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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十二章 取り戻せ!源魔石争奪戦
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その二十三 ミズトとナズミの魔法強化週間その二

ミズトはゆっくりと立ち上がると鋭い視線をデュラに向ける。

だがデュラは相変わらず涼しい顔でミズト達を見る。


「少しの工夫って言った?私の方がこの魔法を使い続けてるのに、少しの工夫で負けたって言いたいの」

「そう言ったつもりだが、意味が伝わってなかったのか」

「っ!そう、だったら見せて見なさいよ。あなたの言う工夫という物を」


するとデュラは再び水の剣を柄から出現させる。


「通常の剣なら振る速度によって勝敗が決まる。だがこれは刀身の形はなく自在に動かすことが出来る。だから俺が剣を振ると同時に刀身を前に突き出して、相手よりも先に届くようにさせた」


デュラは説明をしながら水の剣の刀身を変化させる。

一部の刀身が前に突き出されており稲妻のような形になる。


「お前は刀身を伸ばしたり、曲げたり、貫通させたりして攻撃をしているのだろう。主に近距離での戦闘ではなく遠距離の戦闘を得意としているという事だ。それにより近距離で剣を振るう時、通常の形のまま行っている」

「……否定はしないわ」

「その形に特別な思い入れがあるのは結構だが、近距離こそ刀身の形を変えるべきだ」


その助言を受けてミズトは自らの水の剣をじっと見つめる。


「それをすれば私はもっと強くなれるの?」

「ああ、水に形は存在しない。もっと柔軟に頭を働かせろ。形にこだわるのならなおさらだ。それはまだお前の武器になっていない」

「確かにあなたの助言は聞くに値する者だったわ。おかげで良いヒントを貰った。お礼は言っておくわ」


ナズミはそんな態度をするミズトを微笑ましく見ていた。

それに気づいたミズトは目を細める。


「何、ナズミ」

「いえ、ただいつものお姉さまなら人の話を聞くことも無いのになと思って」

「あの男の仲間だからよ。参考にならないのならすぐにでも出て行くつもりだった。それが参考になった、それだけ」

「はい、分かってますよ。それじゃあ、私がお姉さまの代わりにお礼を言いますね。ありがとうございました」


そう言って頭を下げるナズミに対してデュラは笑みを見せる。


「気にするな。これが仕事だからな。それでもう一人はどうしたいんだ」


ナズミは突如話を振られたことで一瞬体が跳ねる。


「は、はい!私のオリジナル魔法は二つあって、霞の中の私と踊る人形笑う操り人です。後者の方は相手の魔力が低ければ低い程、校則の強さが上がる物です。ですが圧倒的実力者に対してはほとんど意味のない魔法なので、ほぼ使っていません。次に霞の中の私は相手を霞の中に閉じ込めて幻惑させるという魔法です。こちらはサポート力が高いのでよく使っています。」

「オリジナル魔法の性質はよく分かった。それでこのオリジナル魔法をどうしたいんだ」

「え?」


突然の問いにナズミの表情が固まる。


「どう強くしたいのか、具体的な案はないのか」

「案ですか……正直私はオリジナル魔法を作ることが出来ますが発想があんまりよくはないのです。二つ作りましたが結局他の人よりも弱い物ですし」

「人には得意不得意がある。気にすることはない。ならば質問を変えよう」


そう言うとデュラはナズミを真っすぐ見る。


「その魔法をどのように使いたい」


その質問を受けてナズミは考え込む。

ミズトはその間何も喋らずに腕を組んでただナズミの答えを待っていた。

デュラも同様に口を挟まなかった。

少しの間無言な時間が流れるが、それはナズミの言葉によって破られる。


「助けたい」


その言葉がナズミの口から漏れる。

それからさらにはっきりとした声で答える。


「助けたい人が居るんです。その人を助けられるように私はお姉さまと戦える力が欲しい」

「ナズミ……」

「分かった。俺に任せろ」


デュラはそれだけ言うと紙とペンを取り出す。

そしてそれらをナズミに手渡す。


「そこにオリジナル魔法の魔法陣を書いてくれ」

「わ、分かりました」


ナズミは慣れた手つきで紙に魔法陣を書いて行く。

物の数秒で書き終えると魔法陣が描かれた紙をデュラに渡す。


「ありがとう」


デュラはその魔法陣を数秒間見つめ続けるとすぐにペンを取り紙に何かをかき始める。

その様子をミズト達は黙って見ていた。

そして数分後、その手が止まった。


「書き終わったんですか?」


ナズミの問いにデュラは紙を見せることで応えた。


「それがお前が望んだオリジナル魔法だ」

「す、すごい本当に出来てる。あんな短時間にこんな複雑なオリジナル魔法を作れるなんて」

「どうやってやったのかしら」

「簡単だ。俺の魔法とお前の魔法を組み合わせて作っただけだ。それがお前の大切な人を守ることが出来るだろう」


ナズミはそのオリジナル魔法が書かれた紙を抱きしめる。

そしてナズミは満面の笑みをデュラに向けた。


「ありがとう、ございます」

「それをものに出来るのは魔力レベルが十三ある事が条件だ。限界を超えて強くなれよ。ミズトもな」

「元からそのつもり。限界を超えなきゃ、あの人を超えることは出来ないから。相手してくれるかしら」


その誘いにデュラは首を振る。


「まだやるべき人が残ってる。すまないが今すぐには出来ない。だがやるべきことを終わらせたら手伝うことも出来るだろう」

「そう」


それだけ言うとミズトはその場を離れようとする。


「え?ちょっとお姉さま!デュラさん、本当にありがとうございました!待ってくださいよ!」


ナズミは慌ててデュラにお礼を言うとミズトの元へと追いかけて行ってくる。

その時、デュラは一瞬足元をふらつかせる。


「さすがに魔力の消費が激しいな。だが手を抜くわけには行かない。あいつらの命がかかっているからな」



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