表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十一章 八つの源魔石の行方
563/827

その十七 スコープ

水の化身?

今の言い方を聞くにただの魔法陣ではなさそうですね。

となるとこれは彼のオリジナル魔法という事ですか。


「お前はすぐに泣き叫ぶことになるっす。これ俺の恐怖に震え許しを乞うようになるっす」

「あなたに許しを乞うのなら死んだ方がマシですね」

「その生意気な口もすぐに閉じてやるよ!ふんっ!」


その時ザックは地面に手を置くとその中心に魔法陣が展開される。

魔法陣を見る限りやはり知らない魔法陣ですね。

となると今からするのはオリジナル魔法。


「じっとしてていいのかよ。絶好のチャンスっしょ、止めないのか?」

「あなた程度の魔法使いのオリジナル魔法なんて恐れることはないですからね」

「っ後悔しやがれ!化身の想像(イマジナリーマジック)!」


その瞬間膨大な魔力が注がれるのを感じるとその魔法陣から何かが出て来る。

それは頭から始まり次は胴、そして尻尾が最後に出てきた。

そしてザックさんはその水のような形で構成された生物の大きな背に乗った。


「行くぜクリープちゃん!あの生意気な男を殺せ!」


ヒレのような巨大な四本の脚で地面を這うとそのままこちらに突っ込んで来た。


「アブソリュートフリーズ!」


ダメもとで氷の魔法を放っている。

体が水で構成されているのなら氷で固められると考えたからだ。

だがそれは一瞬で打ち砕かれた。

一瞬固まったその体も次の瞬間はバラバラになり再び水が形を成して数秒後には元に戻る。


「そんな事で俺のクリープちゃんを倒せると思うなよ!」

「くっ!」


僕はそのまま突進してくるクリープというなぞの生物を避ける。

下に落ちている瓦礫や石などがその体に通り過ぎていく。

やはり体は完全に実態はなさそうですね。

ですが乗ることは出来ている、それは出した本人だけが乗ることは出来ているのかその部分のみに実態があるのでしょうか。

もしかしたらそこに核みたいな体を形成するのに必要な部分があるのかもしれませんね。


「行け~クリープちゃん!」


その掛け声と共にその生物は口を開くと何かを溜め始める。

これは嫌な予感がしますね。

思わずその場から退避する。

それと同時に太い水が放出された。

離れた場所で着弾したのか水がはじけ飛ぶ音が聞こえて来る。

あれはまるでウォーターガンの様、でも威力はそれの何倍もある。


「なるほど、魔法で出来た体は水の化身ていうわけですか」

「そうだ、俺のオリジナル魔法はそれぞれの魔法の化身を召喚することが出来る。魔力で構成されたその体普通の魔法よりも何倍の威力もある魔法を出せるっしょ!お前に勝ち目はないっす!」

「確かに強いですね。ですがそれには制限があるんじゃないですか?例えば水を出す度に自らの体を減らしてるとか?もしくはその水を出すためにザックさんが近くで魔力を貸しているから?水の構成された生物の攻撃方法が水ならばそれらの考えが及びますが」

「なるほど、察しが良いっすね。確かにこいつが攻撃を放つたびに体の水は減って行く。だけど、それを待ってるうちにお前は死ぬっしょ!」

「っしま!」


その瞬間、地面から水が溢れ出て来て体を包み込んだ。

ウォーターガッチメント、いやそれよりも水の量が段違いに多いですね。

まるで水のそこに居るかのような息苦しさと圧が苦しい……


「まだまだっすよ!渦巻け水流!」


その時さらに水量が増えて激流が発生し全身に襲い掛かる。


「……っ!」


体の上下が分からなくなる、自分が今どこに居るのか分からない。

これ以上は体が耐えられそうにありません。

僕は右手で口を押えながら左手で魔力を込める。

ジェットブレス!

それにより勢いよく噴射された風が体を渦の外へと吹きとばした。

地面に衝突した瞬間僕は大きく息を吸う。


「げほっごほっ!はあ、はあ、っ!」


顔を上げた瞬間、水の生物がこちらに向かって大きく口を開いていた。

しまっ——————


「はっはっ!直撃っす!生意気なことを言うからそう言う目にあうんだよ!これで一人やった、次は……」

「アグレッシブフルート!」

「なに!? おわっ!」


上空から僕は風の刃を放つ。

それによりたまらずザックは水の生物から降りると座っていた場所に風の刃が突き抜ける。

すると水の生物は聲にならない叫び声を上げるとそのまま消えてなくなった。


「やっぱりあそこが実態があり、弱点だったんですね」

「お前……直撃したはずだろ。そんな体中血まみれでどうしてまだ動けるんだよ!」

「どれだけ体を痛めても、どれだけ苦しくても、戦い続ける男を僕は知ってるからです」

「何だって?」

「とにかくこれでまた振り出しですね」


あの流石に真正面から受けた傷が痛みますね。

でもあの一撃を防げばこうして水の生物を倒すことは出来ませんでした。

結果的にはこれが最善だった考えるしかないですね。


「これで終わったと思うなよ。ここからが本番だ!」


そう言うとザックは再び魔法陣を出現させる。

水の魔物をもう一体召喚するつもりですか?

ですが弱点が分かればいくらでも対策は出来ます。

だけどその考えは出て来るものを見た瞬間間違っていたと思い知らされた。


「あれは、氷?」


先程と同じように頭、そして胴最後に足が順番に現れる。

だがその召喚物が出た瞬間周りが一気に凍り付く。

雪で形成されたまるでゴリラのような姿をした新たな生物が出てきた。


「だれが水しか出せないと言った?俺は氷も出せるんすよ!」


ん?今の言い方少し引っかかりますね。

まるで水しか出せないと僕が思ったような言い方。

たしかに出て来るものが水の可能性は考えましたが別の物が出てこないと完全に考えなかったわけじゃありません。

むしろザックの最初の説明を聞く限りでは炎も風も召喚できると思っていました。

まさか水と氷しか召喚出来ない?


「そう言う事ですか」

「何だ、何が分かったんだよ」

「ザックさん、もしかして水と氷が得意ですか」

「っ!?な、何の事か分からないなあ」


凄い目が泳いでますね。

やはり嘘を付くのが下手ですね。


「となると出てこられる召喚物は得意魔法のみ、水と氷がその証拠です。魔法の化身を好きなだけ召喚できるのは強すぎますからね。ですが水と氷が得意の時点でも十分強力ではありますが」

「バレちまったらしょうがねえっす。こうなったらもう一体召喚してやるっしょ!」


そう言って今度は水の化身を召喚する。

既に計三体を召喚したことになる。

流石に魔力消費も激しいはずです。

恐らくこれで完全に決着をするつもりですね。

だとしたら好都合です。

するとザックは再び水の化身の背に乗る。

弱点がバレた方を守ることで消えるリスクを下げる狙いですか。

ですがそれは意味は無いのに。


「かかって来てください。あなたの魔法など効きませんから」

「この状況でよくそのセリフがはけるっすね!さっさと死ねよおおお!」


そう叫び声を上げながら二体の化身が一斉に襲い掛かって来た。

僕はすぐに魔法陣を展開させる。


「スコープ、ロック」


目の前の化身を目で捉えた。

その直後攻撃が直撃する。


「ははっ!死ね、死ね、死ね!」


何度も何度も踏みつける。

何度も何度も何度も踏みつけられる。


「これでもう二度と立ち上がれ……何!?」

「随分と踏んでくれましたね。おかげで服に土が付いちゃいましたよ」


僕は立ち上がり何度も拭くに着いた土を払う。


「何でダメージが無いんだよ。当たったはずだろ!」

「さあ、どうしてでしょう?」

「そんなはずがないだろうがあああああ!」


そう言って雪の化身が振り下ろした拳を僕は振り払う。


「な!?」


そして僕は一気にザックへと向かっていく。

するとザックは慌てた様子で水の化身から落ちる。

どうやら魔力がもうほとんど残ってないようだ。

背中を攻撃するのは少しためらうが逃がすわけには行かない。

右手に魔力を込める。


「アグレッシブフルフルート!」

「うぎゃあああああ!」


渾身の一撃をザックさんに浴びせた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ