その十一 リドルの行方
「……っ着いたのか?」
「みたいね」
目の前にはシアラルスとは全く違う光景が広がっていた。
近くには火山工がありそれにより周りの気温が異様に高く、今の服装では暑すぎて脱水症状になりそうだ。
さらに他の町とは違い建物が木材ではなく石や鉄を加工した様な硬い物で出来ている。
そしてこの町の周りには火山が来た時の対策の為か硬い壁が町中を囲っていた。
まるで要塞のような町だな。
「にしても熱いわね。ネッパニンスがこんなに暑い町だとは知らなかったわ」
「そうか?そんな熱くはないと思うがの」
「お前は地獄で鍛えられてるからだろ。ああ駄目だ。先ずは新しい服を買おうぜ先ずはそれからだ」
俺は流れる汗をぬぐいながらこの町の服屋に訪れた。
「いらっしゃ、あれ?もしかしてその恰好、あなた達他所の町から来たのかい?」
「まあ、そうですね」
「よく来れたね。今どの町もその町から出るのは禁止だって言われてるよ。あ、もしかして旅の途中だったのかい。だったら運が無かったね」
「へえ、そうだったんですね」
この町もシアラルスとおんなじなのか?
でもどういうことだ、この町にガイスが来たのか?
たしかにあいつならそれも可能だろう、この島全体の半獣は記憶を取り戻しただろうしガイスがいきなり来てそれらを命令されても受け入れてしまう可能背はあるけど、妙に引っかかるな。
「まあそんな薄っぺらい服を着てたらこの町じゃまともに過ごせないよ。来ちまったもんは仕方ないし、私が特別に見繕ってやるよ。ほら、店の奥に来な」
この店の店主はそう言うと俺たちにあった服を選んでくれた。
どうやらこの町の服は特殊なモンスターの皮を使っていて、それにより周りの温度に肌をやられない様になっているらしい。
半獣の皮は熱いが何か月も過ごすとさすがに負担が激しすぎるのでこういった物で体を守っているみたいだ。
こうして俺たちにあった服を店主が集めそれを俺達は購入することになった。
「まいどありー!」
「にしてもえらい出費になっちまったな。マジで金が残り少ないぞ」
「だいぶいい服みたいだから値段も張ってたみたいね。貯金を全て持ってきて正解だったわね」
「妾この町のご飯が食べたいぞ」
「俺たちの会話を聞いてなかったのか。せめてご飯はリドルを見つけてからだ」
「でもリドルがどこに居るか見当がつかないわよ。町中をしらみつぶしに探すの?」
「いや俺に考えがある」
俺はリドルの情報を探すためにある場所へと向かった。
それは何かを探すときに便利な場所、魔法協会だ。
目の前にある魔法協会はシアラルスとは違い、重厚なドアがあるちょっとやそっとじゃ壊れなさそうだ。
やはりどの建物も熱に強い材質を使っているようだな。
俺はゆっくりとドアを開ける。
「いらっしゃいませー!お食事ならお好きな席に、依頼なら掲示板をご確認ください!」
聞き馴染みのある言葉を受けるとその建物の中は基本的には他の魔法協会とあまり変わらない様子だった。
だけど忙しい様子は見せていない。
掲示板にも人だかりは出来ていないところを見ると町の外に出られないから、依頼が受けられないとかか?
そうなるとモンスター討伐を稼ぎにしていた人たちはかなりの痛手だろうな。
俺はすぐに受付の人の元へと向かった。
「あのすいません。リドルと言う人がここに来てませんか?仲間なんですけど」
「リドルさんですか?ああ、最近ご活躍されている方ですね。あ、でもリドルさんにこんな仲間がいることは初耳ですが」
「最近ここで修業をしてたんですね。ねっかつ」
「ああ、そうそう!それで自分の修行も終わったからそろそろ集合すっかみたいな。そう言う感じです」
すると受付の人がこちらをじっと見て来る。
やっぱり少し無理矢理過ぎたか、たしかに今まで一人で活動してたのにいきなり仲間が今したみたいに言われても信じられないよな。
だが、別に嘘を付いてるわけでもないしどうした物か。
「そうだったんですね!すばらしい仲間の絆ですね!」
「え?」
受付の人は突如そんな大声を上げると涙を流し始めた。
「リドルさんにこんな素敵な仲間がいたなんて驚きです。ああ、すみません。私こういうのに友情物に弱くって。それなら分かりました。リドルさんは現在城に向かっていると思われます」
「城って王の!?どうしてそんな場所に向かっているんですか!?」
「さあ?もしかしたら今回の事で王直々にリドルさんを仲間に加えたいのかもしれませんね」
今回の事って例の仲間になる奴は城に集まれって奴だよな。
まさかリドルが!いや、リドルにかぎって仲間になることはないと思うが直接呼ばれたのが気になるな。
「分かりましたありがとうございます!皆行くぞ!」
俺たちはすぐに魔法協会を飛び出して城へと向かう。
「かつどういう事!?何でリドルが城に呼ばれてるの」
「分からない。とにかくリドルは何度かこの町で依頼を受けていたみたいだ。少なくとも受付の人に覚えられるくらいはな」
「ここで修業を積んでいたという事か。あやつも妾並みに強くなっておる可能」
「お前クラスになってたら、もはや人外だよ」
「それはどういう事じゃ!妾が人外だとでもいうのか!」
「とにかくリドルが城に向かったって言うのなら俺たちも行くしかないだろう」
それにガルアは確かにそれぞれの町の王を復活の種にしたと言っていた。
てっきり俺は殺されたと思っていたが実は生きていたのか。
だとしたら事情を説明すれば協力してくれる可能性もある、それを踏まえて行く価値はある。
「とりあえずすべては城に行けば分かるはずだ」
「そうね急ぎましょうか」
こうして俺達はすぐにネッパニンスの城へと向かって行った。




