その十二 ガルアの計画
「それは本当なのか?」
百パーセント成功する。
そんな事が本当に可能なのだろうか、どんな事だろうと百パーセントはあり得ない。
ガイスを殺すならなおさら低確率で作戦に挑まなければいけない。
それなのにガルアはそう言い切った。
「ああ、その為には俺の考えた計画に協力をしてくれないか」
「ガルア様がガイス暗殺計画を考えるんですか?」
「ああ、悪いか?」
「いえ、ガルア様が良いのなら止めません。正直言うとガイスの事を知っているのはガルア様が一番ですから」
「確かにそうだな。よし、その作戦を教えてくれないか」
百パーセント達成できる計画があるのなら使わない手はない。
だけど本当にそんな計画がある何て未だに予想つかないな。
するとガルアがその計画について語り出した。
「まずガイスを殺すのは俺だ」
「お前がやるのか。出来るのか?」
「俺じゃなければこの計画は確実とは言えない。もちろんツキノには協力してもらうぞ。そして殺すやり方はそっちと同じように毒で殺す」
「分かった……何すればいい……」
「その前にかつ、毒は布越しで触れても平気なのか?」
「やめた方が良いぞ。染みこまないとか完全に肌に触れない物だったら大丈夫だけど」
そう、この毒は肌に触れれば即効性で死に至るが触れさえしなければ平気だ。
手袋で触れても平気だが布ではなくゴム手袋みたいのじゃないと結局は意味がない。
「そうか、なら事前に毒を塗るのはどうだ。そこから極薄の手袋で肌に触れないようにすれば」
「確かにそれなら可能でだけど、それをやってどうするんだ。直接肌に触れる気か?」
「ああ、それが一番だと思ってな。ツキノお前はかつの計画通りに分身を使ってガイスに接触しろ。もちろんその手には毒を塗っておくんだ。まあ十中八九見破られると思うがな。そして見破られたと同時にかつ、お前はガイスを攻撃しに行け。最高の一撃をぶつけてくれればいい」
「え?俺がガイスを攻撃!?ちょっと待てよ、さすがにそれはきつくないか?」
「俺の知っているかつならそれ位朝飯前だと思ったけどな」
「こいつ……分かったよやってやるよ!一撃ぶつければいいんだろ」
「任せたぞ」
ガルア、口で言うのは簡単だが実際にやるとなるとめちゃくちゃ難しいんだぞ、と文句を言ってやりたいがこう頼られると悪い気はしない。
それもガルアの天性の王の風格があるからかもしれない。
「それで一撃をぶつけてどうするんだよ。まさかそれで倒れるとか思ってんじゃねえだろうな」
「分かってる、一撃を入れた時一瞬の油断が出来る。その隙に俺がガイスの体に触れれば暗殺完了だ」
そう言ってガルアは計画を話し終えた。
正直言うと百パーセント成功する作戦としては少し不安要素があるような気がする。
それはハイトもツキノも分かっているのか少し不安そうな表情をしている。
だがガルアには言いにくいのか言葉を詰まらせている。
仕方ない、ここは俺がビシッというしかないか。
「これがガルアが言う百パーセント成功する作戦なのか?正直それを言い切るほど完璧な作戦とは言えないような気がするぞ」
「そうか、俺は成功する気しかしないぞ。言っただろガイスの事は俺が一番理解している。王としてきちんとけじめを付けるためにも俺の事を信じてくれないか?」
ガルアは真剣なまなざしでこちらを見つめる。
ガルアはガルアなりの理由をもってこの計画を立てたんだ。
ガルアにしか分からない成功する根拠があるのかもしれない。
信じることが大切だよな。
「分かったその作戦で行こう」
「ガルア様、俺はすべきことはないんですか?俺も何かしらで協力したいんです!」
「ハイト、お前は不測の事態に備えていつでも攻撃する体制に入っておけ。ワープですぐに逃げられるようにな」
「分かりました」
「それじゃあ、作戦を開始するタイミングはどうする?油断を付けれればいいんだろ?」
「ああ、それとツキノの魔法があまり早めに見破られないのが理想だ。出来れば触れられる距離まで近づいて欲しい。タイミングは出来れば注意がそれている時、何か問題が発生した時がベストなんだけど」
たしかにそうだ、何か問題が起きればガイスはそちらに注意する。
そこで偽のガルアが入って来たとしてもよほどのことがない限りすぐにバレることはないだろう。
見た目喋り方さえ完璧にして居ればバレること反先ずない程の完璧な偽物だし後はキッカケだよな。
「それならわざと問題を起こすか?そうすれば隙を作れると思うんだ。俺はサポート役に徹するのならそう言う事も出来るぞ」
「ハイトがか?具体的には何をするんだ」
「それはまだ決まっていないが、やれることはするつもりだ」
「それなら今集められてる人達が使えそうだな」
ガルアはぽつりとその言葉を呟いた。
それを聞いてハイトは驚いた表情をする。
「集められてる人達をですが!?それは難しいと思うな、だってその人達はガイスを崇拝しているわけですしそう簡単に出て行くとは思えない」
「確かにそうだ、ほとんどがガイス派の連中だしその信頼度も抜群だろう。だけどそれは偽善的な一面しか見ていないからだ。実際、集められてる仲間には奴隷の印が刻まれている」
「なるほど!奴隷の印が刻まれていることを知ればガイスの信頼は無くなる。そうすればこの城から出て行くはずだ」
「それは分かったけど実際はどうするんだ?今のあいつらのガイスに対する信頼は厚いんだろ?ガイス自身が言うならまだしも赤の他人が行ったところで信じないんじゃないのか?ガルア様、何かいい方法があるんですか」
「確かにハイトがそいつらに言った所で聞く耳を持たないだろうな。そうなると俺が行くか?」
「え?ガルアが行くのか?それはやめた方が良いと思うけどな」
「俺じゃなく分身が行くのならどうだ?」
その提案を聞いて少し俺達は考え込む。
分身なら何か起きた時でも大丈夫だし、見た目は完全にガルアだからすぐに信用もされるだろう。
「確かにそれは良いけど、ツキノお前分身同じ奴二人作れるのか?」
「むり……」
「そうか、だとすると騒ぎが起きた時にすぐには行けないのか」
「証拠があれば少しは信じてくれるんだろうけどな。そんなもんないし」
「いや、ある」
ハイトは何か思いついたのか目をカッと開きそう呟いた。
「その奴隷の印はこの城で行われてるんですよね」
「ああ、そうだ。っそう言う事か。その奴隷の印をつけた奴を引き出せば証拠になるな」
「なるほどな、そいつが居る場所は分かってるのか」
「ああ、一階の相談室だ。場所は分かるよな」
「はい!それじゃあ、俺はすぐに行って仲間たちを解放してきます。後の事は任せましたよ」
そう言ってハイトは早速を扉を出てってしまった。




