その十三 パーティメンバー集結
「リドル!!」
その名前を呼んだ時、扉の前で立っていた男は優しく微笑んだ。
「久しぶりですね、かつさん。まさかこんな所でお会いするなんて。積もる話もあるとは思いますが、今はこの状況をどうにかしましょう」
「ああ、そうだな」
「お前がリドルだったのか。なるほどな、たくガイス様も事前に情報位くれってんだよ」
今の言葉やはりカノエはガイスと繋がっていた。
「リドルこれってどういうことだ。本物のカノエは何処に行ったんだよ」
「僕自身も未だにこの状況を完璧には理解出来て居ません。ただ一つ言えることは目の前の男は敵だという事です」
「なるほどな」
「おいおい、いつ俺がお前らと敵対したんだよ。ちょっと色々あって今は記憶が混乱しててな。もうしばらくすればきちんと思い出すからよ。だからその判断はまだ早いと思うぜ」
カノエは未だにこちらに敵対心は見せてこない。
あくまで味方としてこちらに寄り添ってくるがやはり、あの時のカノエとは違和感がある。
本物ではないことは分かるが、じゃあ本物は一体どこに居るんだ。
「とりあえず、テレポートでここから逃げましょう。話しはそれからです。ミノルさん、僕が注意を惹きつけてる隙にお願いします」
「え?そ、それは……」
「リドル、それはお前に任せる。注意は俺が惹くから」
「そうですか、分かりました。それじゃあ任せましたよ」
するとミノルが小声でありがとうと囁いて来る。
俺はそれに対して笑顔で応えた。
「それじゃあ、行くぞ!」
「待て、俺の話を聞け!別にお前らと敵対するつもりはない。お互い話し合って誤解を解いて――――――」
「インパクト!」
「テレポート!」
強烈な一撃がカノエに襲い掛かるのを確認すると俺達はその場から離れた。
「ちっ馬鹿どもが」
―――――――――――
次に目を覚ますとこの町の宿屋らしき建物の近くに立っていた。
「どうやら無事に逃げられたみたいだな」
「リドルお主何処に行っておったのじゃ!妾達お主を探すために飯を食べられなかったのじゃぞ!」
デビは久しぶりにあったリドルの胸ぐらを掴み思いっきり振り回していた。
「お久しぶりですデビさん。ていうか気持ち悪くなるのであまり振らないでください。というか、随分と成長しましたね。地獄とこの世界の時間の流れは違いますが、その様子だと王に離れたみたいですね」
「当たり前じゃろ。妾はすごいのじゃからな。それでお主はどうしていなくなっておったのじゃ」
「あっ」
そう言えばデビには言って無かったな。
聞いてこなかったってことは察してくれてたのか。
「そうですね。あの出来事はデビさんが居ない間に起きたことですからね。僕から説明すべきことです。ちゃんと説明します」
そう言ってリドルはデビにサキン村の事と自分の事についてきちんと説明した。
デビはその話を腕を組みながらじっくりと聞いていた。
そして話が終わるとリドルは申し訳なさそうに頭を下げる。
「デビさんの想いも裏切った形になってしまいすみませんでした」
「なるほどのう。つまりお主は自らの素性を隠し、仲間のふりをしてミノルを殺そうとしてたと。それも妾が居ない間に行ったのも図っての事みたいじゃのう。妾はひどく傷ついたのじゃ。もしその場に妾が居たらこうして謝られてもお主の顔をぶん殴り罵ったじゃろうな」
「分かってます。僕はそれほどひどい事をしました」
「デビ……」
するとデビは頭を下げているリドルの顎を掴み顔を上にあげる。
するとリドルの額に向かってデコピンした。
「っ!」
「これで勘弁してやるのじゃ。妾も大人になったものじゃのう」
「デビさん……」
「お主自身もそれなりに反省しておるのじゃろう。それが今回の旅の目的でもあるみたいじゃな。それに騙していたという意味じゃ妾も同じじゃ。その為の王になるじゃからな」
「デビさん、ありがとうございます」
「ばかもの、お礼は妾ではなくかつにすべきじゃろ。お主は今回の旅で何を学んだのじゃ」
その言葉を受けてリドルは俺の前に立つとしっかりと顔を向ける。
「かつさん、僕は今回の旅で己を鍛えました。もう二度と裏切ったりしません。改めてかつさんに聞きます。僕を仲間にしてくれますか?」
昔とは違う、たしかな決意を固めた顔をしている。
今回の旅で本当に強くなったんだろうな。
俺は迷うことなくリドルの肩に手を回した。
「当たり前だろ!お帰りリドル!」
「はは、そうじゃのう。さすがは妾が見込んだ男じゃ。ほらミノルも来るがいい」
デビはかつの肩に手を回すとミノルもそれに続いて肩を回す。
「久しぶりに全員集合ね」
「そうだな、ようやくパーティー復活だ!」
この瞬間をどれほど待ちわびていたが、この日ようやく俺達は本当の意味で仲間になった。
「ここで立ち話も何ですし、中に入りましょう。今はここの宿で寝泊まりしてるんです」
「せまっ苦しい所じゃのう。ここに残るより早く家に帰らないか?」
「今の時期は駄目だ。それに今回の出来事についてリドルに色々と聞きたいしな」
「そう言う話も含めて宿の中に入ってやりましょう。こっちです」
リドルは先頭に立ち宿屋の中を案内する。
この町の建物はどれもごつごつしていて、叩いても壊れなさそうな頑丈さを持っている。
だからこそ、こういった特殊な環境でも大丈夫なんだろうけど、誤って頭ぶつけたら普通の人なら死んじゃいそうだな。
「この部屋です。ここに皆さんに紹介したい人が居ます」
「へ?紹介したい人?」
突然のリドルの言葉に困惑していると、リドルは気にする様子はなく泊っている部屋の扉を開ける。
そこには予想外の出来事が待っていた。
「あ~やっと帰って来たわね。遅いから先にご飯食べて……あれ?」
「え?」
誰?
平然とその宿でご飯を食べていたその女の人は俺達を見と慌てた様子で食べていたご飯を飲み込む。
するとリドルは何故かニヤニヤしながらその女の人の隣に立った。
「皆さんにご紹介しますね。この方はアイラです。そして僕の彼女です」
「え!?」
「「「えーーーー!!!???」」」
そう自信満々に言い切った。




