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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十章 決行!ガイス暗殺計画
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その十三 復讐ではなく未来のため

「なるほどな、奇襲からの毒殺。まあ正面からの戦闘を取らないのは定石だな。普通に戦うよりは成功率は上がるだろう。まっ失敗する確率の方がはるかに高いのは変わらないが」

「それは分かってます。それを覚悟した上の作戦ですから。だからこそ俺達は作戦の成功率を上げるためにここに来たんです」

「そうは言ってるが結局のところ復讐だろ?うまく隠せてると思っただろ。お前の目を見ればわかるぜ、ぎらついた復讐心が宿った目だ。それ以上深入りすれば取り返しがつかないことになるぞ」


そう言ってブライドはイナミの目をじっと見る。

そしてイナミもその見透かされたような視線を感じ取り目線を反射的に外す。


「俺はピンカっていう子がそう言う節があると思ったけど実際は違かったようだな」

「確かに復讐心がないとは言えないですよ。こっちは親を殺されてるんですから。でも俺達がやろうとしてるのは復讐じゃない。俺たち二人がこれから先の未来に進むためにもケリを付けなきゃいけないんだ」

「その覚悟は大したもんだ。俺もお前に協力をしたいとは思っている。だが、現実はそんなやる気だけで行けるほど甘くはない。確実な計画と方法が無ければ実行する事すら困難だ。お前はそれを考えられるのか?」


ブライドは今一度イナミに覚悟を決めさせる。

確実性のある計画を今のイナミが考えられるわけがなかった。

それには圧倒的に準備と経験が少なかったからだ。

それを見かねたブライドが腕を突き出す。


「これ、何か分かるか?」

「ブレスレッドですか?」

「ちょっと違うな。これはある研究者が作ったもんだ。お前も良く知っている研究者だよ。そいつらの遺作で使える物を持って来た。よく見てろよ」


ブライドは手に付けてある緑色の装置を掴み右に捻った。

その瞬間、ブライドの姿がうっすらと消えて行く。


「っ!?姿が見えなくなった」


イナミは目の前から消えたブライドを探すために前に出る。

その時ブライドが居た場所から声が聞こえて来る。


「俺はちゃんとここに居るぞ」

「あ、あれ?本当だ、声は聞こえるし感触もする。よく見るとうっすら見えるような」


ブライドは再び腕輪を掴むと今度は左に回す。

すると先程まで姿が見えなくなっていたブライドが再び姿を現す。

イナミがそれに驚いた表情をしているブライドはいたずらが成功したような無邪気な笑みを浮かべる。


「へへっどうだ凄いだろ?」

「もしかしてそれを使って殺そうと?」

「候補には上がってる。だが今感じたように気配も感触も感じられる。居なくなったわけじゃないし、目を凝らせばうっすらと姿を見ることも出来る。まあ、注意深く見らねなければ大丈夫だがバレる可能性も大いにあるしまだ計画としてはこれだけじゃあ無理かな」

「それじゃあ、別の作戦があるんですか?」

「いや、ないよ」

「え?」


ブライドのはっきりとした否定にイナミを目を丸くさせる。

先程まで情報交換を提案してきた男の態度とは思えなかったからだ。


「正直言うと今回はガイスを殺しに来たわけじゃないんだよね。この装置の実験と別の目的のために侵入しただけだから」

「じゃあ、何でそんな事」

「その事を言えば教えてくれると思って、それと大人しく帰るかなと。まっこれも情報を得るための技の一つだよ」

「そんな!騙したのか!」

「悪かったって、その代わりにお礼といっちゃなんだが俺の目的を話してやる。おい、クリシナ!もう戻ってきていいぞ」

「はーい、ほら行きましょうピンカ」

「うっさいわね。気安く話しかけんじゃないわよ!友達でもないのに!」


ピンカは手を繋ごうとしてくるクリシナの手を振り払い逃げるようにイナミの元に向かう。


「あらあら、恥ずかしがり屋さんね。あんなにもお互いの事を語り合ったのに」

「あんたの一方的なお喋りだったでしょ!ていうかイナミ、何の話をしたわけ」

「え、それは……」

「話し合いの結果協力することにしましたー」

「えっ!」

「は?何言ってんのよ、私抜きでそんなこと決めたわけ!」


ピンカは怒りのあまりイナミに掴みかかる。

イナミも誤解を解くために弁解しようとピンカを落ち着かせる。


「ちょっと待ってよ!これは俺が決めたことじゃ」

「そうそう、今俺が決めたことだからイナミは何にも悪くないぜ」

「どういう意味?」

「俺達は本来ここに集められた人たちを解放しに来たんだよ」

「そう、ガイスを殺すのはまた今度にするつもりだったんだけどピンカ達がやる気なら手伝うわよ」

「結構よ、あんた達の力なんかなくたってやれるわ」

「復讐じゃないんだろ?なら協力をしてもいいじゃないか。それともやっぱり復讐なのか?」


ブライドの鋭い言葉がイナミに刺さる。

2人きりで行けば自らが否定した言葉を肯定することになる。

その為イナミはただ頷くしかなかった。


「協力しましょう。その方が確実だから」

「ちょっイナミ!こいつらは部外者でしょ」

「ピンカ、俺達は復讐に来たんじゃなくて未来に進むために来たはずだ。今すべきことはガイスを殺す事、その為ならどんなやり方でも構わない。そうでしょ?」

「……ふん、勝手にしなさいよ」

「もう、お姉ちゃんなんだからちゃんとしないと駄目じゃない。弟のわがままを聞いてあげるのも姉の務めよ」

「わがままは余計じゃないか?まっ協力と言ったが先ずは俺達の作戦を手伝ってほしい。ここに居る人達を外に連れ出す」

「どうやって?」


その言葉にブライドはニヤリと笑って見せた。


「夢から覚める魔法があるんだよ」



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