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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十二章 取り戻せ!源魔石争奪戦
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その二十四 ピンカとマイトとツキノの魔法強化週間

「みーつーけーたー!」


普通に廊下を歩いているクリシナをピンカは見つけると猛ダッシュで廊下を走る。

そんな後ろ姿をツキノとマイトが見ていた。


「わあ、見つかっちゃった」

「見つかっちゃったじゃないわよ!わざと逃げたわね。どれだけ探したと思ってるよ」

「こら、ピンカ。クリシナが困ってるよ。落ち着いて落ち着いて」


マイトは今にも飛び掛かりそうなピンカを抑える。

そしてツキノがそっとクリシナの元へと行く。


「連れてって……」

「そんなに可愛らしくお願いされたら断れないわよ。もちろん、連れて行ってあげるわ」

「そんな事より、私はどうして逃げたのかを聞いてるのよ!」

「一度に連れて行くのは面倒だもの。それに追いかけられるのも楽しそうだと思って」

「楽しそうですってこっちは探すのが面倒なのよ!早く私を強くしなさいよ!」


再びピンカはクリシナに詰め寄ろうとするがマイトがそれを制止する。


「だから落ち着けってピンカ。クリシナを困らせちゃ駄目だよ」

「うるさいわねマイト!あんたは私の親か何かなの!」

「怒鳴ったって意味無いってことを言いたいの。とにかくクリシナが連れて行ってくれるんだから、素直に従おうよ」

「そう言う事よ。マイトは周りの事をよく見ているのね。さすがだわ」


クリシナはそう言うと微笑んで小さく拍手をする。


「そんな事ないよ。俺はただピンカが心配なだけさ」

「あらあ、もしかして二人はそう言う関係なのかしら」


クリシナはピンカとマイトを交互に見るとニヤニヤと意味深な笑みを浮かべる。


「ちょっと!なに勝手なこと言ってんのよ!こいつとそう言う関係なわけないでしょ!」

「そんな、俺はずっとそのつもりだったのに」

「はあ!?馬鹿じゃないの、意味分かんないんだけど!ていうか気持ち悪いから近付かないでよ!」


ピンカは少し頬を赤らめるとマイトを手で追い払う。

それを見てさらにクリシナは満足げに微笑む。


「ふふっ冗談よ。だからピンカもそんなに真剣に怒らなくてもいいのに」

「なっクリシナーー!」

「わあ、そんなに怖い顔しないで。可愛い顔が台無しよ!」

「うるさいわ!あんたの体吹き飛ばしてやる!」


ピンカは鬼のような形相でクリシナを追いかける。

その様子をツキノとマイトが呆れたようにして見ていた。


「まあ、こっちの方がピンカらしいか」

「うん……辛そうにしてる……表情より……まし」

「可愛らしい女の子に追いかけられるのは嬉しいけど、独り占めするのはよくないわよね。それじゃあ、行ってらっしゃい!」

「あっ!ちょっとまちな——————」


その時テレポートで世界が一瞬にして光に包まれた。

次の瞬間、ピンカ達は別の部屋に飛ばされそこには機械音が鳴り響いていた。


「あの、おんなああ!次会ったら容赦しないわ!」

「にしてもここは何かの工房みたいだね」

「ブライドの仲間の秘密基地でしょ」

「よく来たな」


その声が聞こえた方向にピンカ達は振り向く。

そこにはデュラの姿があり三人を向かい入れた。


「今日で九人目か。こんなに来たのは初めてだな」

「ちょっと、今なんて言った?九人目ですって!他にも来てる人が居るって言うの」

「そうだ。二人とは以前にもあった事があるな」


デュラはピンカとツキノを見る。

するとピンカが不満そうに眉間にしわを寄せる。


「そう言えば、デュラとか言ってたわね。たしか魔法に関して色々知ってるとか自己紹介してたわよね」

「そうだな、魔法の知識はこの島で一番だろうな」

「へえ、それは興味深いな。一応俺も魔法マニアとしてはそれなりに理解してるとつもりだけど。せっかくだから知識勝負をしてみる?」


そう言うとマイトはデュラに向かって挑戦的な視線を向ける。

だがそんな二人の間にピンカが割って入る。


「そんな意味のない争いしてる暇なんてないから。クイズしに来たんじゃないのよ、ここに来たら強くしてくれるって聞いたから来たの」

「ああ、強くする」

「強くするって具体的には?もしかして直々に相手をしてくれるの?」

「オリジナル魔法を作るか、今ある物を強化する。要望があれば応えよう」


その言葉を聞いてピンカ達は互いに視線を合わせる。

最初に意見を出したのはピンカだった。


「ちょっと待ちなさいよ。オリジナル魔法を強化するですって、ふざけてんの?期限は一週間しかないのよ。そんな待っていられるわけがないじゃない」

「安心しろ。数分で作って渡す」

「ちょっと待って。デュラって言ったっけ?普通オリジナル魔法は作るのに数か月の時を要する。それを数分でしかも既存のオリジナル魔法を強化するなんて聞いた事がない」

「そうだろうな、俺にしか出来ないことだ。だからブライドは俺に頼んだんだ」


デュラは戸惑うことなく平然と言った。


「本当にそれが出来るの?」


デュラは躊躇うことなく頷く。

未だに信じられないピンカ達をよそにツキノが最初に前に出る。


「私が……やる……」

「ツキノ……」

「ちょっとどうして先にやるのよ。最初はまず私に——————」


その言葉はデュラによって遮られる。


「先にこの子をやる。順番は守るんだ。安心しろ、後の二人も必ずやる」

「うっ分かった。その代わり本当に出来るのか見せてもらうから」

「ああ、好きにしろ」


そう言うとデュラは早速ツキノの方に体を向ける。


「それでお前のオリジナル魔法と改善したい部分を教えてくれ」


ツキノはゆっくりと頷く。


「複製……分身を作れる……握手すれば他の人のも作れる……その間魔法も放てる……だけどそれはツキノの分身だけ……自分以外の人の分身の魔法も出せるようにしたい……」

「複製の魔法か。聞いた限りではかなり強力な魔法だな。魔法陣を書いてくれるか」


デュラの言う通りにツキノは魔法陣を書いて行く。

そして出来上がった紙をデュラに渡す。


「やはり中々の複雑さだな。これを作ったのは誰だ?」

「もう……いない……」

「そうか、良いだろう。依頼者の要望通りにするのが俺の仕事だからな。すこし時間を貰うぞ」

「少しどころかかなりでしょ」


デュラはその言葉に応えることなくすぐに作業を始める。

無視をされたことでピンカは若干不機嫌そうにするが、それをマイトが慰める。

そして作業開始から十分後、デュラは一枚の紙を持って額を拭った。


「かなり難しい物だったが、何とか出来たぞ」

「は?ちょっとまだ十分しか経ってないわよ。適当過ぎない?」

「適当にやったつもりはない。要望通りの物が出来たはずだ」

「ない言ってんのよ。あんな難しい注文をあんな短時間で出来るわけないでしょ?ちょっと、何震えてんのよ」


ピンカは何故か小刻みに震えているマイトを気にする。

すると次の瞬間、突然マイトが大声を上げてデュラの元へと詰め寄る。


「凄すぎる!まさかこんな短時間でこれほどのオリジナル魔法を作る何て!!!ちょっとよく見せてもらってもいい!」

「ああ、構わない。どうせ短時間では覚えられない」


マイトはデュラからそれを受け取ると目を輝かせながらその魔法陣を吟味する。


「美しすぎる。この魔法線とこの複雑に絡まった魔法組織、全ての模様が一つの芸術の様になっている!これぞ究極の魔法陣!」

「マイト……ちょうだい」

「ああ、ごめん、つい興奮しちゃって」


マイトは冷静になるとすぐにその魔法陣をツキノに渡す。


「何それ本当に作ったって言うの!?こんな短時間で」

「にわかには信じがたいけど、本当みたいだよ。あれは間違いなく完成された物だった」


それを聞いてピンカは絶句する。

予想外の事に動揺しながらデュラの方に視線を送る。


「まさか本物とわね」

「説明しておくと、確かに他の人を複製した場合そいつも魔法を使うことが出来る。その場合はオリジナルの魔力レベルと同等になる。だが実際に格上を複製する場合、ツキノ自身の魔力が足らない可能性がある。だからこそ握手している間は相手の魔力を奪う。しかもそれは自身の魔力に混ざることなく完全なる複製に渡す用の魔力だ。これにより魔力の問題は解消される。その代わり魔法を使うまで力量によって二から十秒かかる場合がある。さすがにそれ以上短くすることは出来なかった」

「十分……ありがとう」


ツキノは微笑むとゆっくりと頭を下げる。

するとデュラは待っていた二人に視線を送る。


「それで次は誰が行く?」



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