その四 地下への扉
俺達はすぐにラミアの部屋を出る。
「ハイトに……任せた……違うの……?」
「確かにガルアはハイトに任せたけどそれはラミアが居ればの話だ。先にラミアに事情を話して協力してもらえばガルアとの握手も自然と行けるだろ」
「だけど……居なかった……」
「ああ、だからこそ予定を変更して俺達もガルアの方に向かうんだ。ここで待っていても出来る事はないからな。こっちだ」
俺は周りを注意しながら廊下を進んでいく。
「場所……分かるの……?」
「地下の場所か、そんなの分かるわけないだろ。そんな場所があるの初めて知ったんだから」
「じゃあ……どうするの……」
「決まってんだろ、分かる奴に聞く。おっちょうど良いのが居た。ツキノ、奥で隠れてろ」
俺は廊下を巡回している警備を見つけて一旦曲がり角で身を隠す。
「ツキノ、気絶した状態の人も分身を作れるのか」
「可能……だよ……」
「分かった、それなら……」
俺はすぐ近くまで来た警備の人にバレない様に一瞬で背後に回ると首に一撃を浴びせて眠らせる。
そしてその人を担いでツキノの元に連れて行く。
「それじゃあこの人の分身を作ってくれ」
「分かった……」
ツキノはそう言うと気絶している警備の人の手を握る。
その瞬間、魔法陣が展開されて気絶している人とそっくりな奴が魔法陣から出て来る。
「よし、これって完全自立なのか?」
「命令……すればいう事……聞く……性格は……本人と……同じ……」
「なるほどな、それならこう命令してくれないか」
俺はツキノに命令する内容を伝えるとツキノはすぐさま分身の警備の人にその命令をする。
そして命令をし終えると警備は早速命令を遂行する為に廊下を歩き始める。
「よし、それじゃあ俺達も行くか。ツキノ、何してるんだ早く行くぞ」
「おんぶ……」
「へ?」
「他の人の分身……作った時……体動けない……」
「まじかよ」
まあ、他人の分身を作るなんてそんな強力な魔法何だからデメリットもあって当然か。
それにしてもあいつよりもツキノの方がこのオリジナル魔法使いこなせてるな。
やっぱりツキノはすごい魔法使い何だな。
俺はツキノをおんぶして警備の後を追跡する。
そして警備の人が何かを見つけたのか歩く方向を変えて進みだす。
俺は一定の距離を開けながらもその警備の後ろをついて行く。
「ちょっと聞きたい事があるんだけどよ」
警備はもう一人の警備に話しかける。
命令通りに地下の居場所について聞きだすつもりだな。
「ガイス様に言わなきゃいけないことがあるんだよ。ガイス様は今どこに居るんだ?」
「え?そりゃあ、今は地下で一般人を集めてるだろ」
「そうか、それじゃあ地下の行き方を教えてくれないか。早急に伝えないといけないんだ」
「ああ、それなら一回の客間のカーペットの下をめくると入り口があるからそこから行けるぞ」
「ああ、分かった。ありがとな」
警備は必要な情報を入手するとすぐさまその場を離れた。
よし、これで地下への行き方は分かった。
「ツキノもういいぞ」
「うん……」
ある程度距離を離したところで警備の分身をツキノは解いた。
「よし、それじゃあもう一人で歩けるよな」
「うん……」
そう言うとツキノはゆっくりと俺の背から降りて行く。
「ん?どうした?何か言いたそうな顔してるけど」
「何でもない……」
何だ、よく分からないけど何でもいいなら気にしなくていいか。
それよりも地下に行くのが先決だな、早くしないと何か取り返しのつかないことになりそうだし。
俺達はすぐに一階へと降りていき、客間へと向かう。
客間の中に入るともうすでにハイトの姿はない。
ハイトは早々に地下に向かってしまったんだろうか。
「確かカーペットをめくるんだったな……ここか」
明らかにめくられた跡がある部分をめくると銀色の強固な扉が現れる。
それを軽く叩いてみると金属音が響いて来る。
こう言う技術も研究者が作ったのかな。
「取っ手とかがないな、どうやって開けるんな」
魔力でってわけじゃないよな、壊せなくはないけどさすがにそんな乱暴な手段には出たくないし。
その時何処からか何かを動かした音が聞こえて来る。
その音がした方向を見るとツキノが壁に付けられていた灯りを下におろしていた。
その瞬間、固く閉ざされていた扉が開き始める。
「ツキノよく分かったな!」
「偶然……」
「それでもナイスだ!それじゃあ、早速下に行くぞ。ここからはより慎重に行こう」
俺達はついにガルアが居る地下へと足を進めた。




