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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十九章 失われた王と引き継がれし遺志
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その二十九 ゲス野郎

「お、落ちてるー!」

「大丈夫ですよ、アイラ!僕が下敷きになりますから!」

「これって流石にやばいんじゃないの!?」

「妾は余裕じゃぞ。真正面から受けてやるのじゃ」

「お前は余裕でも俺達がやばいんだよ!ていうか人間のミノル達なんて百パー死ぬって!」


落ちてから約十秒経ってようやく地面が見えてきた。

それを見た瞬間、何か違和感を感じた。

あれってたしか……


「デビちゃん!私達を掴んで飛べないの!」

「待ってください。僕の魔法で皆さんを浮かべます」

「いや、その必要はないみたいだぞ!そのまま何もせずに行こう!」

「え?うそ、本気で言ってるの!」

「どっちにしろもう無理です!かつさんを信じましょう!」


俺達の体が地面に衝突した時、その体は痛むことなく地面が弾み体が宙を浮く。


「ふえ?な、なにこれ?」

「地面が固くない、すごく柔らかい……」


俺達は何度か体を弾ませると勢いを無くしたことで弾まなくなり無事地面に付くことが出来た。

やっぱりそう言う事だったんだな。


「かつ、これってどういうこと!」

「そうだな、トランポリンて言えば分かるか?」

「トランポリン、何ですかそれは」

「今起きたみたいにここでジャンプしたりぶつかったりすると反動で弾むんだよ。だから当たっても痛くないってこと」

「へえ、面白いわ。子供たちが喜びそうね」

「確かにアイラの言う通りじゃのう。これは何とも不思議な感覚じゃ」


そう言ってデビは興味津々に地面をへこませたりしていた。

風間が作った物だろうな、あいつは何かと落ちる通路を作るから。


「ようやく来たみたいだね」


その時知っている声が聞こえてきた。

その声の方を向くとそこには懐かしの人物がいた。


「マイト!久しぶり元気にしてたか!」

「よっひさしぶりかつ。相変わらず騒がしそうだね」


俺は弾む地面に足を取られながらもマイトの元へと向かう。


「マイトの方こそ色々と大変だったろ。でも無事そうでよかったよ」


俺はマイトの手を握って久しぶりの再会を喜び合った。

すると麻衣とが俺の後ろにいる人達を気にする。


「あれが、かつの仲間かい?」

「ああ、紹介するよ。ミノルにデビにアイラとリドルだ」

「よろしくね」

「宜しくなのじゃ!」


アイラは人見知りなのか警戒しているのかお辞儀だけをする。

するとリドルもマイトの元に近づく。


「初めまして直接お会いするのはこれが初めてですね。僕が手紙を送っていたリドルです」

「君がネッパニンスで情報を送ってくれたリドル君か。おかげでネッパニンスの状況を理解することが出来たよ、ありがとう」


そう言って感謝の意を込めてリドルとマイトは固い握手を交わす。


「ついて来てくれ、城の中を案内しよう」

「他の人達はもういるのか?」

「今はそれぞれの町の監視をしている。だが集合はかけてあるから直に集まると思う。それまではゆっくり情報交換でもしてよう」


そう言ってマイトは城へと続く階段を上って行く。

その階段を登りきると扉がありそれを開くと城の中へと入れた。

廊下へと続き会議室と書かれた扉を開けると、そこには長い机と沢山の椅子があった。


「ここで休んでてくれ。他にも呼びたい人が居るんだ」

「分かった」


そう言ってマイトは会議室を出て行った。

そして会議室には俺達だけが残っていた。


「静かね。他の人は居ないのかしら」

「王が居ないことで他の人達も居なくなってしまったのでしょうか。まあ今の状況を見るに機能してるとは思えませんが」

「あのマイトって人、目が怖かった」


今まで縮こまっていたアイラが突然そんな事を呟いた。


「マイトがか?そんな風には見えなかったけどな」

「まあ、状況が状況だしね。かつは共闘したことがあるから信頼されてると思うけど、私達は初対面だし疑ってるのかもしれないわ」

「そう言う事か、だったら次マイトが来た時にちゃんと説明しないとな。こいつらは信用しても大丈夫だって」

「言葉でどうにかなると思うかのう。特に妾は地獄の王でこの島で暴れてしまったのじゃ」

「それも分かってくれるよ」


少しの不安を持ちながら俺達はマイトの帰りを待った。

だがそれは思っていたよりも早く訪れた。

扉が開かれるとそこに居たのは予想外の2人だった。


「っ!ハイト、ツキノ!お前らもここに居たのか!」

「やっぱり来たのか。待ってたぞかつ」

「待ってた……」


目の前には何故かあの時別れたツキノとハイトの姿があった。

そして後ろからマイトが現れる。

呼んでくると言ってたのはこいつらだったのか。


「どうしてカルシナシティに居たんだよ。お前らも呼ばれたのか」

「元々元十二魔導士がカルシナシティに集まっていたことは知ってたんだ。俺達はもうガルア様の城には戻れなかったからな。情報と自分の身を守れるようにここに来たってわけだ」

「ツキノは元々この城の護衛だから良いとしてマイト君が来るとは予想外だったから、かなり疑ったけどね。だけどもう身の潔白も証明してくれたし、ガイスの城の内部事情も知れた。信頼していいよ」

「元々信頼してたから気にしてないよ。2人が無事でよかったよ。あと、マイトこいつらの事も信じてくれないか。必ずみんなの力になるよ」

「かつが言うならもちろんだよ。それにここで暴れても制圧できる力はあるつもりだから」


今の言い方は半々だな。

まあそう簡単には信用してもらえないか、でもいいさこれから信じてもらえれば。

その時一瞬だけマイトがデビの方に視線を向ける。

もしかしてデビを怪しんでるのか。

一応伝えた方が良いよな。


「なあ、マイト――――――」

「おい、マイト帰ったぞー!」


俺の言葉を遮ってバカでかい声が場内に響き渡った。

その声の大きさとテンションの高さもしかして……

俺が思考を巡らしていると次々と部屋の中に入って来た。


「ここに居たのか。実は報告があってだな……もう来ていたのか」


サザミは俺達を視認すると少し警戒心を見せてきた。

相変わらず人に心を許さないよな。


「久しぶりだなサザミ。皆も元気そうでよかったよ」

「がはははっ相変わらずお前もしぶといな!」

「そうだね、あんたらも色々と大変そうだったみたいじゃないかい。まあ、元気そうで何よりだよ」

「ちょっと待ちなさいよ!何も良くないでしょ、あいつらの事——————うぐっ!ふぁふすんのよ!」

「駄目だよピンカ。勝手に話しちゃ」

「ははっあんだけ生意気言ってた癖に今じゃイナミに上手くやられてるな!」

「静かにして、今は無駄口をしている暇はないのよ」

「そうですよ!お姉さまの言う事を聞いてください!」


相変わらずのまとまりのなさだな。

だけどこいつらは想像以上に頼もしい奴らなんだよな。

皆で戦えばガイスを倒すのも夢じゃないかもしれない。

するとサザミが一歩前に出て咳払いをする。


「それじゃあまずはそれから始めようか」

「え?何を始めるんだ――――――」


その瞬間俺達に向かって無数の魔法陣が向けられる。

それに驚いてしまい体が固まってしまった。


「死にたくなければ慎重に俺の質問に答えろ」

「あ、あの私達は別に……」


その時魔法陣がより一層光輝く。


「黙れ、俺が質問をしているんだ。ここから先は黙って質問に答えろ。二度は言わないぞ」


こいつら本気だ、反抗はしない方が良いな。


「ここ最近妙な騒ぎが起きてな。村が次々と襲われているんだ。無残に殺され焼かれ、それはもう非道な殺し方だ。許せないだろう、そんな事をする奴らは腐ったゲス野郎だ」


一体何の話をしているんだ。


「俺達は被害にあった村に向かって聞き残っている人達に話を聞いた。すると全員がこう答えた。絶対かつが襲ってきたと」

「っ!?」

「心して応えろよ。絶対かつ、お前は敵か味方どっちだ?」



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