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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十二章 取り戻せ!源魔石争奪戦
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その五 紫色の腕

インパクトの本当の力、俺はまだこの力を完全には使いこなしていなかったのか。


「もちろん、あいつを倒せるならどんなことだってするさ」

「その意気だ。というかその状態で本気でガイスの妻であるコアを倒せると思っていたのが驚きだな。てっきり実力を隠してるもんだと思っていたが」

「わざわざ隠す必要はないだろ。あれが俺の本気だ。そもそも俺はどれだけ魔力レベルを上げても魔力抵抗が上がらないから、常に格上の相手と戦う時は即死なんだよ」


だがブライドはその言葉に対して何故か首をかしげる。

どうやら俺の話にピンと来ていないようだ。


「いやだから俺は魔力レベルが上がっても魔力抵抗がだな」

「もう一回言う必要はないぞ。別に話してることが理解出来てないわけじゃない。かつの言ってることが意味分からないだけだ」

「どういう意味だよ」

「そもそもどうしてその結論に至ったんだ?」

「それはこの世界に来た時俺は魔力レベルがすでに最高だから、この世界で得た魔力レベルが一で魔力抵抗も必然的に一のままで」

「それは魔力抵抗が十以上上がらない時の話だろ。今のお前はすでに十を超えてるだろ?」

「あっ」


確信を突いた言葉を聞かされ思わず言葉が漏れる。

そうだ、今の俺は既に魔力レベルの十を超えてるんだった。


「てことは俺の魔力抵抗は三上がってるから四てことか?」

「一と四の変化何てお前が相手をしようとしている奴に比べれば変わらないのと同じだけどな」

「どっちみち即死か。結局魔法を当たるわけには行かないってことか」

「そう言う戦闘の方が得意なんだろ?ならスタイルを変える必要はないだろ。さてと、先ずはさっき言ったインパクトの感覚を覚えてもらう」

「感覚って言ってもやり方も分からないし、ブライドがそれを知ってるのか?」


というかそれを教えてくれるために呼び出したんだから知ってもらわないと困るのだが。

だがブライドはすまし顔で


「知らないけど」


そう言い切った。


「え?知らないの?それでどうやって内部から衝撃波を繰り出すんだよ!」

「俺は一度もインパクトを使ったことはないんだ。師匠の技を見た事がある位だしな」

「いや、まあ確かにオリジナル魔法だからブライドは使えないけど、それじゃあどうするんだよ」

「言っただろ。師匠の技を見てたってそれで何となくやり方は覚えた」


そう言ってブライドは自信満々に腕を組む。


「見てたってそれで分かるのかよ」

「分かるから天才なんだよ」

「っそうか」


天才か、何かあの自信満々な所ミカに似てるな。

あいつも天才だからって言って自信満々に行動してたな。


「おい、何ニヤニヤしてるんだよ。修行中だぞ、ちゃんと集中しろ」

「あっごめん。それで何すればいいんだよ」

「師匠は魔法陣でインパクトを発動していたがあれは高等技術が居る。お前にはこの短期間にそこまでするのは無理だろう。第一かつはインパクトを撃つときは魔法陣よりも手でやる方が慣れてるだろ?」

「まあな」

「かつがその内部からの衝撃波を放てなかったのはそれを行なうための魔力が足りなかったからだ。つまりずっと不発弾を正式な攻撃魔法と勘違いしてたってことだな。まあそれでもそこらの魔法使いからしたら十分な威力だけどな」


十分どころかそれのおかげで何度ピンチを乗り越えた事か。

ていうか、あれが不発弾なんてどんだけ強力な魔法を作ったんだよあの人は。


「その為に不足分の魔力を補う。それが足りれば魔法陣に設計された通りに勝手に発動してくれるだろ」

「いや、その魔力の不足分をどうやって補うんだよ」

「二重に掛けるんだよ、魔力を。その腕にな」

「何か物凄く嫌な予感がするんだけど、安全なんだろうな」

「言ったはずだぜ。死ぬほどきついってな。まっ物は試しだ、やり方を教えてやるから実践と行こうぜ」


俺は渋々ブライドの指示に従うようにした。

どっちみちこれを取得しなければ勝てる可能性は少ないのだ。

だったらやるしかない。


「先ずは本命は右手だよな。なら左手に魔力を込めろ」


言われた通りにインパクトを撃つ時の感覚で魔力を左手に込める。


「そしてインパクトを放つと同時にその魔力を留めろ」

「は?何言ってるんだ」

「いいから言う通りにしろ」


言う通りにしろというがそんな事をすれば体に異常をきたす可能性もある。

というか中途半端に膨大な魔力を体に留める何て、もし暴発したらどうするんだ。


「安心しろ。お前は死なせはしない。師匠のご子息を殺すわけには行かないからな」

「その割には命の危険が伴う実験はさせるんだな」

「甘やかして育てるわけには行かないんでね。ていうかこれは実験じゃなくて修行だ。早くしろ」


どうやら辞めることは出来なさそうだな。

こうなったらもう、どうとでもなれ。


「インパクト……寸止め!」


ブライドに言われた通りにインパクトを発動した瞬間、その魔法を止めて残留した魔力が左腕に残る。


「うっ!な、何だこれ」


すると左腕が何かに詰められたような感覚になる。

腕がパンパンで少し痛みが生じる。


「初めにしたら上出来だな。昔許容上限以上の魔力を保有したことがあるのか?」

「何のことか分からないな……ていうか何かするなら早くしてくれよ。この状態結構きついんだけど」

「すまんすまん、それじゃあ早速始めるぞ」


そう言うとブライドは今度は目の前に俺と同じくらいの大きさの鉄の塊が出現する。

耐久力は木の数十倍はあるだろう。

本気のテストってことか。


「その状態で今度は右腕でインパクトを放て。もちろん本気でだぞ」

「ちょっと待てよ!インパクトの性質上、魔力暴走を起こさせる魔力を一気に体内に取り入れるんだぞ。この状態になれば体が爆発するんじゃないのか」

「お前の父親を信じろよ」


その言葉を聞かされ、自然と気持ちが落ち着く。

そうだ、父さんなら信じられる。

だから俺は父さんを信じて魔法を放つよ。


「行くぞ!インパクト!」


渾身の一撃をその鉄球にぶつける時、右腕が紫色に光り輝く。

そしてそのまま魔力が根こそぎなくなるような感覚に襲われ、痛みが全身に駆け巡りその場にへたり込む。


「はあ、はあ失敗したのか?」


衝撃波のような物がまるで起きなかった。

まるでそのまま魔力がどこかに行ってしまったかのようだ。

だが次の瞬間、目の前の鉄球にひびが入る。

それと同時に勢いよく爆発して破片が周りに飛び散った。

咄嗟に顔を伏せて破片が当たらない様にする。

そして物音が聞こえなくなった頃に俺はゆっくりと顔を開けた。

そこには跡形もなく破壊された鉄球のなりの果てがあった。


「今、破裂したよな」


通常なら鉄球が吹き飛ぶか全貌に破壊された痕跡があるが今はそこら中の壁に破片がめり込んでいる。


「初めてにしては上出来じゃねえか。体調はどうだ」

「疲労感と腕がずきずきと痛むな」


ブライドが手を差し出してくれたので俺はその手を支えにして立ち上がる。

疲労感のせいか立つので精一杯だ。


「魔力欠乏だろうな。一気に体の魔力を抜いたからその疲れがどっと出たんだ。そもそも今魔力量で足りなかったんだし、一発でガス欠になるか」

「一発撃ってこれじゃあ、外した瞬間に殺されるぞ。実戦で使用するにはまだまだだな」

「その為の修行だよ」

「てことは実践の練習をブライドがしてくれるのか?」

「いや、今の状態で格上との戦闘じゃ実りのある修業とはならないだろう。ここは適材適所と行こう」

「ようやく俺の出番か?」


その声が奥から聞こえて来て、そちらの方向に振り向く。

そこにはガルアの姿があった。


「ガルア!どうしてここに居るんだ?」

「俺は最初からここに居たぞ。かつがここに来る前からな」

「ガルアは前から俺とここで稽古してたんだよ。今回はかつとしてもらうぞ」

「それが強くなるために繋がるのなら構わない」

「ていうかいつの間にブライドとこんな事してたのかよ。教えてくれればよかったのに」

「それは……」

「同じ敵と戦う仲間なんだからよ。そう言う協力もして行こうぜ」

「だからこそ俺は言えなかったんだよ」

「え?」


それ以上ガルアは答えようとしなかった。

なんか様子がおかしいような気がする。

俺何かしたっけな。


「とにかくガルアはお前と同じようにオリジナル魔法の特訓をしてたんだよ。ちょうどいい機会だし、お前ら二人でそのオリジナル魔法を使いこなして見せろ」

「つまり俺とガルアで戦えってことか?」

「ああ、お互い自分のオリジナル魔法を当てる事。それが出来れた頃には今のお前等とは劇的に変化する」



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