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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十一章 八つの源魔石の行方
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その十六 馬鹿と天才は紙一重

「ウィンドウオール!」


風の壁で三人ほどの魔法使いを閉じ込める。

当然風はカマイタチのような鋭さはなく外には行かせないほどの風が渦巻いている状態だ。

もっとも捕まえた人数の何十倍もまだ居るのだが。


「さすがはブライドさん達ですね。僕なんかよりも多くの魔法使いを捕まえています」


魔法の選択も的確であり、僕の何倍の人をすでに拘束している。

ブライドさんほどの魔力があればそう簡単には脱出することは不可能でしょう。

だけど僕の魔力ではいずれ拘束を解かれてしまう。

根本的な問題の解決は未だに出来てないのが現状ですね。


「どうしましょうか、ブライドさん。このまま拘束を続けても相手は動きを止めませんよ」

「確かにそうだな。こいつらは街の連中だし、魔力レベルは大したことはないが異常な執着が厄介だ。キリねえぞこれ」

「どうにか奴隷の支配から逃れ差す方法はないんですか?」

「それに関してはまだよく分かっていないのよ。奴隷の印を他の仲間には渡してあるから、その解明待ちね」

「なるほど、それでは僕達のすべきことは変わらないという事ですか」


話をしながらも手を止めることなく魔法で拘束を続ける。

たまに門の中から魔法使いが飛び出してくる。

どうやらかつさんとデビさんが吹き飛ばしてくれているようだ。

やはり長い事拘束をし続けるのは厳しきくなって来た。

既に最初に拘束を行った魔法使いはすでに拘束を解いている頃でしょう。


「どうにかして無力化することは出来ないでしょうか。それか諦めさせるわけには」

「可能性としてはこれを指示している奴を倒せば止まる可能性はあるが、わざわざ奴隷を行かせてるのに表舞台に出て来るようなバカは居ないだろうしな」

「何してんだお前!早く門を破壊しろっす!」


その時近くでそんな声が響いてきた。

奴隷の人達はほとんど声を発していない。

魔法が当たった時も声を上げることはしない。

自由に発言する権利すら奪われているのでしょうか。

だとすると声を発したのはもしかすると。

僕はすぐにその声が聞こえた方向に魔法を放つ。


「うおっ!誰っすか!今俺に魔法をぶつけたのは!これ俺に魔法を撃つ生意気な奴は何処の誰……お前は!」


その時茂みから出てきたのは見慣れた男だった。

確か名前は……


「あなたはザックさんですか?」

「へえ、よく覚えてたな。そう俺こそがカノエ様の右腕ザックっしょ!」

「何だこいつ。もしかして馬鹿か」

「はい、先程言っていた馬鹿です」

「な!?俺を馬鹿と言うな!というか俺の軍隊にたじたじの様っすね。いくら強くても殺せない弱さがあるのならこいつらを止めることは出来ないっしょ」


たしかにいくら魔法が強くても殺すことが出来ないのならそれは意味がないでしょう。

ですが、あの男は何か勘違いをしている。


「その問題は経った今解消されました。ザックさんが司令塔ならばあなたを倒せばこの人達の進撃も止まるのではないでしょうか」

「ははは、な、何のことか分からねえな……」


明らかにザックは目を泳がして下手な口笛を吹いている。

どうやら図星の様ですね。


「それならば分かりやすいわね。ブライド、すぐに倒してあげなさいよ」

「まああのレベルなら瞬殺だろうし、一瞬で終わらせてやるよ」


そう言ってやる気を見せているブライドさんを僕は静止させる。

そして代わりにザックさんの元へと歩み寄る。


「すみませんがこの戦い、譲っていただけないでしょうか」

「そうか、いいぜ。その代わり負けるなよ」

「分かってます。他の人は任せましたよ」


そしてブライドさん達はそのまま奴隷にされてしまった人々の拘束を始める。

残された僕とザックさんはお互いに顔を睨み合う。


「あの時の戦いの続きをしましょうか」

「正直俺はあの男とのタイマンは勘弁してもらいたかったす。だけどお前が水を差してくれたおかげで戦わずに済んだっしょ。死んでも後悔しねえようにしろよ」

「それはこっちのセリフですよ。あの時の様に尻尾撒いて逃げないようにしてくださいね」

「っ!誰が尻尾撒いて逃げたって?」

「目の前にいるあなた以外誰が居るんですか?」


すると先程よりも目を血走らせて奥歯を悔しそうに噛む。

やはり挑発には簡単に乗るようですね。

単身で乗り込んでくる以上、嫌がらせ出来たつもりですがそれが逆に好機でした。


「絶対かつというお前らは本当にムカつくなあ。ここでぐちゃぐちゃに殺してやるっしょ!ウォーターガン!!」


早速高速の水鉄砲を数発こちらに撃って行く。

事前に攻撃してくるのは分かっていたので、僕は魔法では無く身を翻してそれを避ける。

水鉄砲と言っても壁をいとも簡単に貫通する代物だ。

相手の魔力レベルが十と考えるなら、僕の体も一溜りではないでしょう。

僕は壁に魔法が行かない様に立ち回る。

少し引き離した方が良いのかもしれませんね。


「アグレッシブサイクロン!」

「くっロックハンマー!」


ザックさんは岩のハンマーでその竜巻を吹き飛ばした。

だがその余波から逃れるために距離を取る

どうやら門から遠ざけることには成功しましたね。

後はどうやって仕留めるか考えなければ。

最初に戦った感触では魔法の威力調整が完璧で繊細な魔力操作に長けていた。

それは低コストで的確な魔法をぶつけられるという事。

まあ、的確な魔法を選択できる頭の良さがあるかどうかは疑問ですが。


「調子に乗ってればいいっしょ!お前らは数時間後この街から追い出されることになる!数百人の奴隷共が平和ボケした連中を襲い、ガイス様の手足として当たらく奴隷になるんだから!そうなればお前らはもうどこにも隠れられないっしょ!」

「残念ですがそれは叶いませんよ!僕達はこの街を命を変えても守ります!そしてあなたは僕に倒されますから!双風アグレッシブフルート!」


二つの風の刃がザックに襲い掛かる。

するとザックはすぐに地震の足元に魔法陣を展開させる。


「ロックタワー!」


岩が盛り上がることでその風の刃から逃れることに成功する。

そう来ると思っていましたよ。

僕はすぐに空中に魔法陣を展開する。


「ロックスタンプ!」

「ちっプリズンフリーズ!」


氷が岩から伸びてそのまま空中で凍らせる。

それにより落ちることなくその場で停止した。

だが不安定なことには変わりはない。


「ライトニングアロ―!」


光の矢が岩と繋がっている箇所を破壊する。

それにより空中で固まって岩がバランスを崩して塔の上に居るザックに再び落ちてきた。


「厄介なことをしてくれるっす」


ザックはたまらず塔から飛び出す。

空中に飛んだことで逃げ道は無くなった。

当然そのチャンスを逃すわけには行かない。

僕はすぐさま魔法陣を展開させる。


「アグレッシブサイクロン」


空中ではさすがに回避できないはずだ。


「舐めるなっしょ!アイスアーマー!」


その時氷の鎧を全身に纏わせる。

それにより風の刃を全て防いだ。

惜しかった、だがこのチャンスを逃すわけには行かない。

風がやんだ瞬間に皿に魔法陣を展開させる。


「アグレッシブフルート!」


一点集中の風の一撃は氷で守った鎧を破壊する事には成功したが、傷は浅かったようだ。


「くそがあ、また俺の体を傷つけやがったなっしょ!」

「傷は浅いのに大袈裟ですね。まだ終わりませんよ、グランドファイヤー!」

「くっ!」


ザックは空中でそれを受け止める。

避ける様子を見せない所からあの鎧だけで十分に防げるという所だろう。


「あちゃちゃちゃ!」


と、思いきや全身が火だるまの状態で炎から出てきた。


「セルフウォーターガッチメント!」


水から水に取り込まれることで炎をかき消していた。

もしやいや、もしやという確実にこの人は……


「馬鹿なんですか?」

「っ!?ばっばば馬鹿だと!?この俺を馬鹿だと言ったな!!!」


かなり怒ってしまいました。

もしかすると馬鹿という言葉は禁句だったのかもしれませんね。


「そんなに死にたいのなら今すぐにでも殺してやるっしょ」


そう言ってザックは不気味な笑みを浮かべる。


「行くっすよ、水の化身を呼び起こすっしょ」



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