その二十一 モンスターパーティー
「なな、何だこのモンスターは!」
「スナヘビですね。基本的には砂の中で埋まっていますが獲物が居ると分かると、地中を掘って自らの口に入るように引き込みます」
「つまりあやつはこのままじゃと食われるという事じゃな」
「冷静に分析してんじゃねえよ!こんな所で食われてたまるかワープ!」
「ウギャギャギャ!!」
俺がワープすると同時に地中に居るモンスターが姿を現して、その瞬間砂が空中に勢いよく舞う。
あっまずい、俺のワープ先に砂が一気に飛んで——————
「うわっぷ!?」
一気に砂が俺の全身を襲ってくる。
視界が遮られたせいで今どうなってるのかが分からない。
「かつさん、そっちに行きましたよ!」
「ぺっぺっ!そっちって何が——————」
「ウギョギョ!!」
「て、こっちってことね!」
何とか砂を払いのけた瞬間、大きな口を開けたヘビみたいなモンスターがこっちに向かって来た。
「食われてたまるか!インパクト!」
「っ!」
「なっ!?避けた!」
そのモンスターは巨大なくせに素早い立ち回りで俺の攻撃を避けると一気に周りを取り囲んできた。
まさか俺を締め付ける気か!
「ワープ!」
俺がワープした瞬間そのモンスターは俺を締め付けようとしてきた。
どうやら本当にそうするつもりだったらしい。
「くそ、最悪だ!口の中にも目にも砂が入った!ウオーター!」
俺は水の魔法で口の中の砂を取っているとデビが拳を鳴らしながら目の前のモンスターと対峙する。
「まあ妾に任せとけ一発で仕留めてやるのじゃ」
「デビさんは下がってください。デビさんの魔法は強力ですしいざと言う時に取っておいてください」
「何を言っておるのじゃ。いざと言う時は妾は何の役にも立てんぞ。こういう時にこそ妾の力を発揮できるのじゃ」
その瞬間、目の前のモンスターの真下に魔法陣が展開される。
「デビルブロッドソード!」
その瞬間漆黒の鎖がモンスターの体を縛り付ける。
そしてモンスターが動けなくなると空中の魔法陣から巨大な剣が現れてそのモンスターを串刺しにする。
「ウギャアアア!!」
その剣は生き物のように脈を打っていて真っ黒の剣が次第に赤く染まっていく。
そして暴れまわっていたモンスターも次第に元気をなくしていく最終的にはそのままピクリとも動かなくなった。
「えっと……これはどういうことだ?」
「この魔法は相手の体内の血液を全て吸い取る魔法じゃ」
「血抜きにはもってこいの魔法ですね」
「いやそう言う問題じゃないだろ!まあ、もういいや。とにかくこれって食えるのか?」
「はい、しっかりと焼けばちゃんと食べられますよ。まあここまで大きい物を食材として使うのは中々ありませんが、とりあえず食べられる分もっと行きましょうか」
「それじゃあ全部じゃの」
「だというと思ったよ。でもこれ全部持って行くのは相当大変だぞ」
俺は倒れてるモンスターを見上げる。
このくらいの大きさなら小さな村なら何ヶ月分の食料になるだろうな。
「妾のご飯は妾で運ぶのじゃ」
そう言うとデビはそのモンスターの下へと潜り込む。
そしてデビが持ち上げたのかゆっくりとモンスターが地面から離れて行く。
「マジかよ……」
「やはりデビさん一人が居ればすべての問題が上手く行きそうですね」
たしかにデビの力なら今まで悩んでたことも全て解決しそうだな。
「前が見えんのじゃ。道案内をしてくれ」
「分かりました僕が道案内しますよ」
すごい異様な光景だな、巨大なヘビのモンスターを運んでいる人の案内をしている人、客観的に見るとすごいな。
俺はそんな光景に驚きつつミノルたちが準備している場所まで戻って行った。
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「おーいミノルー!取って来たぞ!」
俺はミノルが居る場所で手を振る。
その声に反応したのかミノルもこちらに手を振る。
だが次の瞬間その手は止まって、アイラの叫び声が聞こえてきた。
「な、何その化け物!そんなもの食べられないわよ!ねえ、リドルもっとマシなのもっとこれなかったの」
「好き嫌いは駄目だよ。こんな状況だし、食べ物があることを感謝しないと」
「そう言う問題じゃないと思うんだけど」
「諦めなさい、アイラ。それにデビがどうこうした時点で普通のが来るとは思ってなかったし」
「まあほとんどこいつが食べるみたいなもんだろ。ちなみにリドル、これは料理できるのか?」
「調味料はある程度持ってきてるので心配はいりませんよ。たださすがに大きいので色々と手伝ってもらいますよ」
リドルは一通りモンスターの体を確認すると皆を見てそんな事を言って来た。
その言葉を聞いて皆はやる気に満ちた声で応える。
モンスターの体を切ったり焼いたり、味付けしたりと料理を進めていく中で皿や飲み物の用意などして食卓をみんなで準備していく。
そしてしばらくそれらの準備を終えると俺達はご飯を食べる為に近くにあった石を椅子にしてそれぞれ座る。
「それじゃあ食べるか!せーの!」
「「「「「いただきます!!!!!」」」」」
俺達は早速そのモンスターで作った料理にかぶりつく。
その瞬間、口の中に一気にうまみが広がった。
「うまー!やっぱりリドルの料理は上手いな!」
「そうね。久しぶりにリドルの料理は格別ね」
「……」
するとアイラは何故か口にせずにじっとお肉を見つめている。
「何じゃお主食べないのか?」
「アイラ、とっても美味しいですよ。ちゃんと毒抜きもしてますから、安全性もばっちりです」
「食べないなら妾が食べるぞ」
「デビちゃん、人の物を取っちゃ駄目よ」
「ふん、分かっておるわ。ミノルもそろそろ妾を子ども扱いする出ない」
デビはそんな文句を言いながら肉を次々と食べ進めていく。
もうすでにモンスターは綺麗に骨だけになってしまっている。
そしてアイラは意を決してお肉を食った。
すると次第に肉にかぶりつくようになり目を輝かせ始める。
「お、おいしい……はむはむっおいしい!」
その様子を見て俺とミノルは微笑みあった。
「それじゃあ今日は食べまくろうぜ!」
こうして俺達は満天の星空の元で美味しいご飯を食べつくした。




