その十四 魔力吸収装置
「ふう、何とか侵入成功だな。先に言ってたあいつはどこに居るんだ?」
確かこの部屋の仕掛けを解けば秘密の場所に行けると聞いたが。
「明らかにこれだよな」
特に目立ったものは置いていない殺風景な部屋に突如違和感として存在している、本棚。
既に仕掛けを解き終えた後なのか本棚の扉が開いていて中には階段が続いていた。
「ローはもう既にこの中に入ったのか。確かに急いではいたけど、もう少し待ってくれたらよかったのに」
まっ任務が最優先だし先に行ってても仕方ないか。
俺はすぐにその階段を降りて行く。
それにしても本当にこの城に秘密の地下通路がある何て、この先にガルアは何を隠してるんだ。
下に進むにつれてだんだんと地上から離れて行くのを感じる。
どうやらかなりの地下まで歩く様だ。
しばらく降りて行くと扉が見えた。
この奥にローは居るのか、そしてこの先にこの地下の秘密があるわけだな。
少しだけ緊張しながらも俺はドアをゆっくりと開けた。
「何だこれ……」
目の前の光景は俺がこれまで見たものの中で最も異質な部屋だった。
天井にある謎の建造物から巨大な糸のような物が出ており、それが人間が入れるほどの大きさなの透明な入れ物に繋がっていた。
いや、待てよ誰か入ってないか?
俺はすぐにその場所まで駆けて行く。
「大丈夫か!おい、俺の声が聞こえるか!」
明らかに女が中に閉じ籠っている。
しかも体には沢山の細長い糸が付けられていた。
そこからは何かの液体が流れている、いや出ているのか。
この女から何かを取っている。
「とにかくよく分からないが、助けた方がよさそうだな」
明らかにこの部屋は異質だ。
まるであの黒い建物と近い印象を受ける。
早々に逃げた方が良いだろう。
「アグレッシブ――――――」
「何してるんだ?」
「っ!?」
突如かけられた声に俺は思わず後ろを振りかける。
そこにはこの城の主であるガルアの姿が合った。
「な、何でここに」
「何でって決まってんだろ。決まってんだろ。待ってたんだよお前らの事を。その様子だとかつはあっちに向かったか」
おいおい、聞いてないぞガルアが待ち伏せしてるなんて。
まずいなこの状況、戦っても勝てる気がしないぞ。
かといって逃げられる気もしない。
「すごいだろこの部屋。父上を復活させるための重要な部屋さ。この機械を使って必要なエネルギーを吸い取ってるんだ」
「機械?魔道具のような物か」
「ああ、お前らは電気エネルギーもケーブルもカプセルも知らないんだったな」
こいつはさっきから何を言ってるんだ。
何にせよ、ここから逃げる手を考えないと……あれ?
「ちょっと待て今お前らって言ったか。ローに会ったのか!」
「さあ?ローってのはもしかしてあそこで死んでいる奴の事か?」
そう言ってガルアは後ろを指差す。
そこには床に力なく倒れているローの姿が合った。
「テメエ!!」
俺はすぐに魔法陣を展開する。
だがそれとほぼ同時に俺の全身に衝撃が走る。
「ふぐっ!……な、何をした……」
「お前じゃ役不足だな」
途切れる意識の中そんな言葉が聞こえた。
それを最後に俺は意識を失った。
「誰にも邪魔はさせない。この計画だけは必ず達成して見せる。さて、あいつの元に行くとするか」




