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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十一章 八つの源魔石の行方
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その十三 それぞれの起きた状況

「あれはかつ達がガイス暗殺に向かった数時間後でした。それは突如現れたの。不気味な程微笑みながら私達を見ていた」


『こんにちはこんな所で悪だくみですか?』


「シンラはそう言って何事も無く城の中に入っていた。どうやって入ったかも分からない、でも確かなことはシンラがただ話しをしに来たわけじゃないってことだった。私達はすぐに戦う準備をしたけど、シンラはそんな状況下で五本指を突き立てた」


ミノルも同じように五本指を突き立てる。

それはミノル自身が実際に見た光景を再現しているんだろう。


「そしてシンラはこう言ったの」


『今から5分後にこの街の人々を皆殺しにします』

『何言ってんだお前?』

『随分と大胆なことを言うじゃないか。あたい達がそれを許すと思ってるのかい?』

『許すも何も私は宣言をしているだけですよ。私に対抗するよりも町の人達を助けた方が良いのでは?』


「最初は冗談だと思っていた。だってシンラの顔があまりにもそんな事をする表情には見えなかった。子供あを優しく抱きしめるような微笑みを見せていたから。だけど今のシンラが元のシンラ様とは違う事は分かっていたからすぐに街の人達の避難を始めたわ」

「それの避難先がキンメキラタウンだったのか?」

「そう、マイトの指示でキンメキラタウンに避難させたの。そこ意外に安全な居場所が無かったから、テレポートや扉を使って非難を急いだけど5分じゃそんなことは不可能だった。あっという間に時は過ぎてタイムリミットは訪れたの」


『時間切れです。どうやら半分の人達は逃がせたようですね。ですがやはりこの街の人々の疑いの心がスムーズに事を運ばせてはくれなかったようで』

『少し気になるな。どうしてシンラはここにやって来たんだ。ガイスの命令か?』

『私が何をしようがあなた達には関係のない事です。それにどうせもう死ぬんですから』


「シンラはそう言って魔法を容赦なく放って来たの。それは圧倒的な力で私達はあっという間にやられてしまった」


だからこそあんな状況になっていたのか。

あの町には悲惨な程の破壊の後があった、人々を殺すためにシンラが魔法を放ちまくったのだろう。


「その中でもミズトが一番頑張ってくれたわ。片腕を無くしてるのに本当に頑張ってくれた。その途中でサザミとエングも合流して町の人々を全員逃がすまで戦い続けた」

「まあまあ、やるじゃない」

「がっはっは!あの時は死ぬかと思ったな!」

「それでシンラは再びこう言ったの」


『どうやら守られ切れてしまったようですね。さすがは王が信頼していた者たちです。少し遊び過ぎましたね。それでは場を変えましょうか』

『場を変えるだと?何をするつもりだ』

『そこの御二方は来たばかりなので知らないとは思いますが、私は最初にこう宣言しますと。この街の人々を皆殺しにすると』

『まさか本気でこの街の人々を皆殺しにするつもり!?』

『それでは次はキンメキラタウンで会いましょう』


「その言葉を残してシンラは姿を消したの。私達も急いでキンメキラタウンに向かって再びシンラと戦いを始めたわ。これがカルシナシティでの出来事よ」


ミノルの話が終わり俺は言葉が出なかった。

そこまでの命をかけた戦いをしていた何て。

しかもそれを二連続も行うなんて命がいくつあっても足りないだろう。


「ちょっと待て、俺が聞きたいのはそんな事じゃない。シンラは何か他に言ってなかったのか。ガイスの事や作戦の事など」

「へ?私が知ってるのはここまでだけど」

「私は聞いたわ」


その言葉を聞いてサザミはミズトの方に視線を向ける。

どうやらミズトは何かを知っているらしい。


「戦いの中でシンラはこう言っていた。源魔石の欠片は何処だと」

「っ!?源魔石って確かブライドが言っていた奴だよな」

「奇遇だな、それは俺が狙ってるものだぜ。まああいつらも狙ってるとは思ってたけどよ。それでミズトだっけか、何て答えたんだよ」

「知らないと答えた。実際私はそんなもの知らないしな」

「でもかつとブライドは知ってるみたいだね。その源魔石の欠片って奴を」


そういってマイトが俺とブライドの方を指差す。

いや、俺もブライドから聞いた話だしあまり詳しくは知らないんだけどな。


「源魔石って言うのは簡単に言うと魔石の上位互換ってところかな。まっとにかくそれは俺も必要な物だしガイスにも必要な物だ。詳しい話は後でするよ」

「とにかくこれでシンラの目的は分かったな。街の人々を皆殺しにしようとしたり戦力を削ろうとしていたのはあくまで建前だ。本音はその源魔石の欠片を探しに来ていたんだろう」

「ちょっと待ちなさいよ。てことはあそこにその源魔石の欠片があったって言うの?わざわざ来た理由がそれならそう言う事でしょ」

「でもそんな物私見たこと無いですよ。お姉さまも知らない様ですし、勘違いじゃないですか」

「勘違いで殺されそうになってるんだぞ。勘弁してもらいたいけどな」


源魔石の欠片、ずっと引っかかってたんだよな。

クリシナから見せてもらった時からどこかで見たことがある気がしたんだよな。


「因みにそれって現物とかありますか」

「あるわよ、はいこれ」


リドルの言葉でクリシナはポケットから源魔石の欠片を取り出す。

それを見てリドルは何かを察したのか自分のポケットをまさぐる。


「それってもしかしてこれですか?」


そう言ってリドルが取り出した物はクリシナが持っている物と瓜二つだった。


「あー!そうだ、あの装置の中に挟まってた奴だ!やっと思い出した」

「やるじゃねえか!で、それが何だって言うんだ?」


エングは嬉しさのあまりリドルの背なかを思いっきり叩き、それに対してリドルは苦笑いを浮かべる。

思った以上に痛かったんだろうな。


「これは俺達を勝利に導く大切な物だ。よくやったぞ、かつの仲間よ!お前は出来る奴だな」

「それよりもあたいはその使い方を教えて欲しいんだけどね。知っているのなら盛り上がってないで早く教えておくれよ」

「まあ待て、その事を離したらまた話が止まっちまうだろ。先ずは情報交換を終わらせよう」

「ならば話を続けるぞ。それでは次はキンメキラタウンでの出来事だ」

「それなら妾が話してやろう。あれは」

「僕が話します。周りをよく観察していたので」

「お主わざとやっておるじゃろ」


デビの言葉を遮ってリドルは前に出る。

この光景ももう見慣れた物だな。


「何でもいい、早く話せ」

「それでは先ずはキンメキラタウンに着いたところですね。その頃にはもう既にシンラが町を襲っていました。いや、正確には城を襲っていたのが正しいですね」

「ああ、あのバカ王子の城をか」

「はい、そのバカ王子の城をです」

「バカ王子と言うな!!」


そう言って突然大声を上げながらムラキが出てきた。

まさかこいつずっと隠れてたのか。


「何だお前いたのか」

「居たのかとは何だ!俺は王だぞ!」

「話が進まん!そいつの事は一旦放置しろ、先ずは状況の整理が先だ」

「ええ、俺王なのに放置されるのか?」


サザミの言う通りまたもや話が脱線しそうだったので話を戻すことにした。

リドルは一つ咳払いをして先程の話を再開させる。


「それでまたもや人々の安全を確保しなければいけない状況に陥り、さらにカルシナシティから連れてきた人もいるのでその数は膨大でした。ですがその前に城の中に居る人達の安全を確保する為に僕とミノルさんとデビさんで城へと向かいました」

「本当はあたい達が行くべきところだったんだけどね。シンラを引き留めておく役も必要だからと言われてそっちをやったんだよ」

「城の中にいる人達を救助し終えて、僕達も戦いに参戦しようとは思いましたが町の人達の救助もしなければ行けない為、役割分担の為に僕達は保護を専念していました」

「だが一番はシンラはムラキを狙っていたことだ」

「何だ俺の事か!俺の事を言ってるのか」

「うるせえぞ、バカ王子、静かにしろよ」

「なっ!?おいガイ!お前は俺の家臣だろ!何生意気な口を聞いてんだよ!」


ムラキはどうやら自分の家臣に対しては強気に出ているらしい。

まあ相手が悪いからそれも無意味なんだけどな。


「そうですね、その節がありましたから僕達はムラキも遠くへと逃がしました。後はシンラが帰るまで町の人々の護衛とムラキの監視をしていました。僕からは以上です」

「情報交換はこれで以上か」

「お互い生きててよかったな、がっはっは!」

「だが状況は最悪だぞ。これからは今後の事について話そう。最も俺にはガイスを殺す算段は付いてないけどな」


サザミはお手上げかの様に言う。

たしかに今の状況じゃガイスに勝てる方法はないだろう。


「それなら俺の話を聞いてくれ。その源魔石の使い方も教えてやるよ」



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