その一 俺のお父さんは最強
「俺達と手を組むって?」
「そうだ、現状それが両社にとって最善だと俺は思うが」
「ちょっと待ちなさいよ。自分たちが人手が足りないからって私達を利用しようとしてるだけでしょ」
「まあ、たしかにそれもあるな。お前たちは何人いるかは知らないが、少なくともこの時点で数は負けてる」
「ほらね、言ったとおりでしょ。かつ、こいつらの言い分は効く必要はないから。私達は早く自分たちのアジトに戻りましょ」
そう言ってピンカはすぐに帰ろうとする。
だがブライドはそんなピンカの言い分に対して笑みで返した。
「だが質はこちらの方が上だ」
「何!?聞き捨てならないわね、私達が弱いって言いたいの。確かに他の奴らは私よりかは劣るけどそれなりに出来る奴らなのよ」
「おいおい、ピンカがあんな風に言うのは初めてじゃないか」
「だな、明日槍でも降るかもな」
「ちょっとそこ!うるさいわよ!」
俺とハイトのこそこそ話を聞きつけたピンカがこちらに怒鳴りつけて来る。
何というかピンカは少しはこちらを信用してくれるようになったってことかな。
「そうか、それはすまなかったな。だがこれは確実に言えることだが俺はガルアにも勝てるぞ」
ブライドはそう言うとガルアの方に視線を向ける。
「ガルアにー?ちょっと待って、たしかにこいつはガイスを復活させるようなあんぽんたんだけど、実力は本物よ。いくらなんでもそれは——————」
「いや、あんたの言う通りだよ。確かに実力で言えば俺よりも上だ」
「うそ……」
「確かにブライドはガイスとも渡り合ってたしな。ていうかどうしてそんなに強いんだよ。まさか限界を突破してるのか?」
「限界?ああ、記憶を消した時にはそう言う風にさせてたのか」
「え?お前らの時代では限界はなかったのか?」
「魔力には限界なんて存在はしない。本人の努力次第でいくらでも伸ばせる物さ。ちなみに俺の魔力レベルは二十だ」
「「「二十!?」」」
あまりの高さに俺達は思わず声を上げてしまう。
「因みにお前らはどれくらいなんだ。仲間になるんだ、戦力は把握すべきだろ」
「まだ仲間になるって言ってないでしょ。だから言わない」
「なるほど十か」
「何でバレっ!て、違うわよ!私はそんなちんけな数字じゃないから」
「隠しても無駄だ。俺は他人の魔力レベルを測れるんだよ。一緒の特技さ。まあ見た所十以上はガルアとかつしかいなさそうだな」
「なっちょっと待ちなさいよ!ガルアはともかくかつが十以上って信じられないんだけど!」
ピンカは驚きを隠せずに俺に食って掛かって来る。
「そうか、俺魔力レベルが十を超えてたのか。でも医者の判断では俺は魔力レベルをこれ以上上げられないって言われたんだけど」
「そんな診断をした医者は誰だ。そんなわけがないだろ、お前は魔力レベルを上げられる。今の魔力レベルは十三だ」
「十三!?俺ってそんなに上がってたのか」
「何だお前知らなかったのか、ガルアは確か十五だったな」
「そうだな、この中では三番手か?」
「え、三番手?」
そう言うとガルアはクリシナの方を見る。
「ふふっブライドの言う事は信じちゃ駄目よ。たしかに魔力レベルは十が限界ではないけどそれを超えるのはかなり大変なことよ。ブライドは天才肌だからは常人が困難なことも本人からしたら簡単になるの」
「確かにそれはゼット師匠にも言われたな。お前は天才しか取り柄が無いってさ」
「ゼット?それってたしかガイスと敵対してた人だよな」
「そうだ、ゼット師匠は俺に色々なことを教えてくれた。まあもうこの世界には居ないんだけどな。俺はゼット師匠に託されたんだ、その為にもセット師匠のオリジナル魔法インパクトを回収しようとしてるんだが中々見つけられないんだよな」
「は?ゼット師匠のオリジナル魔法?インパクトってそれ俺が覚えてるぞ」
「何だって?」
「その証拠にこのフードの裏に書かれてる魔法陣がそれだろ?」
俺はブライドにフードの裏を見せる。
するとそれを見たブライドが目を丸くさせる。
「驚いたこれは本物だ。師匠が着てたフードだよ、似てると思ったがまさか本物とは。これは何処で見つけた」
「え?普通の服屋で見つけたけど」
「なるほどな、木を隠すなら森の中ってわけか」
「ていうかちょっと待てよ。これ俺のお父さんがくれたお守りにもついてるんだ。それってどういうことだよ!」
「何だと!?おいおい、それは驚いたな。こんな偶然がある何て、かつお前のお父さんは世界最強の半獣ゼットだよ!」
「えええ!?」
俺はその事実を知り思わず目が飛び出そうになった。




