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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十一章 八つの源魔石の行方
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その二十五 それぞれの町の現状

「魔法協会を作る?この街には魔法協会が無いんだっけか」

「ああ、ここの奴らは貴族の坊ちゃん嬢ちゃんが多いからな。ほとんど戦闘なんてしないし、出かける時も護衛を雇ってる。この街でそんな物を作った所で需要が無いんだよ」


サザミの言う通りこの街に魔法協会の必要性がないのは分かる。

だけどなんで今のタイミングで魔法協会を作ろうとしてるんだ。


「魔法協会を作ることがすべての問題を解決するのに繋がるって言いたいの?」

「そう言ったつもりだ。まだ分からないのか」

「俺は分かったぜ。サザミはこう言いてぇんだろ。魔法協会でモンスター討伐を募れば他の半獣もモンスターを退治しに行くってな」

「あっそう言う事か!確かにこの街には他の街から来た半獣も居る。その人達の中には魔法協会で依頼をこなしている人も居るだろうし、その人達に仕事を与えれば食糧問題と仕事問題も一気に解決できる」

「二つの街から連れて来てるんだ。魔法協会の関係者も居るだろう。そいつらにも手伝ってもらい、臨時の魔法協会を作ればいい。そこから仕事を紹介できるだろ」

「何じゃ、お主意外と考えておるのう。自分は関係ないと言っておったのに」

「これ以上無駄な時間を使いたくないだけだ」


魔法協会の関係者と言えばルルさん達が当てはまるな。

これでルルさん達にも仕事を回すことが出来る。

モンスター討伐以外の仕事も依頼すればモンスター討伐を出来ない人たちにも仕事を紹介できる。


「どうだムラキ、この案は行けそうか」

「うーん、魔法協会を何処に作ってどうやって募集を募るのか俺はいまいち分かんないけど、まあ何か良い案ぽいしそれにしよう!」

「がっはっは!その潔さよし!」

「魔法協会を作るのなら紹介したい人が居るの。その人達なら魔法協会のシステムに詳しいし、手伝ってくれると思うわ」


ミノルは紙に何かを書くとそれをムラキに見せた。

ムラキはその紙を受け取ると軽く読み流しすぐに後ろで待機してるマナの方へと紙を差し出す。


「マナ、こいつらの呼び出しは任せたぞ」

「かしこまりました」


マナは紙を受け取るとすぐに部屋を出て恐らくルル達を呼びに行った。


「よーし!俺はこれから忙しくなるからお前ら俺に話しかけんじゃねえぞ!」

「あーうん、大丈夫。行ってこい」


俺は上機嫌で部屋を出て行くムラキに向かって優しく手を振った。

あいつ自分の事どう思ってるんだろうな。


「これでようやく本題に入れるな」

「本題って言ってもお主ら以外おらぬじゃないか。妾腹が減ったぞ」

「やっぱり足らなかったんじゃない。リドルが皆の分作ってくれてるから待ってて」

「そろそろ見回りの奴らが帰って来るだろう」


サザミがそんな事を行った時こちらに近づいて行く声が聞こえてきた。


「よー見回り終わったぜー」

「外に異常はなかったよ。奇襲の心配は今の所する必要はないね」


サラとガイは街の見回りを担当している。

この街の近くを俺達の中で最も理解している為その役割を任せた。


「おつかれ、所で街の外にはモンスターってのは見られたか?」

「そんなもんいっぱいいるぞ。腹減ったから一体ぶっ飛ばして食おうとしたんだけどサラに止められてよ」

「これからみんなで食事だって言うのに腹満たそうとするからだろう。こういうのは皆で食べたほうがおいしいのさ。あんたらももう終わったのかい、早いね」


そう言ってサラはサザミとエングの方を見る。

そう言えばサザミ達は自分たちの街でもあるネッパニンスの現状の確認をしに行くと言っていたな。

俺が戻ってくる時にはすでにムラキと口論になっていたし思いのほか早く帰って来たんだな。


「ああ、と言って本当に見に行っただけだがな」

「あの町は変わっちまったよ。知ってるようで知らない街になってた。一歩でも踏み込めば排除するっていう殺意がびんびんに感じられたぜ。まったくおっかねえ待ちになっちまったもんだ。がっはっは!」

「そうだったのか。それでも現状は入れないってことが分かっただけでいいだろう」


やっぱり町の住人が操られてる状態じゃ、町を取り返したくても無理だってことか。


「他の奴らはまだ来てないのかよ」

「そうみたいだな。そう言えばガルアはどうした。シアラルスの方を任せたはずだぞ」

「ああ、そう言えばそうだな。何やってんだろガルア」


まだ確認の途中なのかな。

それともガイスに捕まったり……いや流石にそれはないか。

そんな事を思っている時またもや誰かが入って来る。


「あ~疲れた。お腹空いたわーご飯はまだー」

「直ぐに出来るから待ってなよ。あっ皆もう戻ってたんだね。ピンカとイナミ、ウォームウッズからただいま帰りました」

「どうだったと一応聞いておく」

「それじゃあ私も一応言うけど、駄目だった。入れる場所なんて無いし、入った瞬間消される気しかしなかった。報告は以上」

「やっぱり中には入れないよな。街を取り戻すのは後回しで良いんじゃないか?」

「そうよ、町なんてガイスさえ倒せばいくらでも取り戻せるわ。ていうかお腹空いたんだけど」

「ああ、俺もお腹空いたぜ。だけど気を付けろ。つまみ食いするとさらにぶん殴られるぞ」

「私はあんたみたいに食い意地はってないから。ていうかまだ全員集まってないの?おっそいわねえ」


今の所のメンバーは俺とミノルとデビ、サザミとエング、ピンカとイナミ、サラとガイしかここには居ない。

他の人達もそれぞれの目的のために町を出たりしているので、用事が終わったらここに集まるようには言ってある。

というかどうしてご飯をそれぞれで食わないのかはクリシナがご飯は皆で食べたほうがおいしいでしょという理由だからだ。

だからこそそれぞれの用事が終わるまでは食べられないのだ。


「料理の方は後もう少しでできると思うわ。それぞれの用事が終わるタイミングは人それぞれだから、予想は出来ないわね」

「妾が連れて来ようか?」

「ややこしくなるからやめろ」

「帰った……」

「おわっ!びっくりした!」


突然目の前にツキノが現れて思わず声を上げてしまう。

いつの間に帰って来てたのか。


「ごめんごめん、俺が最初に声を掛けるべきだったね。とにかく俺達も無事に帰って来たよ。まあ成果と言えるものは何もなかったけどね」

「おかえりー別に期待してないから、言わなくてもいいわよ」

「そう言うことを言うってことはピンカ達も同じような感じなのかな。まあそれでも何も言わないと本当に無駄足になっちゃうから一応言うけど、町の中は完全に支配されてて一歩でも踏み込んだら殺されるくらいの威圧感があったよ。あの町で生きていくのは困難だろうね」

「息苦しい……」

「やっぱり状況はほとんど同じなのか」

「分かってたことだけど、自分の目で見ると絶望感がより伝わって俺……」

「何委縮してんのよイナミ。私達の街を好き勝手にさせるわけないでしょう。次会ったら今度こそぶっ飛ばしてやるんだから」


ピンカはそのまま拳を握りしめて力強く突き出す。

話で聞く限りはかなり普段の街とはかけ離れてるんだろうけど、イナミの言った通り実際に見ると聞くでは違うんだろうな。


「皆さんもう帰ってたんですね」

「それなら報告は要らないわね」


そう言ってミズトは報告もせずに壁にもたれかかる。

まあこの状況を察して言わないようにしたんだろうけど、態度があからさまなんだよな。


「お姉さまそれでもちゃんと言わないと。現状私達町、つまりウォータープラメントは現在操られた町の人々に占領されてしまっています」

「やっぱり状況は一緒だな」

「そして現王でもあるミュウラの姿はありませんでした。もしかしたら今度はミュウラがこっちに来るかもしれません」

「へえーそうなのねー……え?」

「ちょっと待てナズミ。どうして王の状況を知っている」

「私達の街よ。当然秘密のルートがあるの。城の直通のね。そこから城に潜入したら、ミュウラの姿はなかった」

「がっはっは!まるでこの時を想定した抜け道だな」

「あらゆる場面を想定してたわ。それでもこうはなりたくなかったけど」


ミズトがあまり見せない悲しげな表情をする。

ミズトもこうなってしまった事に悔しさを感じてるのかもしれない。

でも、それでも頑張らないといけないんだよな。


「ミュウラが居ないのが気がかりだな。俺達の方もきちんと確認は取れてない以上、ミュウラと共に行動してる可能性も高い。また相手に先手を譲るわけには行かないぞ」

「でもまだブライドたちは来てないみたいだよ。勝手に動くのはまずいんじゃない」

「分かってる。そもそもあいつらが来ない事には始まらないからな」

「その俺達が来たぞー!!」


突然の大声に思わず視線がそちらに向く。

そこには大きな袋を持ったブライドとクリシナの姿があった。


「ようやく来たか。ていうかその荷物なんだよ」

「いやあ待たせたな。だがどうしてもお前らにこれを渡さなきゃならなくてな」

「皆に私達から素敵なプレゼントよ。受け取ってね、まずは……」

「大変だ!!」


ブライドたちがあらわれた直後にガルアが冷や汗をかきながら必死の形相で立っていた。

どうやらただ事ではないようだ。


「みんな聞いてくれ、人間が攫われている!」



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