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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十一章 八つの源魔石の行方
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その十 たった数秒で得た物

「まずいな、あれがシンラと同じ魔力抵抗を持っているのならば俺達じゃ破壊するのは困難だぞ」

「それじゃあ、このまま爆発するってこと」

「ちょっとイナミ!何泣きごと言ってんのよ!その前にへし折るのよ」

「ああそうだぜ。俺はこんな所で死ぬわけには行かないんだ。最強になるその日まで死ぬわけには行かないんだよー!」


そう言ってガイは突っ込もうとするがそれはそれを腕を掴んで止める。

ガイを勝手に動かさせるわけには行かない。

行ったら呼び戻すのがめんどくさいから。


「おい離せよかつ!俺はあの花を折りに行くんだよ」

「一人で言っても無駄だっていう話をしたばかりだろ」

「だがかつ、この街を破壊されたら本当に安全な街は何ひとつなくなるぞ。諦めるのは危険なんじゃないか?」

「ハイト、俺は諦める何て言ってないぞ。一人一人が魔法を放ったところで意味はないって言ってるんだ」

「ならどうすんだい。あたいらの力じゃあの花を壊すのは不可能、肝心のクリシナって子も動きを封じられて加勢に来る気配もない。この状況でどうやってあの花を壊すんだい」

「一人一人の力なら駄目ってことは一人じゃなくてみんなの力で壊せばいい」

「おいかつお前まさか」


サザミが言おうとしていることを俺はニヤリと笑みを浮かべながら言う。


「皆で協力してあの花を壊すんだ」

「協力ー!?ちょっと待ちなさいよ!一緒に戦うのはまだしも協力は論外!なんで私がこいつらと同じレベルで魔法を使わなきゃいけないの!」

「がははは!中々の難題なだな」

「そうかな、俺は面白いと思うけど。それにそうしないとあれは壊せそうにないしね」

「協力賛成……」

「ちょっと待てよ!俺はまだ諦めてねえぞ。俺の力でどこまでやれるのか確かめてえ」


またもや一人で花を壊そうとしに行くガイをサラが首元を掴んで引き留める。


「そんな事している内にあたいらはお陀仏だよ。あたいは賛成さ」

「協力は自分の力を認めて居ないと同意だ」

「そうね、自分があの花よりも弱いと認めているようなもんだわ」

「お姉さま―!そんなこと言わずに協力しましょうよ!」

「話を最後まで聞きなさい。だけどそんな事をして死んだら元も子もないし、いいわ。今回だけは協力しましょう」

「ああ、お前らがどうしてもというのなら俺も協力しよう」


謎の上から目線だが協力してくれるという事で良いんだよな。


「ガルア、お前も協力をしろよ。ただの観光に来たわけじゃないんだ」

「分かってるよ。俺が出来る事なら何だってやるさ。要はあのデケェ花をブチ折ればいいんだろ」

「分かってるじゃないか、足を引っ張るなよ」

「何あいつ、偉そうでムカつくんですけど」

「まあまあ、落ち着てピンカ」

「とにかくもう時間がない、皆いいってことで良いよな!」


その言葉に不満そうに頷く物も居れば納得した上で頷く者も居た。

まあ、多種多様ではあるがとりあえず納得してくれたってことだよな。


「うつときはバラバラじゃ駄目だ。完全に同時に撃とう!それに互いの威力もバラバラじゃ魔法が飲み込まれて意味がなくなる。なるべく均等な威力に」

「かつ、一々説明しなくても分かってる」

「私達を誰だと思ってるの?そんなことも出来ない様じゃ、王の右腕は務まらないでしょ」

「……ああ、そうだったな!」


そうだ、普段はまとまりはない人達だが王に実力を買われていた人たちなんだ。

俺がいちいち言う必要なんて何一つないんだ。


「残り一分でしょ、さっさとあの邪魔な花へし折ってシンラを倒しに行くわよ」

「当たり前だー!俺はまだまだ戦い足りないぞ!」

「集中しろ!誰一人ミスは許されないからな!俺の合図で魔法を放て!」

「誰があんな奴の指示何か」

「ピンカ、君ほどの実力ならどんな時でも市場を挟まず完璧に遂行できるよね」

「くっ分かってるわよ」


そして俺達は呼吸を整え集中する。

最高の一撃を放つため、そして他の皆との魔法を完璧に合わせるために。


「どうやら何か良からぬことを企んでいる様ですね。特に危険はありませんが念のため、うっ!」

「あら連れないじゃない。散々私の事を離さなかったのに興味が無くなったら勝手に他の人に目移りするなんて。私をここまで捕まえたんだからちゃんと最後まで責任取りなさい!」


これが最高にして最強の一撃。


「行くぞ!」

「「「「「「「「「「「「「おおっ!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」


その掛け声と同時に俺達は魔法を放った。

誰一人相談も何もしてないのに最適の魔法で最適な位置で最適な威力でそれぞれ最高の魔法を放つ。

それは複数の魔法にはならず均等に混ざり合い一つの巨大な魔法となった。


「喰らいなさい!これが十三魔導士の一撃よ!」


そしてその魔法は一直線に花の方へと向かい爆発音と共に花に衝突した。

吹き飛ばされそうな突風が起き何とか踏ん張り煙が周りを包み込む中、それが晴れると同時に目の前には信じられない光景が起きていた。


「こ、壊れたー!!」


バクハ花は半分以上の茎がえぐれた状態となっていた。

前まで聞くことが無かったのにあの一撃でここまでダメージが与えられたんだ。


「でも、まだ倒れないわよ!」

「後もう少しってところみたいだね」

「それならもう一撃入れようっ!」


その瞬間、ガイが突然膝から崩れ落ちる。


「どうしてガイ!っ!?みんなもどうした!」


他の仲間たちも次々と倒れて行く。


「魔力切れだな。当たり前と居れば当たり前だ。こいつらは俺達がここに来る前もシンラと戦ってたんだろ。それであの一撃を放てば体力も限界が来るはずだ」

「そんな、後もう少しなのに」

「構うな、後一撃入れれば折れるんだろ。だったらやってやるよ」


そう言って倒れた仲間たちは体を無理矢理たたき起こそうとする。

たしかに後一撃でも入れれば折れそうだがもしもう一撃入れるとしたら命を削るかもしれない。

かと言って一人の魔力では折れる可能性も無い、そもそも時間がない。

考えてる暇はないか。


「なるほど、少しあなた方を見くびっていたようですね。まさかバクハ花に傷を付けるとは。おめでとうございます」


何故かシンラは花が後もう少しで折れそうというのに笑みを浮かべながら拍手をする。


「余裕ぶってるのも今の内だぜ。俺がこの花に引導を渡してやるよ!」

「余裕?確かに余裕はまだありますね。だってこの程度の傷はかすり傷ですから」

「は?何を言って……っ!?」


その時俺は目の前の光景を疑った。

先程半分以上抉れていた幹が段々と元に戻って行く。


「なぜだ、何で元に戻ってる!どういうことだ!」

「単純なことです。この花は魔力で出来ているので当然壊れた部分は魔力を使って修復を行います。これを壊したければ一気に切り倒す事ですね」

「サイクロンスラッシュ!」

「ファイヤーウォール!」


クリシナの魔法をシンラを平然と止める。


「クリシナさんへの警戒を解くわけないじゃありませんか。先程の反省を踏まえましたから」

「そう、それは嬉しくも厄介ね」

「てことは俺達のしたことは無駄だったの?」

「いや、無駄じゃない!もう一度やるんだ!もう一度魔法を!」


だがすでにバクハ花は完全に修復を終え、開化の時が迫っていた。

今からじゃもう間に合わない。


「残念ながら時間切れです。たった数秒、それがあなた方が命を懸けて得た物です。何ともはかなく意味の無い物ですね。それでは皆さん、さようなら」

「くそーーーーーー!」


シンラをテレポートの準備をしつつクリシナをギリギリまで監視する。

完全に爆発するまで時を待ってるんだ。

ああ、もう駄目だこれで終わりだ——————


「よくやった、お前ら」

「え?———————」


その声が聞こえた瞬間、突然魔法陣が展開されそしてそこから放たれた風の刃が何の抵抗も無く目の前の花を真っ二つに切り裂かれた。


「これがお前らが勝ち取った未来だよ」



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