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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十九章 失われた王と引き継がれし遺志
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その三十九 隠された研究室

「デビ、悪魔ってどういうことだよ。それにどうして俺達に何も言わずにこいつと戦ったんだよ」

「それは——————」

「かつ、そいつまだ生きてる」


ミズトの忠告通り死んだと思ってた目の前の悪魔と言われている生物の体が徐々に再生されていく。


「死んでないのかこいつ!?」

「再生の悪魔じゃ。血を媒介に体を再生させるのじゃ。じゃがすでに妾の魔法で血を吸っておるからもうじき死ぬぞ」

「おのれ……この俺がこんな所で死ぬなんて……お前も悪魔だろ、何故敵対する」

「この世界の妾はかつの仲間のデビじゃ。あ奴らに危害を加える物は誰であろうと許さん」

「くそ、あのドロドロの化け物が消えて後もう少しで久しぶりの食料にありつけると思ったのに……ここまで待ったのによ……」


すると悪魔は体の再生が間に合わずに力尽きたと思ったらその体がドロドロに溶けて消えてなくなった。


「あのこれってどういうことですか?」

「つまりデビさんの他にもこの島にやってきた悪魔が居たってことですね。しかもわざわざこんな所に来て閉じ込められていたみたいですし」

「そうみたいじゃな。妾自身はこんな奴知らんし、そこら辺に居る悪魔が興味本位で来てしまったんじゃろうな」

「悪魔ってそんな簡単にこっちに来れるもんなの?」

「まあここに来ること自体は簡単じゃ。こっちの世界に来るときゲートを作るから色々と後始末は大変じゃがな」

「そう言えば島王選でもそれで大変なことがありましたね」

「何じゃナズミ、あれは妾が起こしたわけじゃないからのう。そもそもはもう一人の悪魔のせいじゃ」

「とにかくこいつはモンスターが居るせいで外に出ることも出来ずにここでずっと過ごしてたってことか。でも何でここに来たんだ?」


俺がその疑問をデビに向かってぶつけるが当の本人は大きく首を傾げた。


「知らん。そもそも妾はお主らを襲おうとしたこ奴を成敗しただけじゃ」

「色々と疑問は残りますが無事に第七階層は達成したことで良いんですよね?」

「まあそう言う事にはなるよな」

「すまないのう。妾が強すぎるがゆえにしらけさせてしまって」

「いやそれは別にいいんだけどさ。この悪魔が居た理由が少し気になってな」


ここは何処かの実験室だとしたら悪魔も研究していた?

いや、それだと悪魔が一人だけってのはあれだよな。

この島にも今の所三体しか見てないし、そんなに多いってわけじゃないよな。

まあ普通に考えたら三体もかなり多いんだろうけど、実験と考えたらそれは少ない気がする。


「それも確かに気になりますけど今は次の階層に行くのが先決です。かなり深くまでおりましたけど終わりは何処なんでしょうか」

「ここで終わりみたいね」

「え?お姉さま何で分かるんですか?」

「あれよ」


するとその先にはただの壁しかなく階段が見当たらなかった。


「まっマジかよ。これで終わり?何か呆気ないな、ていうか結局何もなかったなここ」

「かつさんの言う通りですね。何かると僕自身も思いましたが、結局ここはモンスターが住み着いてしまっただけなんでしょうか」

「だが妾達はこの最奥に良い物があると聞いておるぞ。あれは嘘だったのか?」


たしかにその通りだ。

こんなにモンスターが居て意味深な場所にも関わらずに何もないのはおかしいよな。

モンスターに荒らされているが一応研究所なのか壁は傷が入っていても損傷はしていない。

壊れているのは機械らしき物だけだ。


「それにしても惜しいですね。このような技術があるのにそれを作れる人がこの島に居ないなんて。そうすれば島は飛躍的に成長しますよ」

「確かにそうだよな……技術か」


俺はある事を思いついて壁を叩いて行く。

すると鈍い音が聞こえてくるが壁を叩きながら歩いているとある場所だけが先程と変わった音が聞こえて来る。


「ここだ」

「かつ、何か見つけたの」

「ああ、この壁だけ他と音が違うんだ。多分何か仕掛けがあるんだと思う」

「秘密の扉ですか。何かワクワクしますね」

「かつさん一部分だけ欠けてる場所がありますよ」


そう言ってリドルはその欠けている部分に指を引っ掻ける。

すると一部の壁がめくれて何故の機械が姿を現す。

それは謎の記号が書かれたボタンが複数あるシンプルな物だった。

するとナズミが一つだけボタンを押したが何も反応しなかった。


「反応しませんね。壊れてるのかな?」

「だけどこれで決定だな。この壁はモンスターが脱走しない様に硬く作られてるわけじゃなくて、隠された扉を守るためでもあったんだ」

「そう言えば妾が魔法を放ってもびくともしなかったのう。まあかなり弱めには撃ったがな」

「とりあえずこの壁壊すか」

「え、さっきの説明だとこの壁を壊すのは無理なんじゃ……」

「生半可な攻撃はな。でも強力な一撃なら壊せるだろう。壊れちまってる以上それしかないだろ。皆下がって」


俺は皆に下がるように言って衝撃波が当たらないようにさせてから仕掛けがある壁に手を当てる。


「インパクト!」


俺は渾身の一撃を壁にぶつけた。

かなりの衝撃波が放たれたが壁がひしゃげただけでまだ完全に吹き飛ばせてはいなかった。


「もう一発!インパクト!」


そして次の攻撃で完全に飛び扉は破壊されてその扉は吹き飛び新たな道が現れた。

そこは階段になっておりさらに下層へと続いていた。


「まさか本当にある何てね」

「どうやらこの奥が本命の様ですね」

「もしかしてこの奥にやばいモンスターが居るんですかね?」

「それはないわ。だとしたらこんな秘密の部屋付けないでしょ」

「とりあえず行ってみよう」

「後ろは妾に任せるのじゃ」


俺は意を決して階段を降りていく。

そこはかなり暗いため炎の魔法で周りを照らしながら下階段を降りていく。

そして新たな部屋が見えてきたところで今まで見てきたどの階層よりもしっかりとした研究室がそこには合った。


「これはかなり保存状態のいい研究室ですね。一つも壊されていませんよ。ほこりもある所誰もここには来てないみたいですね」

「それはどうかしらね……」

「え、どういうことですかお姉さまっ!」


するとナズミとミズトが一つの方向に視線が釘付けになる。

俺達もその方向に視線を移すとそこには白骨化した人間が横たわっていた。


「マジかよ。まさかここでずっと過ごしてたのか?」

「よく見ると乾いた血の跡があるわね。傷を負ってここに逃げ込んだけど息絶えたって事かしら」

「見た感じ人間の骨ですね。半獣とは違う物だと思います。恐らくこの研究所の人間でしょうね」

「てことは本当にここで実験が行われてたってことか」

「とりあえず周りを見てみましょうか」


ミズトの言う通り俺達はこの部屋を一通り見て周った。

だが機械はほとんど無傷だが電源などは入らない為何をしていたのかは詳しくは分からなかった。

書物やメモ書きも残されていた理系的な文面と専門用語が多く、解読できる人がほとんどいなかった。

ていうかこの島の人達はほとんど義務教育を受けてない人ばかりなんじゃないか。

ていうか達筆だから分かりにくかったけどこれ英語じゃないか?


「なあリドルこの世界には英語があるのか?」

「英語?もしかしてこの文字の事を言ってるんですか?そう言えばそんな言葉聞いたことありましたね」


ありました?確証はないのか。

その時ナズミの声が聞こえて来る。


「ん、皆さんこっちに来てください!」


ナズミの呼び掛けで俺達はその場所に集まって行く。

するとそこには謎の機械が置かれていた。


「なにこれ」

「何かは分かりませんけど何かの機械です。壊れてなさそうですし、上手くすれば使えるかもしれません」


その機械はまあまあの大きさで持ち運ぶのは大変そうだった。

何かを発射する為の穴があり、何かをセットする入り口も付いていた。

ボタンもあったが押しても反応することはない。

その時何かが光っているのが見えた。


「何だこれ?」


その入り口に引っかかっていた物を手に取るとそれは色鮮やかな石のようだった。


「一見ただの石に見えるけど、これ魔力が宿ってるぞ」

「本当ですか?ちょっと貸してください」


リドルが興味深そうにその石を手に取ると注意深く観察を始める。


「確かに魔力を感じますね。魔石の欠片でしょうか」

「それがここに残ってたってことはこれ電力じゃなくて魔石で動くんじゃない」

「だとしたら使えるってことだよな。これ持って行くか?」

「それなら妾に任せるのじゃ。これくらい余裕で持って行けるのじゃ」

「確かにここまで来たんですし、何かしらの物は手に入れないといけませんね。他は持って行けるような物はありせんし、研究記録なような物も何が書いてあるのか理解するのは難しそうですしね」

「そうだな。とりあえずこれだけ持って帰るか。ミズトの傷もあるし」

「それじゃあ持つのじゃ」


デビはそう言ってその機械を持ち上げる。

こうして俺達の破滅の洞窟の冒険は終わりを迎えた。



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