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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十二章 取り戻せ!源魔石争奪戦
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その三十七 使命を果たす者たちの前夜

デビの部屋


「腹減ったのう」


明日は本番当日だと言うのに腹はよく減るものじゃ。

妾の使命はガイスを仲間の元に行かせない事、重大な任務だとあやつには言われておる。

そもそも妾は今回の出来事に手を出すつもりはなかったのじゃ。

もちろん妾の仲間に危害が及ぶようなら地獄に戻る覚悟で敵を殺す覚悟もあった。

だがあやつらはそんな妾の心配などする必要がない程に強い。

ミノルだってリドルなら助け出せるじゃろう。


「じゃがそれは妾の頑張り次第じゃ」


今日の朝ブライドがわざわざ妾の元に来て、警告を促してきた。

もし、あやつらが王を倒せたとしたらその事に真っ先に気付くのはガイスだと。

そしたらそやつは十中八九王を倒した奴を殺しに行く、その足止めも妾はかねていると。


「はあ、考えただけでしんどそうじゃ。まさかこの世界に戻ってくる時はこうなる何て予想してなかったのじゃ」


いつも通りかつ達と一緒に過ごして冒険して笑い合ったりして、そんな日常を過ごすはずじゃったのにいつの間にか島の運命を背負う戦いに参加する事になるとわ。

一歩間違えればすぐに地獄に強制送還じゃな。


「じゃがこれが終われば、またいつもの日常に戻れるじゃろう。だから頑張るしかないのう」


どちらにしろ、ガイスを野放しにすればかつを殺される可能性があるのなら戦うしかない。

妾が地獄に戻らなければ行けなくなったとしても。


「うん、何か考え事してたらお腹減って来たのじゃ。寝る前の腹ごなしでもする可能」


そのままベッドに起き上がり、すぐに食堂へと向かって行った。


———————————————————————

リドルの部屋


「明日はいよいよ作戦決行日です。覚悟はいいですね」


僕は部屋の中でベッドに座るぺプロさんに問いかける。

その言葉にぺプロさんは頷きで答えた。


「あなたの事はまだ誰にも言っていません。この事は僕が引き起こしてしまった問題ですから、僕だけで片を付けます。それでいいですね」

「構いませんよ。リドルさんは頼りになりますから、私は明日今来たていで他の皆さんと合流すればいいんでしたよね」

「はい、仲間が捕まったことは言わないようにしてください。当日は建物内ではそれぞれ別々に行動をするつもりです。僕達の目的は仲間の奪還と奴隷の解放ですから」


今日の朝、ブライドさんからあることを言われた。

奴隷を解放する為の薬と半獣を人間に戻す薬を作ったと。

無理矢理半獣にされた人々を人間に戻すことが出来る。

それをする理由は今の技術で代償も無しに半獣化をするのは不可能だと言う事。

つまり、半獣化された者は数日で死んでしまう。

その為にも無理矢理半獣化された人は人間に戻さなければならない。


「やる事が多いですね。正直私はメイだけでも助かってれば安心なんですよ。薄情だと言うのは分かってますよ、でもやっぱり仲間だから優先しちゃうんです」

「気持ちは分かります。全員助けると言っても自身の中で優劣を付けているのは僕も同じですから、ですが全員助けると言うのは本当です」


一番の懸念点はその半獣化させる薬をアイラが打たれていないかという事だ。

ミノルさんが居るから大丈夫だとは思いますが、とにかく急ぐには越したことはありません。


「それぞれベストを尽くしましょう。もう夜も遅いですから寝ることにしましょう」

「分かりました、おやすみです」


ぺプロさんはそう言って毛布にくるまった。


——————————————————

ハイトの部屋

「ツキノ、とりあえず明日はリドルの言う通りそれぞれ別行動って事でいいよな。ガイもそれで良いか?」


俺は室内に居るガイとツキノの二人に問いかける。

その言葉にツキノは静かに頷き、ガイはうるさく答えた。


「そっちの方が色々と楽そうで良いしな!」

「自由とは言うが目的は忘れるなよ。俺達の目的は捕まっている人達の保護と治療だ。奴隷化してる者たちはどんどん薬を使って元に戻せ」

「全員……?」

「全員だ。じゃないと意味がないからな。奴隷が存在し続ける限り犠牲者は無くならないし、ガイスの戦力を落とすことも出来ない。奴隷化から救う事はこちらの勝率を上げる根拠にもなる」


リドルからは建物の場所が直に分かると言われたが、その大きさまで把握できていない。

俺達が乗り込むことが事前に分かっているだろうし、警備として奴隷は多く配置されているだろう。


「会った奴らは全員元に戻せばいいんだろ。でっ悪い奴はぶっ飛ばしてもいいんだよな!」


ガイはそう言って無邪気な笑みを浮かべる。

こいつは本当に緊張感のない奴だ、本当に事の状況を理解してるのか。

まあ実力は俺より上だから心配する必要はないだろうがな。

ツキノもここ一週間で成長した、だがガイがこの中で最も成長していると言えるだろう。

あのオリジナル魔法の威力はかなりの物だった。


「明らかな悪い奴ならだ。奴隷は絶対に傷つけるなよ」

「分かってるって、安心しろよ。それぐらいの区別は出来るからよ」


本当か、俺だけでもこいつを見張っておくべきか。

いや、やめておこう仮にも元十二魔導士だ。

仕事はきちんと果たすだろう。


「リドル……呼ばなくて……よかった……の?」

「あいつは色々とあるだろうからな。一人の時間も必要だろう。とにかく俺達は俺達の使命を果たすぞ。これで解散だ」

「おー!」

「おー」


——————————————————————

サラの部屋

「いやだ!やっぱり行きたくない!!俺は部屋の中に籠ってる」

「何言ってんだい!甘ったれたこと言ってんじゃないよ。男だろ、覚悟決めな!」

「ハイの言う通りっしょ!こんなの死にに行くような物っしょ!」

「だから、ガイスはデビが引き受けてくれるって言ってるだろ。あたいらはその間に必要な物を取るだけで良いんだよ」


未だにただをこねるハイ&ローの尻をひっぱたく。

こいつらにはどうも覚悟は足りないね。


「痛い!やめろ、こっちだって死ぬほどの依頼を何度もこなしてるんだぞ!かつに騙されて依頼を受けてその度に死に目に合ってるんだ!」

「今の時代何処も逃げ場なんてないよ。それにあたいらは比較的楽な任務だって事前に説明しただろ」

「あの時は酒で酔ってたっしょ!というか有無を言わさぬ空気もあったっしょ、場の空気に飲み込まれたと言ってもいいっしょ」


ローはそう言って言い訳を捲し立てる。

どうやらこのまま維持でも引きこもるつもりのようだね。

しょうがない、駄々をこねる子供をしつけるのは今のあたいの役目だからね。


「これ以上、わがまま言うのならあたいのスペシャル毒コースを味わう事になるよ」

「「失礼しましたリーダー(しょ)!!」」


本当に分かりやすい奴らだね。


「はあ、あんたらがここまで生き残ってきた理由が何となく分かった気がするよ。とにかく、明日の作戦は必ず達成させるよ。安心しな、あたいが付いてる以上誰一人死なせない」

「あねご!さすがです!」

「あねご、尊敬するっしょ!」

「その呼び方はやめな、昔を思い出しちまうだろ。それに城では協力者と接触しなきゃならない。分かってるだろうね」

「ああ、分かってるよ。とにかく腹くくるしないんだろ。怪盗として頼まれた依頼はこなして見せる」

「右に同じっしょ」


ただの腰抜けってわけじゃないみたいだね。

話を聞く限り修羅場も何度か潜ってるみたいだし、なんだかんだ言ってやる時はやる奴らだろう。


「それじゃあ、今日はもう寝な。明日は本番だからね。しっかり休むんだよ」


何が起きようと明日ですべて決まる、皆気張んなよ。


—————————————————————

マイトの部屋


「いよいよ明日が本番か」


この一週間はとても長かった。

途中で役割を変更したが、むしろ責任は増したとも言える。

負傷した仲間たちを無事に街へと帰す事、すぐにしなければ生命に関わる重大な任務。


「オリジナル魔法で選ばれた気もするけど、確かにブライドの言う通りだったし」


俺は王に対しての因縁を持ち合わせてはいない。

それが幸か不幸かは分からない。

どちらにしろ俺は皆とは違う位置から戦わないといけない。


「そう言えば、ブライドが仲間の情報が分かるようにするって言ってたな」


まだ情報は出てないけど明日には用意されているのかな。


「はあ、駄目だ。何だか気持ちが少しだけ落ち着かないな」


命を預かってると思うと不安が襲い掛かって来る。

確かに俺のオリジナル魔法は逃げる時には有効だ。

デュラの協力でより強いの魔法へと昇華で来た。

それでもやはり不安は残る。


「駄目だ駄目だ。落ち着こう。起きているから不安になるんだ。早く寝よう」


明日は本番、自分の使命を果たすことだけ考えよう。



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