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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十二章 取り戻せ!源魔石争奪戦
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その三 人間を救おう

リドルがこういう会議で自分から意見を言うのは珍しいな。

そしてその内容も、リドルから聞かされるとは思いもしなかった。


「人間か、たしかにそれも問題の一つだ。なにせかつがその首謀者と思われてるからな。それを利用して、人間達を言いくるめて半獣の実験に利用されている。助けたい気持ちは分かるが、今の状態で動き回るのは得策ではない」


ブライドの言い分は最もだった。

未だに万全とは言えないこの状況で人間達を助けるのはリスクが高い。

それに下手な行動をしてガイス達に目を付けられたら今度こそ終わりだろう。

しかも人間達がまだ残っているとも限らないしな。


「ブライドさんの言いたい事は分かります。なので許可を頂きたいのです」

「許可?何の許可かな」

「僕達が人間を助ける許可を頂きたいです」


僕達ってまさか二人で行こうとしてるのか。

何だよリドル水臭い奴だな、そんなの俺達も一緒に行くに決まってるのに。

俺は思わずリドルにその事を言うために声を発しようとしたがそれをブライドに止められる。

ミノル達も同じように言おうとしてたが声を押し殺す。


「俺達って言うのは、誰のことを言ってるんだ」

「それはもちろん、かつさん、ミノルさん、デビさん、アイラ、そして僕です」

「リドル……」

「はっはっは!そんなの決まっておるじゃろ!」

「仲間通しでの申し出か。確かにお前らは特段ケガをした様子もない。個人的な頼みでお前等だけで対処するなら一向にかまわねえけど、一つだけ飲めないことがある」

「何ですか」

「かつとデビは置いて行け。それなら許そう」

「え?俺」


突然名前を呼ばれたことで間抜けな声が漏れてしまう。

特に怪我をしているというわけでもないのにどうして俺だけは行かせないというのだろうか。

それにデビも抜けるとなると不安な要素が残るのだけど。


「ちょっと待ってくれよ。俺とデビが抜けたら戦えるメンバーがリドルだけになっちまうぞ。人間を助けに行くって言っても危険はあるだろ」

「そうじゃそうじゃ!というかこれは妾達の問題じゃ、お主が口を出す出ない」

「だから条件にちゃんと含めただろ。お前等だけで対処するなら構わないって、でも巨大な戦力であるデビが行くとなると人目に付きやすい。戦闘なんてもってのほかだ、戦えないのなら行かない方が良い」

「っそれもそうじゃが」

「なら俺はどうなんだ。俺は別に言っても問題ないだろ」

「かつは俺が用事があるから駄目」


デビとは違い随分自分勝手な言い分だな。


「いや、終わってからでいいだろ。助けに行くだけなんだし、俺はこのパーティーのリーダーだ。仲間を守る責任がある」

「その責任は大いに結構だが自分の役割はないがしろにしてもいいのかな?倒すんだろ、あの女を」


あの女、そう俺は倒さなければならない。

ガルアの妹で俺にとっても妹みたいな存在のラミアを助ける為に。

そのことを言われると心が揺らいでしまう。

不意にリドルの方を見る、その表情は肯定か否定とも取れない無表情だ。

自分の好きにすればいいと言う事だろうか。


「今のままじゃあの女を倒すどころか、戦う事すら難しいぞ。かつが現状に満足していないのならなおさらだ。強くなりたくないか?」

「それは……強くなりたいけど」

「かつさん、僕は大丈夫ですよ。かつさんはかつさんのすべきことをやってください」

「リドルお前……ありがとな。それじゃあお前がこのパーティーの一時的なリーダーだ。あいつらの事任せたぜ」

「はい!」


リドルの返事を聞いて俺は心が軽くなった。

もう大丈夫だ、リドルにならあいつらを任せられる。


「と言っても戦力はもう少し補給したいよな」

「それなら俺が行くぜ」


そう言って名乗り出たのはハイトだった。

さらにツキノも恐る恐る手を上げている。


「私も……行きたい……」

「二人とも来てくれるんですか」

「友達だしな。困ってるなら助けるのが普通だろ」

「私も……お世話になってるから……」

「確かに二人が来てくれるのなら心強いわね」

「ブライド、それでもいいよな」

「お前らが良いと言うのなら止める必要はないだろ。ただし、面倒事が起こすなよ」


再び釘を刺されるもハイトは分かってるとだけ答える。

こうして臨時でありながら人間を助け出すチームが作られた。


「それで話はもう終わりなの?いい加減部屋に戻りたいんだけど」

「そうだな、改めて今後の作戦などはお前らの怪我が治ってからいおう。それじゃあ解散!」


その言葉を聞いて周りに居た人達は各々の目的のために散って行く。

俺はリドルの元に行きあることを聞く。


「なあリドル、突然人間を助けたいだなんてどうしたんだ」

「それですか、詳しく言うと僕ではなくアイラなんですけどね」


リドルはアイラの方を向くと俯いたまま申し訳なさそうな表情をしていた。


「アイラがどうして?」

「私助けたいの、苦しんでる人をこれ以上増やしたくないから。迷惑だって分かってるけど、でも皆ただ幸せになりたいだけだと思うから、だけど私は弱いから皆に力を貸してもらうしかなくて。ごめんなさい、わがままだよね」


アイラも同じ人間として何か思う所があるのだろう。

そう言えばここ最近、人間の事について反応してたところもあったしずっと助けたいと思ってたのかもしれない。


「大丈夫よアイラ、そんなのわがままのうちに入らないから。みんな気持ちは一緒よ」

「ああ、助けてほしかったら好きなだけ仲間を頼れ。それが仲間なんだからよ」

「そうじゃぞ、お主はもう妾の仲間じゃからな」

「うん!」


先程までの暗い表情から一変して明るく笑顔を向ける。

それにしてもリドルはアイラの事になると率先して行動するな。


「おい、出発はすぐにでも行くのか?俺はいつでも大丈夫だけど」

「そうですね、すぐにでも出発しましょうか。敵が動き出さないうちに」

「それじゃあ行ってくるわね、かつ」

「ああ、気を付けて行けよ」


リドルたちはそのまま人間を助けに出て行ってしまう。

その時話が終わるのを待っていたのかブライドは背後から現れる。


「随分と仲間を信じてるみたいだな」

「そんなのブライドだって同じだろ」

「そりゃそうだ。よし、早速だけどある場所に来てもらうぞ」

「さっき言ってたことか。強くなるとかなんとか、それって本当なのか?」

「嘘を付くと思ってるのかこの俺が」


そう言ってブライドは満面の笑みを見せる。

その笑みが嘘くさいんだけど。


「まあ、今の現状には正直うんざりしてた。まだ自分が理想を叶えられる強さを得てないって痛感したし」

「理想?夢でもあるのか」

「夢というか、願望かな。正直俺は誰にも死んでほしくないんだよ。民が生きて皆が幸せになってほしい、心の底からそう思う。その為にも目の前の命を助けられるようになりたい。最近は結構出来てると思ったんだけど、やっぱり規格外の敵に対しては為すすべがない」

「ふーん、あくまで他人を守るためか。いいだろう、そういう考えは悪くない。まあ世界はそこまで甘くないと言いたいところだが、お前が勝てるように俺も力を貸そう」

「それはありがたいけど、結局何すんだよ。まさか直接指導してくれるのか」

「そうだな、しいて言えば可能性を広げるんだよ」

「可能性を広げる」


意味深な言い方に頭に疑問符を浮かべてしまう。

それを察してかブライドはうんうんと頷く。


「ここじゃ満足に動けないだろ。それじゃあテレポートするぞ」

「テレポートって何処だよ」

「修行場だよ」


そう言うとブライドはテレポートを展開させる。



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