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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第十九章 失われた王と引き継がれし遺志
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その二十三 恋の悪魔

かつ達がネッパニンスを出てから数時間後の出来事


「カノエ様!例の奴らを捕らえてやりましたよ。これで俺達も報酬がもらえるんですよね!」


かつ達を捕まえたと思い込んでる魔法使いたちは嬉々として縄に繋がれている物をカノエに見せた。

それを見てカノエは眉間にしわを寄せて縄に繋がれている物を指差した。


「それがお前らの言う絶対かつか!」

「え?あれ!?どうして皿とコップがいつの間に!?」


魔法使いは目が覚めたおかげで目の前の者をコップだと認識した。

だがその結果ただの食器をカノエに届けたことになる。

魔法使いは慌て頭を下げる。


「も、申し訳ございません!早急にあいつらを捕まえてきますので!」

「ガハハハハハハ!」


突然カノエが大きな笑い声をあげる。

それはいつものカノエの笑い声であった。

それを聞いた魔法使いは呆気に取られていた。

そしてひとしきり笑うとカノエの瞳には黒く冷たい物が宿っていた。

そしてそれを向けられた魔法使いは思わず身をすくめる。


「俺がお前らカスをこれ以上使うと思うか?」

「そ、それはどういう」

「まあそうだな、分かりやすく言おうか。お前らはもういらねえ」

「え——————」


その瞬間、魔法陣が魔法使いたちの足元に現れ、叫ぶ余裕もなく一瞬にして消し炭になった。


「はあ、やっぱり駄目だな。金に目がくらむような奴らを使うのは。こういうのは優秀な奴に任せるに限るぜ。と言う事でザック、ニュート任せたぜ」

「任せてくださいカノエ様、俺達の最強コンビでやってやりますよ!」

「もちろん報酬はもらえますよね」

「ああ、もちろんだ。お前らが望むものを何でもやるぞ。その代わり失敗は許されねえぞ」


その言葉を聞いてザックとニュートは余裕の笑みを見せる。


「冗談きついっすよ。俺達はこの島で一番の魔法使いですよ。負けるわけないっしょ!」

「そうだ、ザックと俺のコンビなら一瞬で片が付きます」

「おいおい、今回呼んだのは戦わせるためじゃないぞ。まあもちろんそれでも構わないが、計画的に行くぞ。作戦はこうだ——————」


カノエは二人に自分の作戦を説明する。

ひとしきり説明し終わると二人はニヤリと不気味な笑みを見せた。

それに触発されてカノエも笑みを浮かべる。


「なるほど、分かりました。俺達に任せてください」

「必ずカノエ様の期待に応えて見せるっす!あいつらを追い詰めてやりますよ!」

「ああ、任せたぞ。それじゃあ、さっさと行けもちろん必要な物ならすべて用意する。その代わり失敗は許さねえぞ」

「「はっ!!」」


そう言って2人は城を飛び出しかつ達を追いかけて行った。


————————————

「うーん、苦しい……はっ!」


寝苦しさに思わず目を覚ます。

するとその原因がはっきりとした。


「むにゃむにゃ、これ以上眠れないのじゃ……」

「おいデビ退け……重たいんだよ……」


デビが俺の上に布団のようにして仰向けになっている。

俺はデビを退かそうと体をもぞもぞとさせていると、良くなりうつ伏せになって来た。


「ちょっまっ!?」

「うーん、もっとくれー」


まずい、うつぶせになったことで柔らかい物が体に当たっている。

こいつももう大人になったんだし、昔みたいにべたべたされると困るんだけど。

ていうか、デビは仲間だぞ俺は何を考えているんだ。

体つきが色々と変わっただけだデビの性格を思い出してみろ。

無心だ、無心になれー!


「うーん、かつ大好きなのじゃ……」

「っ!?お前……実は起きてんだろ」

「あ、バレたのじゃ」

「どけい!重いんだよ!!」


俺はデビを強引に体の上から落としたそれによりデビの体はテント内を転がる。


「ひどいのじゃ。せっかく起こしに来たというのに」

「起こしに来ただと?」


俺はすぐに周りを見渡した。

するともう既にテントの中には俺とデビしかおらず、他の人の姿がなかった。

空ももう既に日が上っており、朝になっているのが分かる。

そうか、もう起きる時間か。


「お主が中々起きんかったからのうちょっとイタズラしたのじゃ」

「それにしてもお主、妾には興味ないふりしておいて心臓をバクバクしておったのう。体が密着しておったから容易に分かったぞ」

「な、何言ってんだよ!お前みたいな奴に俺がドキドキするわけないだろ!俺はロリコンじゃないんだよ!」

「はあ!?妾は子供ではないわ!ほらこの体を見るのじゃ!これを見てもまだそんな事を言えるのか」

「そんな偽乳なんかに興奮するわけないだろ!」

「偽乳じゃと!これは正真正銘の生乳じゃ!そんなこと言うのなら触って確かめてみろ!」

「っ!さ、触る?」


その言葉を聞いて思わず言葉を詰まらせる。

それを見てデビがニヤリと勝ち誇った笑みを見せた。


「はーはっは!何を恥ずかしがっているのじゃ!所詮お主もお子様じゃのう」

「ば、馬鹿に済んじゃねえよ!胸の一つや二つ、触ってやるぜ!」

「ならば触ってみるのじゃ!臆せず出来るのならのう」


そう言ってデビが胸を強調する。


「おう、やってやるよ!」


そうだ、これは決して下心はない。

あいつが挑発してきたんだ、それに乗るのが男ってもんだ。

俺は胸を張るデビに向かってゆっくりと腕を伸ばしていきそして——————


「何をやるのかな?絶対かつ~」


その声を聞いた瞬間せずじがぞわっとする感覚に襲われる。

そして俺はゆっくりと体をその声がする方に向ける。


「一体何をしてたのかなあ」

「お、おはようミノル!」

「このクズ変態がー!」

「ぎゃああああああ!!」


俺はその瞬間、見事な足蹴りを喰らいテントから飛び出して地面を転がった。


「ありゃりゃ」

「ふん、知らない!」

「し、死ぬ……」

「大丈夫かつ?」

「アイラは気にしなくて大丈夫ですよ。こういう時は大体自業自得なので。それよりも早く朝食の準備をしましょう」


そしてリドルたちは負傷した俺を無視して朝ご飯を作り始める。

そして朝食が出来上がると俺は痛む頬を気にしながら皿を受け取る。


「いててて、普通ここまでやるか」

「何が起きたかは知りませんがかつさんが調子に乗りすぎたってのは分かります」

「私はまだ許してないから」

「かつ本当に何しちゃったの?早めに謝った方が良いと思うよ」


何をしたかを言えばアイラにもぶん殴られそうだから、言わないでおこう。


「ていうか、デビちゃんもデビちゃんよ。どうしてかつにあんな事させようとしたの?」

「何ってあやつを妾の虜にするためじゃよ」

「っ!そ、そう言うのは仲間通しでやる物じゃないでしょ」

「妾は関係ないのじゃ」


そう言って朝食の肉を頬張る。


「関係なくないわよ!そう言うのがあると仲間の内でほらぎくしゃくしちゃうでしょ」

「そんなことないじゃろ。げんにリドルはラブラブアピールをしておるが仲間内でギスギスしたりはしてないじゃろ」

「すみません幸せで」

「ちょっとリドル今そう言うのやめてよ」


何かこの光景もアピールに思えてきた。


「それはそうだけど、でも私達はずっとパーティーをやって来たんだし、そう言うの責めてバレない様にした方が」

「お主は何を言っておるのじゃ?」

「え?」

「隠れてこそこそ付き合うことが一番なのか?妾はそうは思わんな、妾だったら堂々と見せるぞそれが信頼という物じゃろ」

「っ!た、たしかにそうだけど、そもそもデビちゃんはかつを諦めたんじゃないの?」

「そんなこと言ってないのじゃ。妾は想いは永遠に不滅じゃ。それに妾が告白して困ることなどないじゃろ?」

「あるわよ!」


そう言ってミノルは立ち上がるとデビの前まで歩いて睨みつける。

するとデビはゆっくりと立ち上がり同様にミノルの前に立つ。

だがデビはミノルとは対照的に余裕な笑みを見せていた。


「何が困るのじゃ?妾が想いを伝えるのは妾の自由じゃろ。まああやつが誰かと付き合っているのなら話は別じゃがな」

「そ、それは……」

「何じゃ?言いたい事があるならはっきりするのじゃ」

「私とかつはね!り……」


まさかミノル今ここでいうのか!


「りょ、りょう」

「お主とかつは何なのじゃ?」

「デビちゃんのばかー!!」


そう言ってミノルは走り出してしまった。


「ミノル!?ちょっと待てよ!」


俺はすぐに走って行くミノルの後を追いかける。


「ふん、はっきりせん奴じゃのう」

「デビさん、少し強引すぎじゃありませんか」

「知らんのう、いつまでもこそこそとしておるあやつらが悪い」

「ねえ、追いかけなくていいの?ここら辺モンスターが居るんでしょ?」

「かつさんが追いかけているので大丈夫ですよ。それより僕達は出発の準備をしましょう」



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