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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十一章 八つの源魔石の行方
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その十五 ゾンビ兵

すぐに建物を出ると門の外から煙が出ていた。

そして今だに何が衝突する音が響き渡っていた。

その音を聞きつけた住民が家から出て来る。


「まずいぞ、ここで騒ぎを起こしたら今度こそ住民の不安が爆発しちまう」

「ガイ、サラ、ミズト、ナズミ!お前らは直ちに住民を家に戻るように伝えろ」

「ちょっと待って。私は戦うわよ」

「お姉さま、これ以上無理をしないでください!病み上がりなのに連戦してこのままじゃ死んじゃいます!」

「ていうか、俺だってまだ戦えるぞ!サザミ、お前ひとりだけ抜け駆けするつもりか!いたっ!何すんだよ、サラ!」

「馬鹿なこと言ってないで行くよ!」

「ていうか、お前ら全員行け」


するとブライドが俺達の前に立ちそんなことを言ってくる。


「ここは俺とクリシナに任せておけ。たった四人でこの街回れるわけないだろ。どうせザコ数人だし、二人で十分だ」

「そうよ、皆連戦続きで体がボロボロだしここは可憐なお姉さんに任せて」

「ちょっと待ってくれ!俺は行かせてくれよ。ほとんど戦ってないし、まだ戦える」


そう言ってブライドに俺はお願いする。

皆が戦っていたのに俺はほとんど役に立てなかった、だからこそここで役に立ちたい。

ブライドは一瞬戸惑った表情をするがすぐに頷いてくれた。


「ちょっと待ってください、それなら僕達も行きます」

「そうじゃそうじゃ!妾だって戦えなくて鬱憤が溜まっておるのじゃ!」

「お前ら……」

「素敵ね、これぞ青春だわ」

「分かったよ、何かあったらすぐに俺達を呼べよ」


そう言ってブライドたちはすぐに門へと走り出した。


「本当は私も行ってあげたいんだけど、足手まといになっちゃうし皆と一緒に街の人々の避難を優先させるわ」

「ああ、そっちは任せたぞ」

「リドル、私……」

「アイラもミノルさんと一緒に避難誘導をお願いします。大丈夫です、すぐに戻りますから。頼みましたよ、ミノルさん」

「ええ、分かったわ」

「お前ら何してる!早く来い!」

「分かった!」


俺達はすぐにブライドの元に行き門へと急いだ。

門に着くとすでにほとんどが半壊状態になっていた。

やはり何かからの攻撃を受けていたようだ。

そしてそれは今も継続されている。


「数人じゃない数十人以上が来てるよな。この感じを見ると」

「どうやらモンスターが来たわけでは無いようですね」

「関係ないのじゃ。有象無象なら妾がぶっ飛ばしても構わんじゃろ」


そう言うとデビが早速門の方へと向かっていく。

デビの事だから心配は要らないだろうが、逆にやり過ぎないかが心配だ。

調子に乗って町の門事吹っ飛ばしそうでならない。


「デビ!あくまで敵だけを倒せよ!」

「分かってる!」


そう言うとそのまま門の外へ出ていく。

そして数秒後に紫色の閃光が見え始めた。


「かつ、地獄の王女様がやられることはまずない。恐らくガイスですらそれはきついだろう。だけどな、あいつにも戦えない相手は居る。今のガイスとかな」

「分かってる。だけどこの感じ、マジで有象無象って感じがするぞ」

「そうね、少なくとも王様が来ている様子は見えないわ。だけどここで死駆けて来るってことはこちらが疲弊しているのが分かっている証拠よ」

「てことは少なくともガイスの関係者だという事ですね」

「もしかしてシンラが増援を呼んだのか」

「それはないだろう。あんだけ言っておいて増援を呼ぶような奴とは思えないし、俺の予想は手柄取りかな」

「手柄取り?っ!」


その時人一倍大きな音が響き渡った。

すると門の一部が完全に崩壊してしまっていた。


「まずいですよ、あそこから簡単に侵入出来てしまいます」

「デビ、何やってあんだあいつ!」


その時、壊れたもんから中に入って行く人影が見えた。

まずい、侵入するつもりだ!

俺はすぐに魔法を撃とうとしたがそれよりも早くクリシナが魔法を放つ。


「プリズンフリーズ!」


その魔法は空いた門を塞ぎ中に入ろうとしていた者たちまで凍らせた。


「どうやら何かあったみたいね。ほら、聞こえて来るでしょ。地獄からの叫び声が」

「え?」

 

地獄からの叫び声?

俺は門の外に耳を澄ませてみる。

先程から魔法がぶつかる音は聞こえるが叫び声は聞けてこないような気がする。


「あー……」

「ん?」

「もう嫌じゃああああ!」

「えええ!?」


聞こえた今のはデビの叫び声、あいつ何やってんだ。

やられているというわけでは無いだろうが、だけどあの叫び声は気になるな。

するとその叫び声が聞こえてきた数秒後デビが門から飛び出してきた。


「何なんじゃあいつら!気持ち悪いのじゃ!妾はもう戦いたくないぞ」

「デビさんらしくないですね。何か合ったんですか?」

「妾は地獄の王じゃが殺すのは好きじゃないのじゃ。だからあのゾンビ共はお主らに任せる」

「ゾンビ共?」


するとまた再び門が破壊される音が響き渡る。

そして外から門の中に入ってくる人たちを見て俺は思わず息をのんだ。


「な、何だあいつら……」


その人達は全身傷だらけにも関わらずゾンビの様にゆっくりと歩きながら街の中に入ろうとする。


「何度も何度も攻撃をしたのじゃ。そりゃああまりの鬱陶しさに少し本気で撃ってしまったが、それでもあやつら倒れずに攻撃を続けているのじゃ」

「あれだけのダメージを負えば普通は動くことすら出来ませんよ」

「胸糞悪いな、腕の所を見てみろ」


するとそいつらの腕や足、体の様々な所に奴隷の印が刻まれていた。

なるほど、あいつらはガイスの奴隷なのか。


「美しくないわね。どれだけ傷だらけでも命令に従い続ける何て、奴隷の印は本当にこの世に合ってはいけない代物だわ」

「あいつらは死ぬまで命令を遂行しようとするぞ。止めたきゃ殺すしかないな」

「うう……」


本当殺すしかないのか。

でも今のあいつらの姿を見るとそれ以外に止める方法がないような気がする。

感情を失っている。

その時、ブライドが魔法陣を展開する。


「ちょっと待てブライド!あいつらを殺すな!助けられる方法があるかもしれない!」

「うわっ!おいかついきなり掴むな。そんな事は最初から分かってるよ」

「へ?」

「ウォーターガッチメント!」


その時複数の人達が手足を水で固められてその場に倒れる。


「こうするしかないだろ」

「確かにあれなら傷つけずに無力化出来ますね」

「なるほどな、デビの魔法はどれも殺意高いからな」

「何じゃと!お主の魔法も殺意高いじゃろ!」

「とにかく、今はこうするしかありません。僕達は門の外で侵入者を捉えるので、デビさんとかつさんは中に入ってきた人達をお願いします」

「吹き飛ばし専門だしな、分かったよ」

「妾の力で全員吹き飛ばしてやるのじゃ!」


そしてリドルたちは先に門の外へと出て行った。


「よし、デビ俺達はあいつらの取りこぼしを何とかするのが役目だ。分かってるな、間違っても殺したりするなよ」

「分かっておるのじゃ。妾の力を舐める出ない。それに魔法では無く力で吹き飛ばせばいいのじゃ」

「ていうかお前力も強くなったのか」

「当たり前じゃ、妾地獄の王じゃ。それ位出来て当然じゃ」

「そうか、まあそれなら良いな」

「なあ、かつ」

「何だ」

「暇じゃ」

「ああ、たしかにそうだな」


意気揚々と来てみたが拘束魔法を持っていない俺達は完全に足手まといだ。

せっかく役に立ちたいと思いここまでやって来たのに、これではに意味がないな。

あっちは今どうなってんだろうな。



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