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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十一章 八つの源魔石の行方
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その九 足止め

「皆さん落ち着いて!外に出ちゃ駄目!」

「ミノルさん!これ以上は防げませんよ。門に物凄い人の数です、このままでは門が破壊されてしまいます」


リドルは慌てた様子で止まることのない人々を何とか抑えている。

たしかにリドルの言う通り逃げ惑う人達の動きは止まることはなく、話すら聞いてくれない。

どうしたら。


「きゃっ!」


その時アイラが人混みにもまれてその場で尻もちを付いてしまう。


「アイラ!このっ」

「リドル!魔法は駄目よ!町の人々を傷つけるつもり!」

「ですがアイラが!」

「大丈夫よ、ほら」


アイラの側にはデビが守るように抱き着いていた。


「大丈夫か、アイラ?」

「デビ……大変!体中踏まれて、大丈夫だから私を離して!」

「何を言っておるのじゃ。妾の方こそ平気じゃ、体は頑丈だからのう」


そう言いつつも無数の人々がデビを踏みしめて歩いて行く。

流石にこれは見てられないわね。


「いい加減にしてくださーい!!」


あまりに身勝手な行動に私は思いっきり声を荒げる。

その声に驚いたのか周りに人達が足を止める。


「このまま町の外出た所で危険は変わりません!騒いで理性を失い身勝手な行動をしないでください!あなた達が勝手な行動をすれば私達が守れなくなります!」

「だがこの街にも敵は来ているんだろ!」

「そうよ、現に今も負けてるじゃない!」

「この街だって戦場になるんだ、俺達は高い金を払ってこの街に居るのにどうしてこんな目に合わなければいけないんだ!」

「俺達はここで死ぬのか!王様は今どこに居るんだ!」


不満が溜まりに溜まって暴走しかけてる。

一旦は冷静になったけどこれじゃあまた無理矢理門をこじ開けようとする。


「市民の皆さんは王をご所望ですよ。行かないんですか?」

「……俺が言ってもがっかりするだけだ」


近くでムラキをかくまっているリドルから無理というサインが来る。

やっぱり王としてはまだ無理みたいね。

それなら自分で何とかするしかない。


「不安な気持ちは分かります!ですが恐怖も怯えも全部今は押し込めてください!必ずみんながこの街を守って見せますから!だから町の守り人を信じてあげてください!お願いします!」


今はただ必死に頭を下げてお願いをするしかない。

必ずみんながやり遂げてくれるから、だからこそこの門は絶対に破らせるわけには行かない。

すると先程まで聞こえていた声が聞こえなくなっていた。

私は恐る恐る頭を上げると皆が真剣な表情で静まり返っていた。


「あいつらを何とかしてくれるのか?」

「はい」

「俺達は助かるのか?」

「はい」

「ここに居れば死なないのか」

「はい」

「分かった、信じよう。その代わり俺達の命の保証しろよ!町の皆にも伝えろ!この街で待てと!」

「「「おおおお!!!」」」


その声を聞いた街の人々は他の人々にもこの街で待つように伝えに行く。

よかった、伝わったみたいで、本当によかった。


「これではどちらが王か分かりませんね、ねえムラキさん」

「くっうるせえ」

「何なんじゃ、散々踏みつけにしよって謝りもしないとわ。妾がお仕置きをしてやろうかのう」

「ごめんデビ、私がこけちゃったからひどい目に合って」

「お主は悪くない。謝らなければいけないのは妾の方じゃ。力がありながらお主らの力になれないんじゃから」


デビちゃんはそう言って悔しそうに拳を握りしめる。


「仕方がありませんよ。これはもうただのいざこざではなくこの島を巻き込んだ戦争に発展してますから。その戦いに参加すれば地獄に帰ることになりますよ」

「そうじゃのう……魔法を撃ったところにたまたまあ奴が居たことにすれば大丈夫じゃろうか」

「それで騙せるのなら良いけどね。でもそんなことしなくて大丈夫よ。デビちゃんが居なかったらアイラが踏まれてたかもしれないしね」

「そうだよ、だからデビは謝らないで」

「まあお主がそう言うのなら良いじゃろう」


さてと、あっちは今どうなってるのかな。


——————————————

「五分後にこの街が消えるだと?ふざけているがあの禍々しい花にはそれほどの魔力が込められている感じはするな」


突然現れた花は生きているかのようにゆらりと揺れている。

あれが花の形をした巨大な爆弾ってことか。


「失礼ですね。美しい花には棘がある物です。そうですよね、クリシナさん。あなたならこの花の美しさが分かりますよね」

「うーん、たしかに美しさにはそう言った側面があるわ。だからこそ一際輝く物だけどあなたの花は美しさとはかけ離れた凶暴性しか無いみたいね。それは取り除くべき雑草よ」

「残念です、あなたとはいい関係を築けると思ったんですが」


またもや魔法を繰り出そうとしてくる。

真正面からの戦いは俺達じゃ無理だ。

だとすれば俺達がすべきことはあの花の駆除!


「皆!俺達は先にあの花を壊そう!じゃなきゃ全員死んじまうよ!」

「そんなの分かってるわよ!行くよ、イナミ!」

「うん、分かった!」

「あっ抜け駆けはなしだぞ!」


そう言ってすぐにピンカとイナミそしてガイが先行して行ってしまった。

あいつらまた先に行きやがって。


「がははは!相変わらずの協調性の無さだな。俺達も行くかサザミ!」

「そうだな。あいつらばかりに任せるわけには行かないな」


そう言って後を追う様にサザミとエングも走って行く。


「ちょっお姉さま!待ってください!」


さらにミズトとナズミも花を折りに行ってしまった。


「やっぱりこのメンバーが一番協調性あるよね。それでかつはどうして行かないの?」

「ああ、少し気になることがあるんだ」

「シンラの行動を言ってるんだろ?あたいもそうさ、どうにもきな臭いね」

「こうもあっさりとあの花を折りに行ける何ておかしい、そりゃあクリシナが相手だからって言うのもあるけど」


何かあの花には別の秘密があるような気がする。

すると先程先行していった仲間たちが魔法を放とうとしていた。


「魔剣水式!水飛沫!」

「アブソリュートフリーズ!」

「グランドファイヤー!」

「ライトスラッシュ!」

「サンダークラウィング!」

「ストーンバレット!」

「アイスガン!」


バラバラに繰り出されたその魔法は全て花に直撃する。

それはかなりの威力を誇っており城が崩れそうになる。

だが……


「壊れてない、花は無傷だ!」

「なっ!?俺達の攻撃を受けても無傷だと」

「当たり前ですよ」


その時シンラの声が聞こえてくるとそいつは再び花の横に立つと笑みを浮かべる。

やっぱりそう言う事だったのか。


「それは私の魔力で作り出した花です。つまりその花は私と同じ魔力抵抗をお持ちと考えてください。私に傷一つ付けられないあなた方がこの花を壊すのは不可能です」

「なるほど、簡単に花の攻撃を許したのはそのためか。これは厄介だな」

「あたいらは手のひらの上で転がされてたってわけかい。にしてもこれはまずい事になったね」

「ライトニングアロー!」

「ロックタワー!」


高速の光の矢を巨大な岩の塔で防ぐ。

今の魔法はクリシナとシンラか!


「やらせませんよ。あなたの魔法だけは危険なので」


逆だった、クリシナがシンラの足止めをしてるんじゃない。

シンラがクリシナの足止めをしてるんだ。

俺達は逆に劣勢になっていたんだ。


「爆発まで残り二分です」



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