その四十 最高のコンビネーション
「ふう、ようやく外に出られたな」
俺達は何とか破滅の洞窟を脱出することに成功した。
外に出てみると太陽が顔を出し始めていた。
どうやら1日以上この洞窟で過ごしていたみたいだな。
「先ずはミズトさんの体のケアをしましょう。ナズミさん連れて行ってあげてください」
「分かりました。それじゃあ、行ってきますね!テレポート!」
ナズミはすぐさまミズトと共にテレポートした。
そして俺達だけが残された。
「それでこの機械をどうするのじゃ?」
「そうですね。先ずはカルシナシティに行ってこの機械を置いて行きましょうか」
「何を置いて行くって?」
その時木々の奥から謎の2人組が現れた。
いや、こいつらは見たことがある確かある村で出会った。
「確かザックとニュートだったか」
「へえ、俺達のこと覚えてたんすか。それじゃあ、どうして俺達がここに居るのか分かるのか?」
「そうですね。こうしてタイミングよく現れたという事は偶然とは考えにくいです。そうなると僕達あるいはこの機械を狙って来たんですか」
「正解だ。よく分かってるじゃないか。それじゃあ歯向かえばどうなるかも分かっているのか?」
「お主らがボコボコにされるじゃろ?」
「不正解。おめえらが皆殺しされるんだよ!アイススピア!」
高速の氷柱がデビに向かって飛んでいく。
デビは機械を背負いながらギリギリの所で回避する。
「おいおい、今の攻撃明らかに機械を狙ってたよな。お前らこの機械が何なのか知ってるのか」
「知らないな。だが、不審な物を手にしていたら破壊しろとの命令を受けててな!サンダークラッシュ!」
「デビ!」
「危ないのう。雷をこっちに飛ばす出ない」
「やはり悪魔か。あんなどデカイ機械を背負ってもなお俊敏に動けるとは」
「デビ、その機械を持って先にカルシナシティに戻ってろ。こいつらは俺達でやる!」
「分かったのじゃ!」
そう言ってデビは翼をはためかせてカルシナシティへと飛び出す。
「行かせ悪訳ねえっしょ!」
「アグレッシブフルート!」
「うわっ!」
「それはこちらのセリフですよ」
「仕方ない。早々にお前らを殺してあいつを追うとするか」
そう言ってザック達は完全なる殺意をこちらに向けて魔法陣を展開し始める。
「お前らカノエの差し金だろ。村にモンスターを放ったのはお前らか?」
「何のことだ?それをしたのはお前らの方だろ。まったく信じられないな、小さな村を事理私欲の為だけにあそこまで残虐に壊すとは。同じ半獣としてぞっとするな」
「しらばっくれんじゃねえよ。最近俺の名前を名乗って同じようなことをしている連中が現れてるみたいだな。そいつらも二人組だって聞くぞ。それもお前らだろ。そんな事して何がしたいんだよ!」
「全く身に覚えなっすね。ていうか名前を名乗ってるんだからお前がそうなんだろ?責任転換とかマジで出せえぞ」
「お前……!」
しらばっくれる2人に対して俺は怒りが込み上げてくる。
確実にこいつらは悪側の半獣だが中々尻尾を出さない。
こいつらの目的は一体何なんだ。
「かつさん落ち着いてください。そこら辺の話は倒した後に聞き出せば済むことです」
「そうだな、リドルの言う通りだ。よし、やるぞ!」
「おいおい、ザック。あいつらまだ俺達に勝てると思ってるらしいぞ」
「だな、ニュート。俺達のコンビネーションは誰にも破れねえぞ!そこんとこよろしく!」
その瞬間、2つのは魔法陣が一斉に出現する。
「「バーニングコールドスクリーム!!」」
それは炎と氷の魔法が絡み合うようにしてそして決して混ざり合う事のない絶妙な威力同士で繰り出された、奇跡の一撃だった。
俺は咄嗟にワープでその場から回避し、リドルは風の魔法で自信を浮かして回避する。
その魔法が通り過ぎた後は炎と氷の道が出来ていた。
「どうだ、これが俺達の魔法だ!」
「確かにこれは素直に賞賛するに値しますね。普通なら相性の悪い魔法通しが一つの攻撃手段として昇華しているんて」
「お互いの威力がほぼ同じじゃないとこんな風にならないぞ。よっぽど練習をして来たんだろうな」
「そう言う事だ!俺達は血反吐も吐くほどの努力を重ねて強くなった!」
「今ではネッパニンスのランキングでは堂々の1位っす!これの意味が分かるっすか?俺達はもう既に元12魔導士を超えたって事っすよ!どうだ、怖いだろ!」
「それはどうかな。舐めない方が良いぜ。俺も実際に戦ったけどお前らには決定的な物が足りないな」
その言葉を聞いて二人組は眉を細めて不快感が表情に現れる。
「俺達に足りない物だと?」
「ああ、お前らには決定的に覚悟が足りない。死ぬ覚悟守る覚悟信じる覚悟、あいつらあやゆる覚悟を異常なまでに出来ている。大切な君主が殺されたらそいつがどんなに恐ろしい相手でも敵を討ちに行く。そう言う覚悟がお前らには足りないんだよ。強者について自分の身を守りせこい手で守りを追い詰めていく。意地汚い悪人のやり方だ。お前はどうしてそいつらの方に付くんだよ」
「言わせておけば、何にも分かってないなお前は。この島の王はガイス様でそしてその王に使える者たちがカノエ様たちだ。その者に使えるのは至極真っ当だろう!」
「そいつらはお前を都合のいい駒としか見てねえぞ。そしてお前に使えてる王はただの躯人形だ」
「今の言葉はカノエ様の冒涜っしょ。そしてカノエ様の冒涜はガイス様の冒涜、お前らは完全にカノエ様の敵になったんっすね!」
「鼻から味方になった覚えはない。この島の王はガイスじゃない、ガルアだ!」
「っ!本気で言ってるのか?もうガルア様は王じゃない、ガイス様のご子息だがガイス様が復活した今ガルア様はもう王ではないんだよ!」
「それを決めるのはお前じゃない」
「安心しろ。この島に居る奴ら全員がそう思ってる。くだらない反乱分子はこの場で殺してやるよおお!」
そう言って再び魔法陣を展開する。
「気付いてないのか?俺がどうしてこんなに長く話してたのか」
「何だと?」
「上」
「っ!」
俺は頭上を指差す。
それに反応して2人が上を向く、その瞬間僕は一気に2人の懐に入り両手を相手の体に触れされる。
「インパクト!」
「うぐっ!?」
「がはっ!?」
威力は落ちるが衝撃により2人は空中に吹き飛ばされる。
「リドル今だ!」
「分かってます!双風アグレッシブフルート!」
事前に空中に展開していた魔法陣から2つの風の刃が高速で2人の体を貫通させる。
「おまえ、らああ!」
「まだ終わりじゃねえぞ!ワープ!」
俺は瞬時に2人が吹き飛んだ場所まで移動する。
「わざわざ空中にきやがって殺してやるよ!」
おお、こわかなりブチぎれたみたいだな。
「お前ら二人のコンビネーションは分かった。それじゃあ、俺とリドルのコンビネーションを見せてやるよ」
「何言ってるっすか!俺たち以上のコンビネーションなんて存在しねえっしょ!」
「ファイヤーバインツ!」
リドルが炎の魔法を飛ばしてくる。
だがそれは2人を通り過ぎてこちらに飛んできた。
「ははっ外してるじゃねえか!」
「いや、計画通りだ!カウンター!」
「何!?があああ!」
「あちいいい!?」
2人はその攻撃をもろに受けて炎に包まれたまま地面にぶつかる。
「くそがあ!」
「舐めやがって」
「どうした、十二魔導士よりも強いんだろ?」
「僕達に勝てない以上、あなた方はもう最強ではありませんよ」




