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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十二章 取り戻せ!源魔石争奪戦
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その二 空気が読めない

俺はブライドに言われた通りに集められる人たちに声を掛けて、広間へと集まって行く。


「で、結局全員が集まった訳か。来れる奴だけで良いって言ったんだけどな」


何故かブライドは俺の方をチラチラと見て来る。

もしかして俺に言ってるのか。


「俺はちゃんと言ったぞ。来れる人だけ来てくれって。見た感じ体調が万全な奴は呼ばなかったし。というか数人声かけてない奴も」


ちらりとサザミの方を向く。

あいつも体中包帯を巻いて、まだけがも治ってないだろうにここに来るなんて。


「そんなことはどうでもいいだろ。とにかく話があるんだろ。時間が惜しい、早く要点を話せ」

「どうしてあんたが仕切ってるのよ。話すのはブライドでしょ。いつも主導権を握ろうとしてんじゃないわよ」

「何だと。話しをスムーズに進める為だろ。お前が話すと余計に話しが止まる。口を挟むな」


うわーすげー空気悪。

まあ仕方ないか、源魔石の件もあるしピリピリするのもしょうがないな。

すると何処からか能天気な声が聞こえて来る。


「まあまあお二人さん。喧嘩はそこまでにしようよ。今は情報を整理することが大切だよ。そうだよね、ブライドさん」

「ああ、マイトの言う通りだ。仲の良い喧嘩はやめて話し合いをしようぜ」

「「仲良くない!!」」

「ほら、息ピッタリ」

「いいから、話を進めて」


ミズトの言葉を機に周りが静まりようやく本題へと進んだ。

というかミズトも呼ばなかった人の一人なんだが。


「という事で話しに戻すが、現在の源魔石の数を確認しようか。事前に俺達が持っている源魔石はこれだ」


ブライドはポケットから二個の源魔石を取り出した。


「え?二個だけなんですか!」

「いや、これは今回手に入れた源魔石の数だ。残り二個は事前に手に入れた物で俺の仲間が持っている」

「四個ってことは残りはあいつらに取られちまったってことか」

「そうだ、まあ各々突発的な状況もあったため仕方ないけどな。ちなみにこれはガルアと俺が見つけた物だ」


その言葉を聞いて同じように源魔石を取りに行った人たちが暗い顔をする。

やっぱり源魔石を取りに行く時に他の王たちが待ち伏せをしてたのかもしれないな。


「ガルアはあいつらとは戦わなかったのか」


サザミの質問にガルアはあいつというのが分かったのか頷いた。


「サザミが言ってるのは王たちの事だろ。俺は操られた人たちとしか戦えなかったな。だから王が来ていることもブライドから知った。そんな状況になって居たのならすぐにお前らの元に行ったんだけどな」

「そんな必要はないわよ。あの人は私が倒すんだから」

「あたいは来てほしかったけどね」

「え?サラの所に誰か来たのか!?」

「そうだよ、あたいらも正直驚いたよ。まさかあたいらの所にミュウラが来るなんてね」

「それ本当!」


突然静観していたミズトが声を荒げてサラに詰め寄る。


「もちろんさ、というかその様子だとそっちには顔を出してないようだね」

「それで戦ったの?」

「それは——————」

「もちろん戦ったぜ。あんな強い奴と一緒になったんだ。戦わねえわけないだろ」

「えええ!?戦っちゃったんですか!それで勝ったんですか!」

「ああ、もちろん」

「「もちろん!!」」

「負けたさ。あたいらが太刀打ちできるわけないだろ。相手は最強の一人なんだからさ」

「そうね、そうよね」


サラたちが負けたと知ってミズトは少し安心したような表情をする。

やっぱりミズトもピンカと同じように自分の王は自分で決着を付けたいのだろうな。


「そうだとしても良く生き残れたな、お前等。王と対峙すれば死を連想させるようなもんだろ」


ハイトの言葉を聞いてサラを首をかしげる。


「源魔石を持って行って去っちまったよ。元々はそれが目的だったらしいし、でも少し引っかかるんだよ。本当は別の目的もあったんじゃないかとね」

「別の目的?」

「その前にサザミ達はどうしてそんなボロボロなんだい。あたいらと同じってことかい?」


だがサラの質問に対してサザミは黙り込んでしまった。

それを見越してかエングがいつもの高笑いをして答える。


「がっはっはっは!サラの言う通りだぜ!俺達はガイスにコテンパンにやられちまった!」

「となるとピンカも同様のようだね。そうなって来ると一つの疑問が出て来る、どうしてあたいらの所にミュウラが来たのか。普通ならミズト達の方に来そうなものなのに。何か理由がわかるかい」


それは誰に投げかけられた疑問なのか分からなかったが、俺にはそれが誰に向けられたのかが何となく分かった。

サラも薄々気づいてるはずだ。


「そんなの知らないわよ」

「そうかい、まあピンカが知る由はないだろうね。ブライドは何か分からないのかい」

「今の所は偶然としか言えないな。まあ、奴らが事前に源魔石の居場所を突き止め待ち伏せをしていた所偶然出会ってしまった可能性も——————」

「ねえだろそれ」


ブライドの言葉を遮ってサザミが断言する。

その鋭い言葉で周りが黙り込んでしまう。


「まあ確かにそれは偶然にしては出来過ぎてるかもな。まっそこら辺の調査は俺とクリシナで調査しておく。とにかく奴らは源魔石を四つ獲得している。残りも畳みかけて取りに来る可能性もある。各々は回復に専念してくれ、ガルアは後で話がある。それじゃあ、かいさ——————」

「ちょっと待てよ!本題を入らずに帰るつもりか」


またもやブライドの言葉をサザミは遮る。

たしかに止めたい気持ちは分かる、俺だってこんな中途半端な終わり方に疑問を持っていた。

そもそも最初に言っていたことと違いすぎる。


「お前も薄々感づいてるんだろ。この違和感に、言わなきゃいけないことがまだあるんじゃないのか」

「お主は空気が読めんのか。言いたくないこともあるだろう」

「言いたくないから伝えないだと、子供じゃないんだ。他人の気持ちばかりおもんばかって大事な物失ったらどうすんだよ。その情報を知ると知らないとで大きく変わることもある」

「確かにサザミの言う通りかもしれないわね。ブライド、もういいんじゃないの。あなたは優しいけど、優しさだけじゃ守れない者もあるでしょ」

「まっそうだな。俺が集めてくれと言ったんだ。正直の言うべきか。実は——————」

「ちょっと待ちなさい!」


今度はピンカがブライドの言葉を遮る。

ピンカは思いつめた表情で俯いていた。


「もういいでしょ、体休めなきゃいけないし。あいつ等もまた来るかもしれないわ。大人しく休んだ方が良いでしょ」

「ピンカにしては珍しく消極的だね」

「うるさいわね。私だって疲れてるのよ」

「問題を先送りにしても何もならないぞ」


その言葉を聞いてピンカはサザミを睨みつける。

だがそれに物怖じせずにサザミは話しを続ける。


「気遣ってばかりだなお前らは。馴れ合いをしに来たわけじゃない、俺達は互いの目的を達成する為に協力をしているだけだ」


冷たい言葉を聞かされて民が黙り込んでしまった中でミノルだけが手を上げた。


「ちょっといいかしら、たしかに仲間との情報交換が他の人達を助けることもあるわ。時には非常になることも大事だと思う。だけど互いを思いやる気持ちを無下にして良いとは思わない。それは人の過去や傷を抉るようなことをして良い理由にはならない」

「ミノル……」

「だからこそお前らは負けるんだ。言えないなら俺から言ってやる。裏切り者の件についてだ」


頭の片隅にはあったその用語が改めてサザミの口から出たことで緊張が走る。

デリケートな話題だ、あまり口にはしたくない。

ピンカの方を見ると顔を青ざめて手が震えているのが分かる。


「ブライドは最初にこういった。全員集合したと、もし全員があの源魔石を回収した人達のことを言うなら一人居ない者が居る。そして源魔石がある場所に待ち伏せていた謎、さらにそれぞれの元に因縁のある物が来ているのにも関わらず、サラだけがミュウラと出会った事。様々な疑問が裏切り者の正体を知ることで解決される」

「やめて……」

「そしてその裏切りもは今もあいつらの元に居る」

「やめてよ」

「その正体は——————」

「もうやめてって言ってるでしょ!!」

「おいサザミ、いい加減にするんだ。もうそれ以上はいいだろ。サザミの言う通りならこれ以上言う必要はないはずだ」


マイトの言葉で冷静になったのかサザミは言葉をつぐんだ。


「裏切り者はイナミだ」


だがその言葉は告げられた。

声が聞こえた方向に視線が集まる。

それはブライドだった。


「ブライド!?どうして」


だがブライドは何も言わずにまっすぐピンカを見る。

するとピンカが怒りの形相でブライドに詰め寄り胸ぐらを掴む。


「イナミは裏切り者じゃない!あいつは私の家族よ!」

「ちょっと待ちな、ピンカ!もう少し冷静になりな」

「ていうかあいつってお前の家族だったのか」


サラはすぐにブライドからピンカを引きはがす。

だがそれでもピンカはブライドの元に行こうとしていた。


「黙っておこうとしたが、サザミにはっぱかけられてな。ここで言わなきゃタイミングが無かった。それにお前もそろそろ客観的に自分を見つめる時だ」

「イナミは私達を裏切ったんじゃない!私達の為に行くしかなかったの!それだけは絶対に譲れない!」

「私は直接イナミに会ったけど」


ミズトが突然口を開いた事でピンカは動きを止めてミズトの方を見る。


「イナミの行動には何の迷いもなかった。私達を敵として見ていた」

「なっ!?あんた勝手なことを言うんじゃないわよ!裏切り者だって思って勝手にそう認識しただけでしょ」

「何かを覚悟した目をしていた。それだけは言っておくわ」


その言葉を聞いてピンカは鼻息を荒くするのをやめて落ち着く。

それを見てブライドが一つ手を叩く。


「とにかく、イナミがどんな理由でこちら裏切り様とその事実は変わらない。だが仲間だったことも変わりはない。イナミを助けられるのはピンカだけだ。助けたいなら自分で助けるんだ」

「分かってるわよ、そんな事」

「それじゃあ、今日は解散と行こうか。改めて今後の事については皆が万全な状態になってからで——————」

「ちょっといいですか」


リドルがそう言って突然手を上げた。

何度も言葉を遮られたせいか若干不機嫌そうにリドルに発言権を譲る。


「すみません、この機会に話しておきたくて。それは人間の事についてです」



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