エピローグ 消えた者たち
「ネズミどもは逃げたか。まあいいだろう。この島にはそこら中に監視する為のカメラがあるからな、それを見れば見つけるのも時間の問題だろう。さてと、ガルアよ俺の部屋に案内しろ。準備を始めるぞ」
そう言うとガイスは出口の方へとすたすたと歩き始める。
それを見たガルアはガイスの前に立ち塞がった。
ガイスはそれを見てガルアを見下ろす。
「何をしている、じゃまだ退け」
「約束を果たしてください」
「ガルア……俺は復活したばかりでまだ本調子ではないのだ。お前も約束の件は後で必ず果たす。先ずは現在のこの島の状況確認が優先だ。先の奴らの素性についても知っている事を聞かせてもらうぞ」
そう言ってガルアを退けて進もうとするが、なおガルアは一歩も引かずに立ち塞がる。
それを見たガイスもさすがに苛立ちを隠せずにいた。
「ガルア、これ以上しつこいようならしつけをせざる負えないぞ」
「見るだけでいい。部屋に行くだけで良いから、お願いだから来てください」
ガルアはガイスの圧に怯むことなく自分の意見を伝えた。
ガイスはガルアの覚悟を受けこれ以上は無駄だと思い、ガイスは折れることにした。
「よかろう。連れて行け。確認するだけだぞ」
「っありがとうございます!場所は変わっていません!こっちです」
ガルアはガイスの気が変わる前に急いで場所に案内する。
秘密の部屋を通り抜け目的の場所に着くと、そこには最悪の光景が広がっていた。
目の前のカプセルの中には何もなく無理やり出て来たかのように、ガラスが破壊されており機械が無残に破壊されていた。
その光景を見たガルアは絶望することなく微かな希望を胸に当たり見渡す。
「どこ行ったラミア!ラミア何処だー!」
ガルアは必死に名前を叫ぶがそれに応える者は居なかった。
その時地面にある物を見つめる。
それはある時からラミアが肌身離さず付けていた白いバラの髪飾りだった。
ガルアはそれを見た瞬間全身が崩れ落ちて行くような感覚に襲われ、震えながらもそれを手に取った。
「どうやらあいつはすでに目を覚ましたようだな。なぜ装置を停止させた。それはするなと何度も警告したはずだが」
「ラミアが……起動させたんだ……」
「なるほどな。つまり自業自得と言うわけか」
「っ!!」
その瞬間、ガルアは鋭い目つきでガイスを睨みつける。
だが、ガイスは戸惑うことも無く冷静にガルアに言葉を放つ。
「そう殺気を立てるな。ラミアを助けたいという想いは俺も同じだ。安心しろ、約束は必ず守る」
ガイスはそう言うと優しくガルアに向けて微笑んだ。
その言葉を受けたガルアは我に戻りガイスに頭を下げる。
「ご、ごめんなさいつい」
「気にする必要はない。あいつも起きてからまだ本調子ではないだろう。どこかで身を潜めてるに違いない。ならば俺達は早速準備を始めるぞ」
そう言うとガイスはその部屋を後にした。
それに続いてガルアも後に続いて行く。
白いバラの髪飾りを手にしながら。




