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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第一章 ようこそにゃんこ島へ
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その四 運命の選択

「うお〜これがにゃんこ島か」


周りを見れば飲食店や道具屋やそれに何か見た事無い物を売っている店などが、たくさんあるな。

それにしても……


「本当に半獣しか居ないな」


見渡せば至るところに半獣はいる、が人間の姿は今の所見ていない。

先程ミノルに人間の数は少ないと言われていたがここまで居ないとは思っていなかった。


「決まってるじゃない。この島にしか居ないんだから、逆に少なかったら困るわよ」

「そりゃそうだけど……なあミノル、この建物は何だ?」


その黒い建物は他の建物とは少し違う素材で出来ていてまるで別の場所から持ってきたような違和感があった。


「あ〜その建物は近づかない方がいいわよ。死ぬから」

「えっ?死ぬのか」


突然の死ぬという言葉にますますこの建物の不気味さが際立つ。


「この建物は人間が作ったの。建物の中は人間しか入ってなくて、この中ではこの島では禁止されている剣とか銃を製造しているって噂よ」


その言い方まるで人間が差別を受けているみたいだ。


「何で人間がそんなことをしているんだ」

「それは……」


少し黙った後ミノルが路地裏のような薄暗い場所を指差した。

そこには猫耳をつけていない人間がこちら睨みつけるように見ていた。


「これってどういう事だ」

「見ての通りよ。人間は魔法が使え無いの。だから私達を恐れてこういうひっそりとした場所で過ごすの」

「なるほどね……」


こちらを睨んでる人にあまり関わらないように俺は目線を外した。


「だったらこの建物は……」

「魔法が使えない人間が私達に対抗するために作った建物って所かしら」


少し悲しそうな表情でミノルはこの建物を見ている。


「なるほど。そういうことか」


半獣は耳だけ付いただけで人間と変わらないと思ってたけど結構差別があるんだな。


「別に私達半獣は人間を差別してる訳じゃないのよ。でも一部は人間を見下してたりしているからいつまで経っても仲良くなれないの」

「この世界も色々と複雑な事情があるんだな」


力のない者が苦しむのは、どこに行っても変わらないって事か。


「さっ、暗い話もここまでにして着いたわよ!」


暗い雰囲気を変えるためにミノルは大きな声を出して目の前の建物に注目した。


「おお〜ここが魔法協会か」


所々年季を感じるその建物は、この島の象徴を表すかのような雰囲気を感じる。

建物の真ん中には大きな時計が付いていて魔法協会と書いてある看板もかなり目立つ。

いざ目の前にすると緊張してきたな。


「シャキッとしなさいよ。魔法…覚えるんでしょ」

「分かってるよ」


俺は扉の前でゆっくり深呼吸をして、気持ちが落ち着いたのを確認してから扉を開けた。


「いらっしゃいませ〜。なんの御用でしょうか」

「あっ……え〜っと」


やばい!緊張して何言っていいのか忘れた。

俺が何を言おうか迷っていると、ミノルが横から入ってきた。


「魔法許可証を取りに来たんですけど」

「魔法許可証ですか……失礼ですが年齢は?」

「ほらかつ。何歳なの」

「えっあっ、17歳です」


初めてもあって緊張して声が少し裏返ってしまった。


「17歳ですか。その年齢ですとすでに許可証は取っているはずですが………」


そうなのか。

まずいな何かうまい言い訳は。


「この人落としちゃったみたい何ですよ。だから再発行してもらいたくて」


すぐにミノルがカバーに入る。

おお、ミノル、ナイス。


「ああ、そういう事でしたか。失礼しました。こちらの受付にどうぞ」


そう言って店員さんは向こうの受付に手を向ける。


「ありがとうございます。ほら、行くわよ」

「……ああ」


何だか申し訳ないな、何から何まで教えられてばかりだ。

もうちょっと自分で出来るようにしないとな。

まあそれはだいぶ先になりそうだけどな。


「ありがとなミノル」

「別にいいわよ。それよりもこれから何するか分かってるの」

「魔法を覚えるんじゃないのか」


ていうかそのつもりで来たんだけどな。


「それはまだよ。その前にその魔法を使うための許可証を作るのが先」

「さっき言ってた魔法許可証ってやつか」


日本で言うところの免許証みたいなやつか。


「そう。じゃあ私、外で待ってるから後は頑張んなさい」

「ええ!付いて来てくれ無いのかよ」

「少しは自分でやりなさいよ。分からないことは受付の人が教えてくれるから。それじゃあ頑張んなさいよ」


そう言うとミノルは扉を開けて外に行ってしまった。

まあいつまでも頼るのも何だし、少しは自分でやるか。

しかしよく見るといろいろなお店がやってるんだな。

外にも店はあったけどこっちはまるでデパ地下だな。

掲示板みたいなのを見ている人がいるが、あれは仕事を探しているのだろうか。


「これは早く慣れないと迷うぞ」


もうちょっとゆっくり見たいがまずは魔法許可証を取るのが先だな。

俺はさっきの女の人に言われた通り受付に向かった。


「あの〜、魔法許可証を再発行しに来たんですけど」

「再発行ですか。そしたらその部屋に入って簡単な質疑応答をしてください。終わったらまたここに戻って来てくださいね」

「分かりました」


その部屋は魔法協会の隅っこにある小さな部屋だった。

そういえばミノルは、日本に来たこと教えるなって言ってたな。

だとしたら質疑応答で、へましないように注意しないと。

俺は小さな部屋の扉を開けた。


「失礼しま〜す」


部屋の中は机が1つとその上に謎の機械が1個、後椅子が2つ用意してあり最後に、この建物の従業員らしき女の人が一人机に突っ伏して寝ていた。


「この人がここの従業員か」 


それにしてもだらしないな。

見たことの無いお菓子?が机にばら撒かれているあたりさっきまで食べていたのだろう。

その証拠に口元に食べカスが付いている。

このままじゃ起きなさそうだし、起こすか。


「あの〜すいません、起きてください」


体を揺らしたりしたが起きる気配がない。


「むにゃむにゃ………それいじょうはたべられねぇよ〜」

「寝言言ってるよ。早く起きてほしいんだけどな………ちょっと早く起きてくださいよ」


体を揺らすが起きる気配は無い。

なかなか起きないな。

それにしてもこの人ちょっと無防備過ぎないか。

なんか服がゆるゆるのせいで見えてはいけないものが見えそうなんだから。

あともう少し、もうちょっとで見え――――


「んぁ、ん〜〜ふぁ〜〜………今何時だ」

「チッ。あともう少しだったのに」


まあそんな上手く行くとは思ってなかったし期待もしてないけどね。


「おいお前今舌打ちしただろ。………ていうか、お前は誰だ!!」

「別に舌打ちして無いですよ。ただ俺は、ここで質疑応答して来てって言われたんですけど」

「何だ、客か。済まねぇな取り乱して、私はウルフって言うんだ。よろしくな」


服装や喋り方、机の汚さからしてかなりの面倒くさがりやか?

これなら質疑応答は問題なさそうだな。


「絶対かつです。よろしくお願いします」

「そんなかしこまんなくていいって、気楽に思ってくれていいからよ」

「分かりました」


口に付いている食べカスを拭き取り、机にあるいらない物を全部床に乱暴に落とした。

これは後で掃除が大変だな。


「それじゃあ、簡単に説明するぜ。まずかつが気になっていると思うこの機械についてだが、大雑把に言うと嘘発見器だ」

「嘘発見器?」


テレビとかで見たことはあるが実際嘘を見抜けるのかは正直信じていない。


「そうだぜ。ここのマイクで声を読み取りこのランプが緑に光ったら本当、赤だったら嘘って言うことだ。だいたい分かったろ」

「まあ、何となく」

「まっ、あんたは正直に答えればいいだけだ。それじゃあ早速始めるぞ」


質問か、日本のことを喋らなければ心配無いだろう。


「じゃあまずはかつの誕生日は?」

「11月11日」

「性別は?」

「男」

「血液型は?」

「A型」


今まで答えてきた質問全部ランプは緑色だった。

凄いな本当に嘘発見器なのか。


「ランプに異常はないか。よしそれじゃあ次の質問、どこの島出身だ」

「え?」


俺は一瞬自分の耳を疑いもう一度聞き返した。


「え?って、まさか聞いてなかったのか?しょうがねぇなもう一度言うぞ。どこの島出身だ」

「出身ですか」

「どうした?急に敬語になって」

「いや別に何でもないで…じゃなくて、無いよ。出身だっけ。出身はな………」


やばいやばいやばい。

いきなり大ピンチだ、まさか出身聞かれるなんて思ってなかった。

クソどうする、嘘をつこうにも横の機械があるし、かと言って日本なんて言ったら俺の異世界ライフが終了を迎えるし………ってこれ、つんでね?


「おい早く言えよ。こっちだって忙しいんだぞ」


嘘つけ菓子食ってたくせに。

あああもうヤケクソだ!


「出身島は言わなくてもいいと思うんだ。だって半獣はこの島にしかいないわけだし」


これで駄目なら正直に話すしか。


「う〜〜ん、確かにそれもそうだな。よし、この質問はいいや」

「いいんかい!!」

「え?いいんかい?」


しまったつい反射で突っ込んでしまった。

何とか言い訳しないと。


「あの……あれですよ……そう、いいんかいっていうお菓子が食べたくなっちゃって」


何を言ってるんだ俺は、終わった。

俺の異世界ライフがあっという間に終了した。

お父さん、お母さんごめんなさいこんなバカ息子で。


「お前……知ってんのかそのお菓子!」

「へ?」

「いや、知ってんだろ。いいんかい」

「え?あっ……そうそう、いいんかいね。知ってるよ勿論」

「いや〜まさかお前がそのお菓子知ってるとは驚いたぜ」


俺はそのお菓子があるのに驚いてるよ。


「なぁ、今度一緒に食べに行こうぜ」

「ああそうだね。食べに行こうか」


まあどんな形だろうと何とかごまかせたようだ。

一時はどうなる事かと。

いいんかいマジありがとう。


「それじゃあ、もう終わりにしてもいいぞ」

「えっもう終わり」


意外とあっさり終わったな。


「本当はまだまだあるけど、元々これは魔法を良からぬことに使うやつがいないかのテスト何だけど、いいんかいを知ってるならお前は悪いやつじゃないだろ。だから終わりにしていいぜ。それじゃあな」


そう言ってウルフは部屋から出ていった。


「………はあ。緊張した」


とりあえず第一関門突破って感じだな。

もうこんなミスはしないようにしよう。

そういえばこの機械に日本出身って言ったら緑に光るのだろうか。

俺は興味本位で機械に質問した。


「俺は日本出身だ」


するとランプが緑色に光った。

マジか、とゆうことはあの時本当のこと言ってたらまじで終わりだったってことか。

俺は再びいいんかいに感謝しながら部屋を後にした。





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