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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十一章 八つの源魔石の行方
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その二十一 印を刻んだ者

もう一つの浴場では女たちが風呂に入っていた。


「お姉さま、お背中流しましょうか」

「おねがい」

「ちょっとクリシナ!何処触ってるのよ!」

「ふふっ女の子同士何だからそんなに恥ずかしがること無いでしょ?」

「ふう、ようやく落ち着けるよ。お湯が体に染みわたるねえ」

「ツキノよ、お主の背中を洗ってやろうか」

「ありがと……痛く……しないでね……」

「ねえ、アイラ。リドルとはどこまで進んでるのよ」

「ミノル、そう言う話は恥ずかしいよ」


アイラはそのまま泡立てた泡で体を洗い始める。


「そう言ってキスまで済ましてるんじゃないの?しばらく一緒に居たんでしょ?」

「き、キス何て!ていうか私はまだきちんと受け入れたわけじゃないし。リドルは優しい人だけど、それでも付き合うとなるとまた話が違うっていうか」


アイラはものすごい速さで理由を捲し立てる。

やっぱりまだ正式なお付き合いはしてないってことか。

アイラはこういうに対してはあまり積極的ではないしリドルは大変そうね。


「てことは好きじゃないの?」

「分からない。好きか嫌いかって言われたら嫌いじゃないけど、この気持ちが仲間としてなのか異性としてなのかがまだはっきりとは言えない」

「ふーん、でも今のアイラって恋に悩む女子の顔してるよ」

「ふえ!?」


アイラは思わず両手で自分の顔を覆う。

その頬は少し赤らんでいた。


「うそ、冗談」

「もうミノル!からかわないでよ」

「何々、とっても面白そうな話してるわね」


その時クリシナが私達の間に入って来る。


「もしかして好きな男の子の話かしら。そう言うの大好き」

「違います!そう言う話をしてるわけじゃなくて、私もう出ますから」

「あーん、まだ入ったばかりじゃない。逃がさないわよー」


そう言って浴場を出ようとするアイラの後ろから抱きついた。


「ひゃっ!ちょ、ちょっと!何するの!」

「へえー意外と大きいのね」

「おいおい、アイラが嫌がってるだろ。そこまでにしときな」

「サラさーん、助けてください」


そう言ってアイラはサラに向かって行こうとする。


「ちょっとアイラ!泡まだ流してないでしょ」

「あっそうだったってきゃっ!」


その時アイラが足を滑らせて転びそうになる。

あぶない!

そう思った時誰かに衝突してアイラがその人の上に乗っかった。


「いたた……ん?板?」

「ちょっと!何すんのよ!早く降りなさい!」


アイラの下敷きになっているピンカが猛烈に抗議する。

アイラはそれにすぐに気が付くとその場から退いた。


「ごご、ごめんなさい!」

「ていうかあんた、私の胸触って板とか言ってたでしょ!」

「ぶはははは!板じゃと!確かに的を得ているのう!」

「何笑ってんのよデビ!あんたのその胸引きちぎってやるわよ!」

「そんなに欲しいなら妾のを分けてやろうかのう」

「何だってー!」


そう言ってすぐ側でデビちゃんとピンカが取っ組み合いを始める。

あの2人はまるで子供みたいな喧嘩をするわね。


「うるさい、静かに風呂も入れないの」

「まあまあ、お姉さま。こういうのもたまにはいいじゃないですか」

「ぬくい……」


—————————————————

「ふうー気持ちよかったなー」


俺は風呂から上がるとある場所を目指していた。

それは今現在ムラキが使用している部屋だ。

このホテルはムラキとその城の関係者が休んでいる場所となっている。

俺はムラキが居る部屋に着くと数回扉を叩く。

すると声が聞こえて来ては言っても良いという許可を得てから俺はその部屋の中へと入る。


「しつれいしまーす。おっやってんなあムラキ」

「おいかつ!お前ら俺を置いて風呂に入りやがって!許さないからな!」

「ムラキ様、無駄口を叩く暇があるのならすぐに仕事に戻ってください」


そう言ってメイドのマナはすぐにムラキを席へと戻す。


「おいメイド、お前そんなに厳しかったか」

「確かに今まではムラキ様の事を甘やかしていました。ですがムラキ様が立派な王となる決意を固めたのなら、私もメイドとして精一杯のサポートをするつもりです」

「だってよ、よかったなムラキ」

「よくない!くそお、あんなこと言うんじゃなかった―!」


ムラキは涙目になりながらたまった仕事を再びやり始める。

王の仕事も色々と大変なんだな。


「それで絶対かつ様はムラキ様に何か御用が?」

「いや、ただ様子を見に来ただけだ。用があるのはむしろマナの方だ。ミノルがさっき呼んでたぞ、女子会するからいつでも来てってさ」

「分かりました。ムラキ様の仕事が終わったら行きますと伝えてください」

「マナ!今すぐに行っても俺は構わないぞ!」

「行きません」

「何でだー!」

「じゃあ、俺はもう行くわ。仕事頑張れよー」


俺はそのまま悲痛な叫び声を上げているムラキの部屋から出る。


さてと俺の部屋は男全員が居る部屋だったよな。

むさ苦しくはなるが床で寝るよりはマシだろう。

俺は部屋に向かってる途中で曲がり角の所で誰かの話し声が聞こえて来る。

しかもこそこそと内緒話をしている様な、そんな話し方だ。

あまり聞くのはよくないか。

そう思った時気になる言葉が聞こえた。


「風呂はどうだった?」

「ええ、とっても気持ちよかったわよ。そっちはどう?仲良く入れたかしら」

「ああ、全員の心が通ったようだぞ」


ただの風呂の感想?

この声はブライドとクリシナだよな。

あの2人がこそこそとそんな話するのか。

少し気になりもう少し様子を見ることにした。

すると案の定それだけの話ではなかった。


「それで見つかったか?」


見つかった何がだ?


「奴隷の印」


っ!?奴隷の印?

奴隷の印って今日操れられた人達についてるやつだよな。

それを見つかったかってどういう意味だ。


「うーうん、ピンカ以外の人には見られなかったわ。結構入念に調べたからこれは確実に言えるわ」

「そうか、それは頼もしいな。俺の方もイナミ以外には見られなかった。となるとやっぱり俺の不安は杞憂ってことになるか」

「うーん、それはどうかしら。まだ油断するのには早いと思うわよ。ここ以外の誰かの可能性があるし」


何だ、話が全く見えてこないぞ。

二人が風呂の時に皆の体をチェックしてたのか。

それは奴隷の印があるかどうかを探すため?

その為に風呂に誘ったのか。

でも、一体どうしてそんな事をしたんだよ。

確信に触れてないからさっきからもどかしいな。


「かつさん、何してるんですか?」

「っ!?り、リドル?」

「皆さんが一緒にゲームしないかって言ってましたよ」

「馬鹿お前、しー!」


俺はすぐにリドルに黙るように言う。

だが当の本人は状況を飲み込めていない為不思議そうな顔をしている。


「どうしたんですか?ここに何かあるんですか?」

「いやだからな——————」

「よお、かつ!ちょうどいいところに居たな。一緒にトイレ行こうぜ」

「へ?」

「あっブライドさん。皆さんが一緒に遊ばないかと言ってましたよ」

「了解、後で向かうって言っといてくれ。おーもれそもれそ、ほら早く行くぞ」

「え?あっちょっと!」


俺はブライドに肩を組まれたまま連れていかれる。

そして辿り着いたのがトイレではなく人が居ない階段付近だった。

ブライドは何度も辺りを見渡して警戒する。

そして人が居ないことを確認すると俺の方に向き直った。


「それで話を聞いてたのか?」

「えっとー何のことだ?」

「はあ、その反応をする奴大体知ってるやつなんだよ。まあ聞かれたのがかつでよかった。お前は師匠の息子だし、信用が出来るからな」


この切り出し方は普通の話をするわけじゃないな。

それにその言い方をするってことはこの話は信用が出来る人じゃないと言えない事なのか。


「それじゃあ聞くけど、風呂で奴隷の印を探してたってどういうことだ。それはどういう意味なんだ」


そう質問をした瞬間、ブライドは重い口調で


「この中に裏切り者が居るかもしれない」


そう言い放った。



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