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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第四章 地獄の一週間
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その二 尋問

足を揺する音、ペンの走る音、机を叩く音黙っていると色々な音が聞こえる。

この場所はもう何度も来ている。

いや普通は何度も来てはいけないのだが、今の現状からしてしょうがない事だ。


「いい加減にしろ!そろそろ話したらどうだ!」

「さっきから言ってますけど俺は黒の魔法使いとは繋がってませんよ」

「ならどうしてあのモンスターを消した!」

「それは事故って言ってるでしょ」


このやり取りはもう何度目だってくらいしてる。

ここに来て1週間近くまったく進展せず無駄なやり取りしかしていない。


「あのこれって意味あるんですか。あそこでメモとってるみたいですけどこれじゃあコピーしても分からないくらい同じやりとりしかしてませんよ」

「そんなことはないだろ。俺は凄腕の尋問人だぞ!俺以外にこんなに尋問出来る人はいない!もはや取調室は俺の家と言っても過言ではない!」


だとしたらここのレベルが低過ぎだろ。


「おいナット、今までメモした内容を話してみろ」

「分かりました。いい加減にしろ!そろそろ話したらどうだ!俺は黒の魔法使いとは繋がってませんよ!ならどうしてモンスターを消した!それは事故なんですよ!しょうがない今日の所はここまでにしてやる。2日目いい加減にしろ!そろそろ話したらどうだ!だから俺は黒の魔法使いとは繋がってませんよ!ならどうしてモンスターを消した!それは事故だって言ってるでしょ!しょうがない今日の所はここまでにしてやる3日目いい加減しろ!そろそろ話したらどうだ!前から気になってたんですけど何でずっといい加減しろって言ってから始めるんですか?ならどうしてモンスターを消した!いや俺の質問は。しょうがない今日の所はここまでにしてやる。………………駄目だな。4日目いいかげ――――――」

「いい加減にしろ!もういい!」


自分が同じ事しか言わないのを理解したのか、途中で読ませるのをやめさせた。


「……………」

「……………」


お互い顔を見合わせて沈黙していたが、この沈黙を終わらせるように俺はとどめを刺した。


「ほらね」

「今日の所はここまでにしてやる!」


こうして今日も無駄な尋問が終わった。


「ほら早く入れ」


今日も無駄な1日を過ごした気がする。


「はぁ、今日で5日目か。何やってんだ俺」

 

あの日以来ミノルとも会えていないし、外がどうなっているかも分からない。

最後に声を聞いたのは連行された時だ。


「元気かなミノル。俺は辛いよ」


俺はポケットから借金返済の紙を取り出した。


「減ってないな。あいつクエストしてないのか」


もしかして俺をここから出す計画でも考えてんのか。

もしそうなら嬉しいけど、今はそんなことしてる場合じゃないだろ。


「このままじゃ、借金が返せなくなる。早くここから出ないと」


でも出られる方法なんて見つからないよな。


「いっその事インパクト使って脱出するか」

「インパクトって何?」

「俺の魔法だよ。かなり強い威力だからここから脱出できるかなと思って」

「脱出するの?」

「脱出しようとは思うけど中々難しいかなって―――――――うわぁぁぁぁぁぁぁ!!お、お前誰だ!」


そいつは鉄格子越しにいた。

髪はピンクで胸も大きいさらにかなりキレイな顔をしている。

背は今は座っている状態で分からないが俺と同じくらいか。

そして半獣特性の耳としっぽもついている。

この異世界はほんとに美人が多いな。


「私?ふっふっふっ、聞かれたのなら名乗ろう私はメイなのだ!そっちは」

「お、俺か?俺は絶対かつ」


やば、また反射で答えちゃった。

ていうかやばいよな。

もしかして脱出するとか聞こえてたか。


「あの〜メイちゃんいやメイさんもしかしてさっきの話―――」

「脱出のことかな?」


聞いてたーー!


「あの〜メイさんいやメイ様この事はどうかご内密にして頂くことは――」

「いいよー」

「マジで!ありがとう恩に切るよ」


あぶねー、もしバレたら脱出どころじゃなかったな。


「そのかわり私の願い聞いてくれる?」

「願い?もちろん!何でも言ってくれよ。あっグロい系は無しで頼む」

「え?グロい系無しなの!?」

「え!?グロい系にしようと思ってたのか!?」

「冗談、冗談だよー。そんなわけないっシンクの裏はいつも濡れ濡れ〜。あるあるだよねー」


あっこれ苦手なタイプだ。

人の話を聞かない系の人は、昔のトラウマとかもあってあまり得意では無い。

早い所終わらせよう。


「はっはっはっー(棒)面白い冗談だな。ところで願いは何だ」

「何かかつっち棒読みだぞー。ちゃんと空気読まなきゃ女の子にモテない、ぞ!」


ムカ!


「それは分かったから、早く願い事を、ていうかかつっちていう呼び方やめろ」

「何でーいいじゃんかつっち。何か可愛い気がする」

「じゃあもうそれでいいから、早く願い事を」

「あっでもかつっちて言うのは適当に付けたわけじゃないよ。ちゃんと意味があって――――」

「いいから早く願い事を言え!」


あ、やべつい怒ってしまった。

まずい!ここで泣いてしまったら完全に俺が悪者に。


「…………カルシウム」

「へ?」

「カルシウムアタック!」

「うごっ!?」


いきなり口に瓶を詰めてきた。

俺はいきなり入れられたせいで上手く飲めず口の中で軽くむせた。


「ゲホッゲホッ、はーー死ぬかと思った」

「元気出た?」

「アホか!元気出るわけ無いだろ!」

「おっかしいな、ウシから出た濃厚な白い液体を飲ませれば元気出るって聞いたのに」

「おい、言い方が悪いぞ。普通に牛乳って言えよ」

「おい!叫び声が聞こえたがどうした!」

「やべ!監視員が降りてきた。流石に大声出しすぎたか」


まあここに監視員が来ないこと自体おかしいくらい声出してたしな。


「んーもう終わりかぁ。それじゃあねかつっち」

「ちょ!おいお前の願い事って何だよ」

「そうだったそうだった忘れてた」

「忘れるなよ」

「願い事は1つ!私と遊ぶこと!以上!」


そう言ってニターっと笑顔で俺に指を指してきた。


「それじゃあねー。明日も来るよー」


そう言って帰って行った。


「明日も来るのかよ」


もしかしたら尋問よりも辛いかもっと心の底で思った。



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