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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十一章 八つの源魔石の行方
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その五 希望の星

「ふうーようやくカルシナシティに着いた……は?」


一瞬、目の前の光景が現実だと思えなかった。

だってそうだろう、少し前までは町として形作られていたここが今は跡形もなく吹き飛ばされてるんだから。


「ちょっと!これってどういう事よ!ちゃんとカルシナシティに送ったはずでしょ!」

「それを一番理解してるのはピンカ自身だろ。紛れもなくここはカルシナシティだよ」

「それにしては嵐でも通ったような光景だな。建物がすべて壊され人の姿も無いぞ」


ガルアは崩れた建物を観察し始める。

俺は未だに目の前の状況を理解できずにただ呆然と立ち尽くすことしか出来なかった。

名物のカジノ店は瓦礫の山となり現在の不満を抱えて抗議をしていた人々も居らず静寂が辺りを支配していた。

誰も人が居ないってことはもしかしてあいつらは殺され——————


「っ!」


その時誰かが俺の袖を引いたことで我に返り、引かれた方を見るとツキノが居た。


「大丈夫……」

「へ?」

「大丈夫……大丈夫……」

「ああ、そうだな。大丈夫だよな」


そうだ、あいつらはそう簡単にはやられない。

それにデビ居るんだ。

何か合ったら守ってくれるはずだ。


「おい!城はまだ残ってるぞ!」


ハイトの声が聞こえて来て俺達はすぐに向かう。

ハイトの行った通り城は何とか形を残していた。


「あれが元々の形だとしたら中々に奇抜なデザイン性をしてるな」

「あれが元々なわけないでしょ。誰かが城を攻撃したのよ。まさかやられたわけじゃないでしょうね」

「この戦場を見るに生きてる方が不思議だとは思うけど、諦めないことは大切よね」

「あいつらはそう簡単には死なない。とにかく城に行ってみよう」


既に倒壊寸前の城の中へと俺達は入っていく。

穴だらけの建物は正直入り口など存在しなかった。


「上るための階段もやられてるな。おいかつ、お前壁伝いで行けないか?」

「それ位なら出来るけど、壁が崩れそうじゃないか?俺はワープで行くよ」

「そうか、お前にはそれがあったなそれじゃあ上は任せる」


ハイトはそう言うと別の道を探しに行く。

あいつらは絶対に無事だ、だが誰の声も聞こえないのが気になるな。

もうこの街には居ないのか?

俺は登れない場所をワープで進みながら城の中を探索する。


「ミノル!デビ!リドル!アイラ!マイト!サラ!ガイ!ミズト!ナズミ!エング!サザミ!誰かいないのかー!」


だがその呼びかけに誰も答えない。

本当に誰も居ないのか?


「俺だー!絶対かつだー!隠れてるんだったら出て来てくれー!」


くそ、本当に誰も答えてくれないか。

下からも皆の呼び声は聞こえてくるがそれ以外の声が聞こえてこない。


「ん?あそこは大広間だっけ?」


そう言えばあそこでよく作戦会議をしてたな。

俺は少しの可能性に賭けて部屋の中へと入って行く。

だがそこには人の姿は見られなかった。


「やっぱり居ないか……ん?」


周りを見渡した時一際目立つ機械が目に入った。

そう言えばこんな機械を拾ってたな、結局使い道は分からなかったけど。


「て、何か挟まってる?」


機械の隙間に何か紙が挟まっている。

俺はそれを引き抜いてその紙を手に取るとそこに書いてある文字を読む。


「っ!みんなー!見つけたぞー!」


俺はすぐさま大声を上げて皆が居る場所へと向かう。

そして一気に穴が開いている場所から飛び降りて皆の所に着く。


「見つけたって誰も居ないじゃない」

「見つけたんだよ!ほら、この手紙を見て見ろ!」


すぐに手に持っている紙をみんなに見せる。

そしてピンカがその紙を読み上げた。


「キンメキラタウンで待つ?これって……」

「あいつらはキンメキラタウンで待ってるって事だろ!」

「文字を見る限りそう言う事だな。そうか、よかった……」

「まあ街には死体が見られなかったからな。あいつらが街の人々をそこに逃がしたんだろう。だが俺には少し気がかりがある」

「王様が気になってることってのはこれをしでかした奴だろ」

「まあそうだがおれを王って呼ぶな。まだその称号は奪われたままだ」

「それはすまなかった、とにかくこんな行動をやってのけるのは一つだけだ」

「シンラ様よ」


ブライドが結論を出す前にピンカが答えを言う。

だがその答えは俺達の予想とは違っていた。


「随分と的確だな、なにか確信出来る物があったのか?」

「よく見るとこの城の周りに木の枝が絡みついてるでしょ。まるで木の枝で握りつぶされたかのように」

「っ!ほんとだ!確かに壁とかに木の枝が絡みついてるな。これはもしかしてシンラのオリジナル魔法ってことか?」

「一度見せてもらったことがあるの。それとこの状況は似てる」


シンラの偽物がこの街を襲ったのか。

もしかしてガイスの指示か?

俺達がガイスを殺そうとしたからその罰として仲間がいるこの街を襲わせた。

でもこの街に他の仲間がいることは知らないはずだよな。


「なるほどね、すごいわピンカちゃん。これでこの街を破壊した悪い人は分かったわね」

「シンラは確か今はガイスの部下だよな。だとすると完全なる見せしめだろうな。俺に逆らうことがどうなるかっていう。にしてもそれで誰一人も死者を出してないのは奇跡という他ないな」

「理由は……会って聞けばいい……」

「ツキノの言う通りだ、早くキンメキラタウン行こう!もしかしたらまでシンラに狙われてる可能性がある」

「もしシンラ様が敵として現れたら私が相手するから」


いつもよりも真剣な口調でピンカは言った。

その言葉に対してハイトが真っ先に否定した。


「何考えてんだピンカ!あいつらの実力を知ってるだろ!それが元使えてた奴ならなおさらだ!もし敵として現れた時は俺達も戦うぞ」

「そんなの分かり切ってるわよ!でも悔しいの!せめてこの手で終わらせることも出来ないのなら私は何のために側に居たのか分からなくなる!」

「っ!」

「ピンカ……状況を見て考えよう。ピンカの想いも分かるよ。だけどそれならもっと強くならなきゃだめだ。そうだろ?」


俺はピンカの方に手を置く。

だがそれをピンカは振りほどいた。


「自分が王が居ない人には分からないわよ」

「おいおい、こんな所で言い争っても時間の無駄だ!ってさっきピンカは言ってなかったか?」

「ブライド、それとこれとは違うの!私だって責任を果たさなきゃいけないの」

「確かに責任を果たすのは大いに結構だ。だがそれは個人的な事情だけにしておけ。今はチームで仲間だ、協力受けた以上勝手な行動は許さないぞ」

「くっ!」

「とにかくキンメキラタウンに行ってみようぜ。あいつらと話もしておかないと、何が起きたのか情報を整理してからこれからの事を考えよう。ピンカもそれでいいだろ」

「分かったわよ」


納得いってなさそうだがまあいいか。

たしかにピンカの立場から考えると守れなかった以上その責任を自分で果たそうとする想いは分かる。

だけどやっぱり今のままじゃ駄目だ。


「それなら早くテレポートしましょうか。もしかしたらその町も破壊尽くされちゃってるかもしれないし」

「もしそうだとしたら俺達はとんでもない事をしたことになるぞ」

「ガイスに喧嘩を売った時点でこの島の無事な場所なんてないだろう。だが俺は妹を助けるまでは死ぬつもりはないぞ」

「あっその前に、前に持って来た機械がまだ残ってるんだよ。使い方がまだ見出してないけど持って行くか?」

「機械?それは少し気になるな。よし、確認したいから俺も付いて行こう」


そう言ってブライドは着いて行く気満々で魔法陣を展開させる。


「準備万端な所申し訳ないけど俺が持って行くよ。そっちの方が速いし」

「そうか、まあ見れるのなら何でもいいぞ」

「じゃっ直ぐに戻って来るから!」


俺はワープで機械が置いてあった広間にすぐに戻る。

そしてその機械を持ち上げて再び穴が開いてる場所から飛び降りる。


「随分と豪快な降り方をするな」

「こっちの方が早いだろ。ほら、これがその機械だよ。破滅の洞窟の最下層の研究所で見つけたんだよ。用途は分からないけどな、それと動かないから壊れてるかもしれないし」

「見つけた……」

「え?」

「見つけたぞクリシナ!まさかこんな所にあったとは!通りで見つからないわけだ!」


突然大声オダして興奮気味で目の前の機械を抱きしめる。


「ちょっと何あいつ、とうとうおかしくなっちゃったの?」

「これで行けるぞ!俺達は勝てる!これは希望の星だ!」


未だに状況が飲み込めずにブライドは一人で勝手に盛り上がっていた。



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