エピローグ その頃……
かつ達が戦っている一方同じクエストを受けている男がいた。
その名はガイ、過去にかつをモンスターから助けた男だ。
「だーっあ!どうなってんだこの森は!雑魚ばっかで新種のモンスターなんて1匹もいないじゃねぇーか!」
最近強いやつと戦ってないからこのクエストなら強いやつと戦えると思ってやってみたけどやっぱうまくは行かないな。
「最後に強いやつと戦ったのは………狼みたいなやつだっけか?あいつもあんまり強くなかったから覚えてないな」
その時縛られてる2人組が居たけどいつの間にかいなくなってたし最近運がないな。
「ていうかあの場に誰か他のやつもいたな。え〜と………忘れた!俺強いやつしか覚えてないしな。覚えてないって事はどうでもいいんだろう」
その時どこからか大きな物音がした。
「この音は……強敵の予感がする!あっちか!」
俺は夢中で走った。
久しぶりだなこのワクワク、胸踊るようなこの感じ。
たしかこの先を抜けたところに!
「さぁー俺と勝負しようぜ!」
「ムシャムシャ……プギャ」
ぶ…た……?
「この……クソ豚がぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「プギャャャャャャャ!!」
「はぁ……はぁ……クソ!」
なんてツイてないんだ。
気分を上げたくせに下げるなんてそんなもの俺は求めていない。
「あああクソ!!むしゃくしゃする!この怒りをぶつけたい!でも……ぶつける相手もいない」
いつからこんなに強いやつがいなくなった。
ついこの前まではわんさかいたのに、急にパタリといなくなりやがって。
これじゃあ俺の夢も叶えられない。
「こうなったら魔法使いに勝負を挑むかって、魔法使いもこんだけ歩いて1人も出会ってないじゃねぇか!どうなってんだよ!」
もしかして誰か俺みたいに強いやつを倒してる奴がいるのか。
「それはないか。だったら俺のところに来ないのはおかしいしな」
とりあえずもう帰ろうここにいても意味無いし。
その瞬間どこからか視線を感じた。
「―――――――っ!?………誰だ!」
俺はすぐに辺りを警戒しながら誰かいないか探した。
この気配間違いない強者の目だ!
「やっと来たか。おい!出て来いよ!俺と戦おうぜ!」
俺の声が森に響き渡る。
すると森の奥から足跡が聞こえた。
「気配は完璧に消したはずだが……若いってのは怖いな」
間違いない、大当たりだ!
こいつはかなり強い!俺でも勝てるかどうか分からない程に。
「お前名前は何だ」
「………クラガ、と言えば分かるか」
「クラガって黒い魔法使いのか!?」
「ちゃんと知ってたのか。最近は知名度無いのかと思ったぞ」
嘘をついてる……てことはないか。
あの佇まい、かなり自分の力に自信を持ってる証拠だ。
多分本物だな。
てことはこれは大当たりどころじゃないぞ!
これは超超大当たりだ!
「お前が俺の目の前に来たってことは俺を消す気だろ?分かってるお前らは邪魔になりそうなやつを消すってのが掟みたいなもんだからな」
「確かに俺たちは邪魔になりそうなやつは消す。だが今回は別に貴様に会いに来たというわけじゃない」
「は?だったら何でここに来たんだよ」
「それは偶然だ。貴様を見つけて面倒くさそうだったから避けていこうとしたら見つかってしまって渋々出て来ただけだ」
「偶然!?」
てことは俺は対処できる範囲って事かよ。
初めから眼中に無いってことかよ。
「ふざけるな……俺は弱くないぞ!」
(まずいな面倒くさそうな予感がする)
「落ち着け。別にお前を弱いとは―――――」
「グラビティ!」
「くっ!これは……重力魔法か」
「これでお前は動けないだろ」
お前が俺を見ようとしないなら無理やり分からせてやる。
(やっぱり面倒くさそうな事になったな)
「解除しろ、ガイ。俺は忙しいんだ。ここで遊んでる暇はない」
「まだ分かんないのかよ。だったらすぐに分からせてやるよ!ファイヤーブレス!」
「チッ――――――」
倒した……
「ってなわけないよな」
クラガは木の上で見下ろしていた。
どうやったかは知らないが多分魔法を使ってない所自力だろ。
「バケモンだなお前」
「貴様もレベル5にしては強過ぎるがな」
「へっ!どの口が言ってんだよ」
「貴様を別に弱いとは思ってない。ただ今はそれよりも大事なことがある。貴様の相手はまた今度だ。じゃあな」
そう言ってクラガは消えて行った。
「何だよ、結局俺を下に見てんじゃねぇかよ」
俺はこのまま終わる男じゃないぞ。
次はこの敗北を生かしてもっと強くなる。
「待ってろよ!クラガ!」
「またトガみたいな奴が増えたな」
(これ以上手間かけさせるなよ、トガ)
トガが倒されるまで後2分




