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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十九章 失われた王と引き継がれし遺志
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その三十四 すべてを切る剣

「いよいよ5階層か。ここからは全くの未知の場所だぞ」

「そうですね。この階層からはフロアボスも居ると思いますし、警戒していきましょう」

「因みにフロアボスってどれくらい強いんですか?」

「俺達が出会った物だと強制的に眠らせるモンスターだったな」

「あやつは色々と厄介じゃったのう。夢の中だと思わずに戦ってしもうたからのう」

「確かに強制的に戦闘不能にさせるモンスターは厄介ですね」


そう言ってナズミが難しい顔をして考え始める。


「心配する必要はないわ。能力が出る前に切ればいいから」

「脳筋プレイだな。まっそうしてくれるとありがたいよ。そろそろ見えて来たぞ」


階段を降り切るといよいよ新たな階層が見えてきた。

中を見てみると怪しげな霧で包まれていた。

視界はさらに悪く、歩くことすら困難だった。


「こうなって来ると気配を頼りに進むしかないですね」

「そうだな。こういうのはミズトの方が得意なんじゃないか。今回は先頭を任せても良いか?」

「いいわよ。私から離れないようにして」

「分かりました。お姉さまのすそを握りますね。リドルさんは私の服のすそを握ってください」

「分かりました」

「なるほど数珠繋ぎってことか。これなら迷うことも無いな。でもミズトばかりに警戒させるのもあれだから俺達も何か合ったら積極的に言って行こう」


俺達は互いの服のすそを掴みながら進んでいく。

何かいるようで居ない、そんな不思議な気配が漂ってくる。

これはモンスターが居ても居所を掴むのは困難だな。


「来た来た……」

「っ!今の声は……おいミズト!モンスターの居所は分かるか」

「数が多いのか。それとも巧妙に隠してるのか。今の状況ではまだ掴めないわ」

「殺そう」

「食い殺そう」

「骨までしゃぶりつくしたいな」


至る所から不気味な声が聞こえてくる。

耳元でも聞こえて来るし、遠くからでも聞こえてくる声で居場所を当てるのも不可能か。


「お姉さまここ不気味です。早く脱出しませんか」

「そうね……」

「どうしました?何か気になることでもありますか?」


だがミズトはリドルの問いに答えることなくまっすぐ進んでいく。


「本当にそっちで合ってるのかな」

「引き返した方が良いんじゃない」

「諦めなよ、どうせ死ぬんだから立ち止まりなよ」

「鬱陶しいのう。ここの霧事すべて吹き飛ばしてやりたいのじゃ」

「デビ、こんな室内でバカ火力の魔法を放ったら俺達まで巻き込まれるわ」

「静かに。何か聞こえるわ」

「むふっ!お姉さまいきなり立ち止まってどうしたんですか?」


ミズトは何故か立ち止まると何かを感じとろうとしているのか周りをきょろきょろと見渡す。


「まさかこれって……ナズミ、私が合図したら」

「分かりましたお姉さま」

「行くわよ!」


そう言うといきなり走り出してしまった。


「えっ!ちょっミズトさんナズミさん!いきなり走らないで下さい!離れてしまいました、戻ってきてください!」

「どうしたリドル!」

「二人と離れてしまいました」

「何しているのじゃリドル。なぜしっかり掴まっておかなかったんじゃ!」

「掴まってましたよ。ただ合図も無しにいきなり走り出してしまったので」

「とにかくこれ以上バラバラになるのはまずい。俺達だけでも離れない様にしよう」


未だに視覚もままならないし、今自分がどこに居るのかも分からない。

そこまで広くはないだろうし、進み続ければいつかは着くと思うがこれ以上動き回るのはまずい。


「そうじゃな。あまり離れない様に……ぐっ!」


その瞬間、何故かデビが苦しみだして血を吐き出す。


「デビどうしたんだ!うっ!」

「かつさん!?2人共どうしたんですか?何が合ったんですか」

「何か吐き気がして苦しい」

「妾もじゃ。なぜだか急に気分が悪くなったのじゃ……」

「もしかしてこれは毒霧!?だとしたらまずいですね」


リドルはすぐさま口と鼻を抑える。

まずいな、甘かったこれがただの霧なわけがなかった。

毒だとしたら吸い過ぎた、このままじゃ全員死ぬ。


「さよなら、安心して残さず食べてあげる」

「残さないよ絶対に」

「だから安心して死にな」

「うざったいのう。どうせ死ぬなら吹き飛ばしてやるのじゃ!」

「やめろデビ!そんなことしたら俺達生き埋めになるぞ」

「じゃあどうするのじゃ!」


何か、何か方法はないのか。

この状況をどうにかしようと思考を巡らしていると、何処からか声が聞こえてきた。


「風神旋風!」

「おわっ!何だ!?」


その瞬間、突然の風圧に思わず体が吹き飛ばされそうになるのを必死で耐える。

すると周りの霧が一気に晴れて目の前にはミズトとナズミの姿が見えた。


「二人ともよかった無事だったのか!」

「皆さんも無事でよかったです!」

「おい、あれを見るのじゃ!」


デビが指を指した方向にはあたりに漂っていた霧が1か所に集まっていた。

そしてその霧が段々と形を成してくる。


「よくも俺を吹き飛ばしてくれたな!後もう少しで殺せたのによ!」

「まさか霧自体がモンスターだったなんて、どおりで声の出所が掴めないわけだ」

「気付いたところでもう遅いぞ!俺の毒は魔力が高ければ高い程体を蝕んでいくんだよ!腕に自信があるみたいだが。その前にやってやるよ!」


その瞬間、自らの体を一気に広げて俺達を包み込もうとしてくる。


「ナズミ!」

「はいお姉さま!霞の中の私!」


その瞬間部屋を包み込むようにして霧が辺りを包んだ。


「何しやがったあの魔法使い。俺がただ何もしないで殺すと思ったか!」


ミズトの周りに一層濃い霧が纏わりついて行く。

まず最初にミズトを殺る気か!


「ミズト逃げろ!」

「その必要はないわ」


その瞬間、ミズトが霞の様に消えて行った。


「な、何だ!?」


そうか、ナズミのオリジナル魔法で攪乱させたのか。


「なにも霧の中でさまようのは私達だけじゃないわよ」

「くそがあああああ!」

「大竜巻斬!」

「がああああ!?な、何で俺が切れるんだ」


そのままそのモンスターはゆっくりと消えて行った。


「当然でしょ。私の剣に切れない物なんてないもの」



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