その四十四 ガイスの呪縛
解散宣言をした時、部屋の中にミズトとナズミが入って来る。
ミズトの片腕はなく傷部分は包帯で巻かれて治療されていた。
「もう会議は終わったの?」
「お姉さま、まだ大人しくしていた方が」
ナズミに支えてもらいながらもミズトがこちらに歩み寄ってくる。
「それで結果はどうなったの?」
「ガイス暗殺計画はハイト、絶対かつ、ツキノで行くことに決めた。残りは主に補助に徹する。何か合った時の為のな」
「そう、なら私は活躍できないのね。それならならこれを渡すわ」
そう言ってミズトは懐に入れていた刀の柄を取り出す。
そしてその手を強く握ると刀の柄が紫色に光った。
それが輝き終えるとミズトはそれを俺に渡してきた。
「一回分だけ使えるわ。何か合った時の為に使いなさい」
「良いのか?」
「ガイスはこの手でやりたかったけど無理みたいだし、直接手を下せなくても託すことは出来る。それじゃあ、任せたわよ」
「ああ、分かった。必ずやり遂げて見せる!」
俺はしっかりとミズトの想いが込められた刀の柄を握りしめるとポケットにしまった。
「それじゃあ、今度こそ解散だな。俺は確認のためにもう一度シアラルスに向かうぜ。それでも構わねえよな」
「俺も行こう。最後の最後まで確認しておきたい」
そう言ってサザミとエングはその場を離れて行ってしまった。
「イナミ行くわよ」
「何処に行くの?」
「決まってんでしょ、作戦会議よ。私達が活躍できる作戦を考えるのよ!」
「そういうことか、分かったよ」
ピンカとイナミは各々の作戦を立てると言って部屋を出て行く。
「俺達結局戦えないのかよ、サラ。最近戦えなくて体がなまっちまうよ」
「そうだね、でも今はまだ我慢だよ。あたい達よりもここに居る皆の方が戦いたいはずさ。自分の無力さと現実を前にして必死に考えた結果が暗殺何だからね」
「よく分かんねえけど、かつが行くなら安心だろ。任せたぜ、俺はそれまで遊んでるからよ」
「それじゃあ久しぶりにあたいとやるかい?」
「おっいいな!それじゃあ早速やろうぜ!」
ガイとサラはそう言いながら部屋を出て行ってしまった。
「それじゃあ、僕もそろそろ部屋に戻るよ。作戦会議は君達に任せるよ。それじゃあ、頑張ってね」
マイトもそう言うと出て行ってしまった。
そしてあっという間に俺達だけになる。
「やけにあっさりしていたのう。もう少し反抗すると思っていたが」
「サラさんも言っていた通りこれしか方法がないんだと思います。魔法ではほとんど太刀打ちできませんからね」
「ガイスを倒すことに特化した作戦ね。自分のプライドを押しとどめて作戦を考えるのは辛いわよね」
「そうだな、でも俺達はやるしかないそうだろ?ツキノ、ハイト作戦を考えよう。侵入経路とそこにたどり着くための対処法を」
「ああ、そうだな」
「分かった……」
「それじゃあ、私達は仕事があるから戻るわね。行こ、アイラ」
「うん、じゃあねリドル」
そう言ってミノルとアイラも仕事のため部屋を出て行ってしまう。
「こうなると僕達はお邪魔の様ですね。行きましょうかデビさん」
「えーしょうがないのう。ミノルにご飯を用意してもらうか」
続けてリドルとデビも出て行ってしまった。
そしていつの間にか三人だけになってしまった。
「それじゃあ、細かな所を確認しようか」
「城の内部は頭に入っている。ちょうど地図に起こしたんだ」
ハイトはすぐさま自作の地図を机に広げる。
「よし、先ずは侵入ルートだな。俺が思うに——————」
そして俺達は一日中、作戦の細かな所を指摘し合い侵入ルートを確立してい行った。
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ガイスの城、王の間
「どういうことだ!町中で噂になってるぞ!」
ガルアは眉間にしわを寄せながらガイスに問いただす。
「何のことだ。そう鼻息を荒げるな」
「知らないとは言わせないぞ。今町中である噂が立っている絶対かつが元殺人鬼で記憶を取り戻したことで大量の村人を殺していると」
「ああ、それなら近々指名手配を出そうと思っている。安心しろ、王として人々を守ろう」
「そう言う事を言ってるんじゃない!かつがそんな事をするわけないだろう!誰かが裏で糸を引いているとしか思えない」
「なるほど、たしかにその場合もあるな」
「だからそう言う事じゃっ!?」
その時ガルアの目の前で魔法陣が展開される。
それは警告を意味していた。
「さっきから聞いていれば妙に奴に加担しているな。相手は犯罪者だぞ、それとも俺を疑っているのか?」
「俺はただ……」
「お前はどちらの味方だガルア。自分の立場を考えろ、時期に妹も迎えに行く。その前にまた騒ぎを起こす気か?」
「……分かってる」
ガルアは納得いかないような表情をしながらもその場を離れることにした。
そして誰も居なくなった王の間でガイスはぽつりとつぶやいた。
「生意気な口調をするようになったが、ガルアお前は俺から離れられねえよ」




