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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十一章 八つの源魔石の行方
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その二 四人の英傑

「ぜぜ、ゼットがかつのパパ!?何それ信じらんないんだけど!」

「俺だって信じらんねえよ。だが目の前にある証拠がそれを物語っている。そもそも並みの魔法使いじゃその魔法陣を記憶することは不可能だ。簡単に取られないように複雑にしてあるからな」


ブライドは俺のフードに書かれた魔法陣をじっくりと見てさらに確信を得る。


「うん、やっぱり私から見てもこれはゼット師匠の物ね。それに関してはまず間違いないと思うわ。それにこんな複雑な魔法陣が偶然お守りの柄と似てるなんて考えられないと思わない?」

「確かにそうだな。そんな偶然はかなりあり得ない」

「ちょっとハイト!何言いくるめられてんの!あのゼットよ、かつてはガイスと互角以上に渡り合っていた最強の半獣。その息子がこいつだって!?なら何でそんなに弱いのよ!」


その瞬間、なぜかピンカが俺の頭をぶっ叩いて来る。


「いてえ、何でぶつんだよ!」

「いや、俺は逆にそれを聞いて納得がいった。かつは普通とは違うからな。レベル1なのに保有できる魔力量は圧倒的にそれを上回る。インパクトも強力な魔法だし、それらを可能にするのがガイスの息子ならしっくりくる」

「くっ!まあ、たしかに変な奴だとは思ってたけど」

「俺の父さんがゼット……」


するとツキノが俺の服の袖を引っ張って来る。


「かつ……父強いの?」

「ああ、何かそうらしい。まったく実感ないけどな」

「かつ……すごいの……?」

「すごいのはかつじゃなくて父親でしょ」

「いやまあそうだけどさ、正直俺自身納得いってないんだよ。父さんはゼット何て名乗ったこと無いし、たしかに父さんが半獣ってのは知ってたけど」

「何?お前はすでに父親が半獣だと知っていたのか?」

「へ?あー何となく、そうなのかなと思ってさ!」


あぶねえ、そう言えばこれを教えてもらったのはアキサさんだった。

あの人の事を言うわけには行かないよな。


「ゼットさんはかつには何と名乗ってたんだ」

「父さんは絶対ふくって名前だよ」

「ふふっゼット師匠も随分可愛らしい名前を付けるようになったわね。それでゼット師匠は今どこに居るの?かつがここに居るってことはゼット師匠も居るのよね」

「っ!?あーそれは……」


まずいまずいまずい、油断していた!

そうだよな普通に考えたらそうなるよな。

ここで言うべきなのか、いや余計に混乱させるだけなんじゃ。

だけどこの状況を誤魔化せるような言い訳も思いつかないし、下手な言い訳は返って逆効果な気もする。

言うか、俺がこの島の住人じゃないことを。


「おい、クリシナ、かつをいじめるな。分かってる、ゼット師匠はこの島には居ない」

「え?そうなのか?」


てっきり問い詰められるもんだと思っていた。

ブライドは分かり切ったような笑みを浮かべると天井を見始める。


「ゼット師匠は平和を求めて旅立った。だからもうこの島に戻って来ることはない。お前が何でこの島に居るかは気になるところだが事情があるなら聞かないさ。ただこれだけは聞かせてくれ、師匠は平和に生きてるか?」

「ああ、父さんは平凡な毎日を送ってるよ」

「そうか、そりゃあよかった」


元々はこの島に居た父さんが日本に何故言ったのか。

その真意は分からないけどその弟子のブライドがこう言うんだから多分この島じゃない何処かに行きたかったんだろうな。


「それならなおさらかつはガイスと因縁があることになるな。お前が俺をここに連れ出したのも運命みたいだ」

「いや、父さんは父さんは俺は俺だ。父さんがゼットだったからって俺の考えは変わらねえよ。俺はゼットの考え方が好きじゃない、だから止めるんだ。もうこれ以上誰も傷つけられないように」

「そうか」

「あと、妹を助ける為にもな!」

「ふっそうだな」

「盛り上がってるところ悪いんだけど、いい加減にここがどこか教えなさいよ。というか早く私たちのアジトに帰りたいんだけど」

「まあ、待て。言っただろ、協力しようと。その為にもお互いの状況を知るべきだ。そうだろ?」


そう言ってブライドは壁の方に進み手をかざすと機械のような起動音と共に何もなかった場所から扉が現れた。


「な、何よそれ?」

「これ見たことあるぞ。研究施設と同じだ」

「そう、かつの言う通りここは研究室の跡地だ。そして今は俺たちのアジトだ。ついて来い」


ブライドは手招きをすると中に入って行く。

クリシナもそれに続いて中に入って行き、俺達は恐る恐る中へと入って行く。

そして室内に入った瞬間、突然警報音が鳴り響いた。


「何だこの音は!?」

『侵入者発見、直ちに排除します』


その瞬間、アラームと共に機械音が聞こえて来る。

この何処か聞いたことがあるような機械音声、そう日本でよくある音声ガイドや機械の声を出す時はこんな感じだった。


「まさか……まさかっ!」

『侵入者発見、計四人を確認』

「ロボットだー!!!」


鋼の体で出来た光沢のあるボディ、赤色に輝く一つの瞳、そして重厚なその丸みを帯びた見た目は明らかなロボットだった。

まさか日本で見たことがあるロボットを異世界で見ることになる何て、大きさは人間サイズだがそれでもかなりの迫力がある。


「ちょっと何よこれ!聞いてないんですけど!」

「随分と変わった機械だな。というかこの技術は今の世界にはないだろ!」

「気を付けろよ。かつが言うロボットと言う機械の言う通りならこちらに攻撃を仕掛けてくるかもしれないぜ」


ガルアが目の前のロボットに警戒をした瞬間ロボットは腕をこちらに振り下ろしてきた。


「ふぐっ!?」


突然ハイトが大きくのけ反る。

ハイトの方を見ると何と顔に何かがぶつけられていた。


「大丈夫かハイト!」


俺はすぐさまハイトの顔についた何かを引きはがす。

するとハイトの顔が真っ白に塗りたくられていた。


「あはははは!何その顔!だっさいわねっうぐ!?」


ハイトを馬鹿にするように笑っていたピンカの顔にも同じように白いものがぶつけられていた。


「何なのよこれ!あっ甘い」

「甘い?まさかそれって」

「おい、かつ来るぞ!」

「は?うがっ!」


ガルアの方を見た瞬間勢いよく顔にぶつけられた。

そのままぶつけられたものを舐めとる。

うん、やっぱりこれは日本でよくあるパイだな。

パイを顔にぶつける芸が日本ではあったしそれがロボットの攻撃方法ってことか。


「俺はそう簡単にぶつけられないぞ!」


ガルアは機敏な動きで投げてくるパイを全部避けている。

この狭い空間の中で魔法を使わずにうまく立ち回っているな。


『侵入者のレベル調整、警戒レベル5に設定』

「警戒レベル5?どんなレベルでもすべて避けて……」


その瞬間、ロボットの腕が二つから五個に増えた。


「嘘だろ」


さらに激しさを増したパイ投げは周りを巻き込むほどの接戦が繰り広げられていた。

それにより顔を拭き終えたピンカは再びパイを顔面にぶつけられる。


「このぉ!私をコケにするなんていい度胸じゃない!ウォーター滑り!」

「っ!ピンカ!」


ピンカはガルアの足元に水を展開させることでガルアをこけさせる。

その瞬間、全てのパイがガルアの全身を染めていく。

何て不憫な奴だ。


「おいピンカ!お前やりやがったな!あいつとの勝負に手を出しやがって!」

「知らないわよそんなの!それじゃああんたの戦いに私を巻き込むな!ていうか王がそれ位でキレてんじゃないわよ!」

「王だって切れるぞ!」

「ていうかガルアパイだらけだぞ!それ前見えてんのか!」

「おいかつ!あのロボットまだ俺達を攻撃しようとしてるぞ!」


どうして良いか分からずに大騒ぎしていると何処からか大声が聞こえて来る。


「あっはっは!引っかかったようだね。この博士の最高の発明品に!」

「な、何だあいつ?」


その時、笑い声が聞こえた方向を見ると謎の少女がだぼだぼの白衣を着て立っていた。


「メメ、それは客だ。いじめちゃ駄目だ、いじめるなら俺にしておけ」

「変態に様はないんだよ、私は!それにお前に実験道具を試しても動じなさ過ぎて全然参考にならないじゃないか!」

「おいおい、そこら辺にしておけ。そのロボットを早く止めろ。じゃないとアジトがパイだらけになる」

「何だ、ブライド兄ちゃんの客か。それなら止めてあげよう」


何だ一体こいつらは誰なんだ。

すると白衣の少女がスイッチを取り出しそれを押すとロボットは停止音と共に動かなくなった。

俺はすぐにパイを拭いてブライドの元に詰めよる。


「ブライド!おい、これどういうことだよ!こいつらは誰なんだ!」

「そうだな、自己紹介がまだだったな。それじゃあ、改めて紹介しよう。先ずはこのちっこいのはメメだ!うちのエンジニアでここの研究所を使えるように直したのはこいつだ」

「えっへん!それに博士は背がちっこいのではなく頭に栄養が行ってしまうから身長が伸びないだけなのだよ。それと博士を呼ぶ時にはメメ博士と呼ぶように」

「続いてはこいつはデュラだ。デュラは魔術博士でオリジナル魔法をいくつも作れる。魔法の事で相談があるのならこいつに聞くようにしろ」

「よろしく、危ない事が合ったら何でも俺に言え。俺が代わりに受けよう」

「そしてクリシナ、こいつは暗躍担当だ。潜入捜査は必要な物資の調達など主にサポート役として活躍してもらっている」

「何か欲しいものがあったらいつでも言って、優雅にそして華麗に取って来てあげるから」

「そして最後に俺がこいつらのリーダーだ。主に戦いや前線でこいつらを引っ張る役割を持つ。この計4人が俺の仲間であり、そしてゼット師匠の意思を継ぐ者たちだ!その名も革命家だ!」



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