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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十一章 八つの源魔石の行方
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その八 残り五分

周りの人々の叫び声と逃げ惑う人々の足音、今現在この街がシンラによって襲われてるは明白だった。

周りの状況から見て皆必死に抵抗をしたんだろう。

どれくらいの時間戦ったかは分からないけど、シンラはほとんどダメージを受けていないってことだ。


「うっ!かつか……上手く逃げられたようだな……」

「すまんサザミ!殺せなかったか!」

「いまさら、そんなことどうでもいい……切り替えろ、もう戦いは始まっている」


そう言うとボロボロの体でサザミは無理に立とうとする。

それに続いて他の皆も一斉に立ち上がる。


「まだ戦う意思がありましたか」

「がはははっ!なめられたもんだな、俺達は王の側近だぜ!そう簡単にくたばるわけないだろ!」

「この街にはまだたくさんの人々が居る。ここで引き下がったら何のために守ったのか分からなくなるからね」

「カルシナシティでも懲らしめたというのに、やはりあなた達は死なない限り諦めないのですね。良いでしょう、そもそもガイス様に盾突いた身このまま安らかに死んでください」


禍々しい殺意を感じる。

まさかこんな所で王の一人と戦うことになる何て。


「俺も一緒に戦おう」

「ガルア!?まさか本当に仲間に入れたのか。お前の協力などイランと言いたいところだが、状況が状況だ。色々言いたい事はあるが人先ずは手伝ってもらうぞ!」

「分かってるよ。俺もお前らに話したい事があるからな。先ずはこれを終わらそう」

「あいにく防戦一方でね。あんたらが来なかったら確実に死んでたよ。まだ戦えるだろ?」

「当たり前でしょ!シンラは私がやるわ!まさかこんなにすぐに会えるとは思わなかった」

「ちょっと待てよ!獲物を横取りするんじゃねえ!あれは俺がやる!」

「ガイさん!その人を選ばない戦闘好きを今発動させないでください!死んじゃいますよ」

「なんだか賑やかねえ」

「こいつらは顔を合わせるといつもこうだからな」


それこそ時と場合を選んで欲しいところだが。

その時背筋が凍るような殺気を感じた。

シンラの方を見るとすでに魔法陣を展開していた。


「来るぞ!」


俺達はすぐに魔法陣を展開させて防御しようとするが、シンラはから溢れ出る魔力が明らかな殺意を込められていた。

たしかにもう元のシンラとは違う、シンラの魔力はこんな殺意に満ちていなかった。

包み込むような優しさを持っていた。


「気を付けろお前ら!無駄に逃げようとするな、正面から全力で受け止めろ!じゃないと死ぬぞ!」


サザミがそう言うよりも早く全員が全力の魔力を込める。

肌で感じる、初めてガイスと出会った時の底の見えない魔力を。


「レベル魔法サイクロンデスランス」


全てを切り裂く風の槍がこちらに真っ直ぐ飛んでくる。

それと同時に俺達も魔法を発動させる。


「レベル魔法!ツイングランドファイヤーボール!」

「レベル魔法!シャイニングスター!」

「レベル魔法!アイアンギガゴーレム!」

「魔剣炎式!獄炎斬!」

「レベル魔法!リュートアイスブレイク!」

「レベル魔法!メガボルテージサンダー!」

「レベル魔法!ポイゾネスデーモン!」

「レベル魔法!リュートアグレッシブサイクロン!」

「レベル魔法!マジックロック!」

「インパクト!」

「レベル魔法!ファイヤーバーニング!」

「レベル魔法!ウォーターブレイクトレント!」


全員の魔法がシンラの魔法に直撃した瞬間、お互いの魔法が相殺されはじけ飛んだ。


「嘘だろ!?」


全員の本気の魔法でようやく対等、どんだけ威力の高い魔法何だよ!


「さっきまでは完全に防ぎきれずダメージを受けていた。まだこれは良い方だろう」

「防げたところで意味はない。攻撃を当てなきゃ倒せないんだから、うぐっ!」

「お姉さま、やっぱりまだ傷が治ってなかったんですね!」

「防ぎましたが、ですがもう満身創痍の様ですね。すぐに楽にしてあげましょう。あなた達を殺したら次はこの街です」


まずい、どうする!?

思った以上に魔力を使っちまった。

このままじゃ確実に殺される。


「ライトニングアロ―」


その時高速の光の矢がシンラへとまっすぐ飛んで行った。

シンラはそれを魔法ではなく体を捻って避ける。

それにより頬の切り口から血が出る。


「なっ!?血が出た!今のは誰だ!」

「ごめんなさいね、これ以上命の花を散らすような行為を許せなくて」

「クリシナ!」

「クリシナ?おい、かつあいつ誰だよ。ただ者じゃねえだろ」

「ああ、クリシナは俺達と同じくガイスを倒そうとするものだ。お互いの計画の達成のためにも協力することになった」

「よろしくねえ」


そう言って笑顔でクリシナは皆に手を振る。


「へえ、なるほどあなたでしたか。情報ではクリシナさんの他にももう一人居たはずですが、お仲間はどうしたんですか」

「ごめんなさい、今彼は取り込み中なの。可憐な少女が相手じゃ不満かしら」

「いえ、貴方とはとても楽しい戦いが出来そうです」

「よし、ここはクリシナに任せて俺達は街の人々を安全な場所に移動させよう」

「かつ、それは何処のことを言ってるんだ?」

「え?」


サザミの言葉を聞いて言葉が詰まってしまう。

安全な場所、それは今の自分たちの状況を考えると存在しない場所なのか。


「他の街は完全にガイスの息がかかってるだろうな。それにこうしてシンラが攻めて来たってことは他の街に行ってもガイスの仲間じゃない奴は殺される運命だろう」

「こいつの言う通りだ。シンラもそれを理解しているからこそ俺達だけを狙っている」

「でもこの街の人々逃げようとしてるぞ!このままじゃ勝手に街に行かれちゃうんじゃないのか?」

「それはないわ。あなたの仲間がそれを止めてるから」

「へ?ミノルたちがか!?通りで近くに居ないと思ったら」

「がははは!あいつらには王の護衛も任せてる!人間の姿のままだしな、戦いには出られないだろ」

「確かにそうだな。てことは結局俺達も戦わないといけないのか」


適材適所で行動していこうと思ったが結局やり方は変わらないのか。


「ていうか私はそもそも戦う以外の選択しないから。ていうか、クリシナ!私が相手するって言ってるでしょ!」

「ピンカ、落ち着きな。さっきの一撃を見ただろ。一人で戦ったら即死だ。一人で戦う力を身に付けてない以上協力をするしかない」

「偉そうにするんじゃないわよマイト!自分の王がこんな風になっているのに私がけじめを付けずに終わらせられるわけないでしょ!行くわよイナミ!」

「ピンカ、ちょっと落ち着こうよ。今の俺達じゃすぐにやられちゃうよ。今は仲間と一緒に協力しよう」

「そうだね、悪い事は言わない一人で突っ走るんじゃないよ。重要なのは生きる事さ」

「このまま何のケジメを付けずに行き残っても後悔しか残らない!そんな人生は嫌!」

「ピンカ、お前がそこまで行きたいのなら止めはしない。だがあの中で入れる自信はあるのか?」


そう言ってサザミが指を指した方にはシンラとクリシナが戦いを繰り広げていた。

周りを破壊することない完璧に相手だけを倒すために繰り出された魔法により2人の間合いは近づくことすら困難な領域となっていた。

複数の魔法が現れては消え、現れては消えを切り返し色とりどりの閃光が何度も現れる。

そこはもう別次元の戦いとなっていた。


「実力は拮抗って感じだな。あそこには言ったら即死だぜありゃあ。さすがに実力の差を感じちまうな」

「おや、さすがのガイも戦意喪失かい。まあでも仕方ないよ、王の実力はあたい達は十分知っていたはず。あれが本気だとすればあたい達にはまだ踏み込めない領域さ」

「ああ、まだな」

「それなら俺達はミノルの手伝いをしよう。今どこに居るんだ!」

「行かせると思いますか?」


その瞬間、クリシナは風の魔法で大きく跳ぶと城の頂点に立つ。


「あらら、まさか逃げるとは思わなかったわ」

「ふふっ逃げてはいませんよ。クリシナさんとの戦いはとても有意義で楽しい物でしたが、時間切れです。私もいつまでもここに居るわけには行きませんので」

「おいおい、何をする気だ?」


するとシンラは魔法陣を展開する。

だがその魔法陣は見たことも無い魔法陣だった。


「おいおい、まさかウソだろ」

「バクハ花!」


すると突然巨大な花が出現し城に根を生やして張り付く。

それはまだ完全に開花しておらずつぼみの状態だった。


「これは私のオリジナル魔法で作り出した魔力の花です。マナを栄養として時間が進むごとに成長し完全に華が開いた瞬間、この街を吹き飛ばす程の爆発が起きます。突然助かりはしないでしょう」


この街を吹き飛ばす程の爆発だって!?

そんな威力の魔法が放てるのかよ。


「完全に開花するまで残り五分です。せいぜい抗ってくださいね」



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