのオリジナル魔法!


「どうやらすでに俺のオリジナル魔法は知っているようだな」

「何の事じゃ?」

「とぼけるな。既にあの男から聞いているだろう。まあ、お前だけに話したみたいだな」

「だったら何じゃ」

「知った所で何も変わらない、むしろ絶望が増すだけだろう。何故なら俺は今のお前には絶対に倒せない」


そう、こ奴のオリジナル魔法が本当だとしたら妾の勝ち目は限りなく薄くなる。

少なくとも攻撃が出来ぬ妾には。


「俺のオリジナル魔法永久魔力機関(エターナルマナ)は魔力を無限に生み出すことが出来る。それゆえに俺は魔力不足に陥る事はない」

「だから何じゃ!妾が遊びに勝てばそれでよかろうぞ!」


一瞬にして妾の近くに五つの魔法陣が展開される。

妾は避けられない魔法陣だけを弾き飛ばし、後はその場から離れて避ける。

さらには追いかけるように魔法陣が展開されるも魔法で全て弾き飛ばしまた移動する。

それを繰り返し、何とか戦いを少しでも長引かせる。


「ふうん、攻めている様で肝心な場面でははぐらかされる。お前の戦い方は実につまらないな。もしや時間稼ぎが狙いなのか?」

「何を言っておるのか分からんのう。妾はただ遊んでいるだけじゃ」

「それが比喩表現だと言う事はもう分かってる。まあ時間稼ぎは俺にとっても得だがな」

「何じゃと?」

「時間が経てば経つほど得をするのは俺という事だ。分かってないだろう、地獄の王。すでに俺の計画は動き出しているんだよ」


そう言ってガイスは不気味な笑みを浮かべる。

作戦が動き出しているじゃと、一体何をしたのじゃ。


「キンメキラタウン、それが奴らの本拠地だろ?」

「っ!?」

「邪魔する者は蹴散らすのみだ。むろん、そこに居る奴らも例外ではない」

「お主!」


―――――――――――――――――――――

キンメキラタウン


俺はそのままゆっくりと立ち上がり、キンメキラタウンの外を見る。


「さっきのガイスが出て行った通信を聞いてまだ数分しか経ってないよな」

「ええ、そうね。明らかに狙ったものでしょうね。それにしてもこの人数はさすがに私でもぞわっとしちゃうわ」

「島中の半獣が俺達の敵みたいだな」


城の頂点からも見える程の大量の半獣がキンメキラタウンに攻め込んで来ていた。

これ全部奴らが奴隷化した半獣だろうな。

通信で言ってた奴隷が見当たらないのもこの街に攻め込ませる為か。


「クリシナ、すぐにムラキに知らせて避難勧告を急げ」

「分かったわ。ブライドはどうするの?」

「俺は一足先に祭りに参加して来るよ。急げをクリシナ、数分後には大パニックに陥ってるぜ」



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