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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十章 決行!ガイス暗殺計画
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その七 もう二人の潜入者

「この部屋だ、入れ」


ピンカとイナミは警備の人に連れていかれてある部屋の前に立つ。

そして警備の人がそれを開けるとそこには不気味な笑みを浮かべている男が居た。


「グフっグフフフこれはこれは可愛らしいお方が来ましたね。どうぞ中にお入りください、さあ早く」


不気味な男はそう言って2人に手招きをする。

ピンカとイナミはその怪しげな人物に不快感を覚えながらも慎重に中に入って行く。


「それであんた何者なの」

「私はただの雑用ですよ。ここでガイス様の仲間になる意思があるかどうかの確認をするだけのね。そう身構えなくても大丈夫ですよ、私はそこまで強くはないのでね。グフっグフフフ」

「その気持ちの悪い笑い声をやめるか。あんたが何者かしっかりと説明をするかどっちがいい?」

「はあ、貴方も頑固な方ですね。私はただの雑用だとおっしゃいましたぞ。かつては栄光を築き上げていましたが今ではただの敗者、落ちこぼれなのです」

「だったらこの部屋に展開されている魔法陣は何?それにあんたの手に貼ってあるその魔法陣も」

「ああ、これが気になるのですか。グフッグフフフ、気にしなくても大丈夫ですよ。どうにも私をここから出させる気はないようですので。まあ牢獄の中で一生を過ごすよりかは刺激的で話も出来るので退屈しませんが」


目の前の男の口ぶりを見てイナミはピンかに耳打ちをする。


「ねえ、ピンカあいつ完全にあっち側の人間だ。関わらない方が良いよ」

「そうでしょうね、普通なら気持ち悪いし絶対に関わり合いたくないけど。あんたと話をしないと会えないんでしょ、ガイス様にさ」

「グフッグフフフ少し言葉に棘がある気もしますがまあいいでしょう。さあ座りなさい、貴方方の忠誠心を私に見せてください」


ピンカ達はその男の言う通りに近くの椅子に座った。


「それで何をするの?」

「グフッフフフ単純な誓いですよ。ガイス様と共に己の魂を捧げますか、それについて頷けばいいのです」

「それだけ?口上の誓いだけで仲間と決めつけるんだ」

「もちろん、その証も贈呈させてもらいます。さあ、誓いますかな?」

「……誓います」

「誓うわ」


その言葉を聞いた瞬間、再び男は不気味な笑みを浮かべる。


「グフフフそうですか。それならばこちらを刻んでもらいましょう。なあに、ほんの一瞬で終わりますよ」


そう言ってその男は謎の魔法陣が描かれた紙を手にする。


「それは何なのよ」

「先ほども言いましたよ、証だと。仲間になるのならその証明が必要です。敵か味方を判断する為の見分けのような物です」

「それは絶対に付けなきゃダメなの?」

「もちろんです。付けられないのなら仲間になることは出来ません。逆に考えましょう、これを付ければ仲間になれるのですよ」

「どうするピンカ?」

「グフッグフフフ、締め切りの時間まで残りわずかです。決断はお早めに」


不気味な笑い声が響く中ピンカは頭を働かせる。

目の前の状況で何が正しいのか、どうすればいいのかを。

そしてある決断に至ったピンカのその言葉を受け入れた。


「分かったわ、刻んでやろうじゃない。その魔法陣を」

「え?いいの?絶対に何か良からぬものだと思うけど」

「でしょうね、だけど今は仲間になることが先決よ。それに目的を達成すれば、全て終わることだし」

「まあ、そうだけど」

「よろしいという事で良いのですかな?」

「ええ、さっさとしてくれる」

「分かりました、それでは何処に刻みましょう」

「手の甲で良いわ。そっちの方が分かりやすいでしょ」

「じゃあ俺は右肩で」

「分かりました、それでは行きますよ。はっ!」


男は手に持った紙をそれぞれの箇所に貼り付ける。

するとそこに焼き印のような熱い感覚と共にそこに印が刻み込まれた。


「これが仲間の印……」

「これで貴方方は正式にガイス様のお仲間となりました。この扉を進み地下の階段を降りてください。祖すれば、同じ同志と巡り合えるはずですよ、グフッグフフフ」

「あっそ、それじゃああんたの顔もう二度と見たくないからさっさと行かせてもらうわ。行くわよイナミ」

「うん」

「グフフフ、そうなると良いですね」


ピンカはイナミを連れて早々と扉を潜る。

するとその奥には謎の部屋がもう一つあった、そこは特に特徴的な物が置かれているわけでは無かったが明らかに扉を潜った先がこの部屋に通じるのは不自然だった。


「地下へと続く階段があるって言ってたけど、でもここにはもう扉が無いよ」

「決まってんでしょ、こういうのは代々カーペットの下とかにあるのよ。ほらね」


ピンカは足元にあるカーペットを動かすとそこには地下へと続く入り口が現れた。


「本当だ、さすがだね姉ちゃん」

「だからお姉ちゃんと呼ぶなっての!今度そう呼んだらバカイナミって呼ぶからね」

「悪口が子供みたいだな、とりあえず中に入ろう」


イナミはその扉を右に動かすと下へと続く階段が現れる。

そして完全に扉を開けて二人は慎重に地下へ通りていく。


「それにしてもガイスは本当に仲間を集めたいだけなのかな」

「そんなわけないでしょ。この仲間集めだってどうせ駒集めとしか思ってないわよ。この印ってのも怪しいしね」

「もしかして操られたりしないよね。やっぱり印を付けるのは間違いだったんじゃない」

「あの場で印を付けずに行くのは不可能よ。あの魔法陣はあいつに異常が起きた時に警告を知らせる物よ。下手に手を出したら作戦が失敗するわ」

「勝手に来た挙句足を引っ張ったら怒られるだけじゃすまないからね」

「そう言うのを言ってんじゃないわよ。私は必ずガイスを……イナミ」

「うん、分かってるよ」


扉に近づいた瞬間妙な気配を感じ取った二人は慎重に扉へと向かっていく。

妙な緊張感に包まれながら二人は意を決して扉を開く。


「っ誰も居ない」

「はあい、こんにちは」

「っ!?」


後ろから声を掛けられてピンカとイナミはすぐさま攻撃態勢を取るが、いつの間にか二人は抱きしめられていた。


「そう怖い顔しないで、可愛い迷い人さん。私はあなた達に手出しはしないわよ。仲良くしましょう」


そう言ってピンクの髪の危険な女は耳元でささやいた。


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